シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


30315021 

△地域研究1 (中国)
Area Studies 1 -China-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  浅野 亮

<概要/Course Content Summary>

現代中国政治の分野についてさまざまな文献を読んでいく。主に対外政策に力点を置いて政治の側面をみていくが,軍事,経済や環境といったより広い安全保障の側面や歴史学的アプローチも扱う。できるだけ最新の資料を扱いたい。 
このため,授業では,このシラバス発表以後,すなわち今年度発行された単行本や論文を使うことになりうる。 
 
手がかりとして,東洋史研究家とされる菅原愛語による隋の時代の対外政策,特に突厥に対する政策を見て行く。かなり古い時代であるが,その内容は現代に通じるものであり,実際にアメリカの政策研究者は中国の王朝時代の行動様式に着目してきた。アラステイア・ジョンストンが明王朝の北元に対する政策と照らし合わせて解釈できるレベルに到達したい。文献情報は下記の文献リストの中にある。 
この論文を読んだ後,2017〜2018年に発行された論文や単行本を中心として,最新の研究動向に触れることとする。 
 
当然ながら,現代中国政治と国際関係理論について学部レベルの基本知識はすでにある程度あるものとして授業を進める。希望があれば,文献は英語だけでなく中国語のものも使うことがあるので,初級程度の中国語を習得していることが望ましい。 
テーマを自分で設定し,自分で資料を見つけて信頼性をチェックできることが強く望まれる。 
 
 
This Course examines the making of foreign and security policies of modern China. 
Students are required to read Japanese, English and Chinese documents which mainly cover the interplay between China's domestic politics and foreign policy. 
Readings are drawn from modern diplomatic history, security affairs, international political economy, international relations theory, and Chinese history. 

<到達目標/Goals,Aims>

到達目標は,中国の政治に関する事件や事例に対して,背景が簡潔に説明でき,高度のレベルの分析レポートが書けるようになることである。 
The goals of this course are to 
(1) understand the basic mechanism of China's foreign policy 
(2) develop a comparatively complex argument on China's foreign behavior concisely (but comprehensively, too)

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 授業の進め方に関する方針説明,基本資料の提示 
Introduction 
(授業時間外の学習/ Assignments) 使用する資料はあらかじめ目を通しておくこと。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 地域研究から見る中国研究(1)(近現代史) 
China's modern history 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 地域研究から見る中国研究(2)(国際関係論) 
IR Theories and China 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 新興台頭国との関係 
China and other Rising Countries 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) リアリズム,勢力均衡と覇権交替に関するレビュー 
Review on Realism and Balance of Power 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) グローバリゼーション,相互依存と大国間関係 
Review on Globalization and Interdependence 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 米中関係:守成大国と新興大国 
The Sino-US Relationship 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 中国の交渉戦略 
Negotiation Pattern of Modern China 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) アメリカの「オフセット戦略」と中国の対応 
"Offset Strategy" of the US and China's Response 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 中国外交史を見る視点 
History of China's Foreign Policy 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 中国外交のゆくえ 
Prospects 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 報告(1) 
Presentation by Students 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 報告(2) 
Presentation by Students 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 討論 
Discussion 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) まとめ 
Conclusion 
(授業時間外の学習/ Assignments)  

(1)最初の数回は,教員がこの分野の概観を説明する。(2)教員の説明に続く「報告」は,授業で配布する最新または基本的な研究資料に基づくか,または自分の問題関心に基づいた発表を,受講者が行う。(3)扱うテーマを相談し,討論を行う。(4)使用する文献を読んでいくよりも,読んだものとして論点を出し合い,議論を戦わしていくことに力点をおく。 
なお,上記の授業計画は,一種のひな形として理解してほしい。研究は必ずしもプロジェクトのような形でなければ進められないものではなく,目的外の副産物に大きな意味があることが多いからである。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等) 
Activities in Class 
40%  クラスにおける発言や事前の準備を重視 
期末レポート試験・論文 
Report and Examination 
60%  論文としての形式を必ずとること 

(1)断片的な知識に終わらず,体系的な議論ができるようになっているかどうか。 
(2)得た知識と識見を使って,眼前の事象が解釈できるようになっているかどうか。 
(3)議論をリードし,体系的にまとめることができるかどうか。

<テキスト/Textbook>

益尾知佐子・青山瑠妙・三船恵美・趙宏偉 , 中国外交史 .   (東京大学出版会, 2017) .  テキストの使用方法は最初の授業で示すので,急いで購入する必要はない。 

 

この書籍に目を通しているものとして授業を進める。なお,2018年に出版された毛里和子による研究本も合わせて参照すると良い。

<参考文献/Reference Book>

Avery Goldstein  『Rising to the Challenge-China's Grand Strategy and International Security-』(Stanford U. Press、2005)やや古いが,「台頭する中国」論では古典的な地位を占める。中国語にも翻訳され,金駿遠『中国大戦略與国際安全』(北京:社会科学文献出版社,2008)として出版された。 
 

David Shambaugh , Power Shift .   (California U. Press, 2005) .  中国の台頭に伴う「力の移行」論では基本書の一つ。 

 

Susan Shirk , China: Fragile Superpower .   (Oxford U. Press, 2007) .  台頭する中国の強さとともに脆弱性を国内政治に光をあてて議論したもの。 

 

Robert Ross and Zhu Feng (eds) , China's Ascent:Power, Security, and the Future of International Politics .   (Cornell University Press, 2008) .  中国の台頭を米中の研究者が共同で分析したもの。 

 

川島真・毛里和子  『グローバル中国への道程-外交50年-』(岩波書店、2009)台頭する中国を念頭にして,中国の外交を歴史的アプローチを基本に分析したもの。 
 

飯島渉・久保亨・村田雄二郎  『中華世界と近代: シリーズ20世紀中国史 1』(東京大学出版会、2009)中国近現代史の流れを,主に歴史学の立場から総合的に分析したもの。 
 

Johnston, Alastair Iain, & Robert S. Ross , Engaging China :  the management of an emerging power .   (Routledge, 1999) .  若干古いが,「中国の台頭」を理論と地域研究を組み合わせて正面から論じた好著 

 

青山瑠妙  『現代中国の外交』(慶應義塾大学出版会、2007)中国外交の基本書の一つ。徹底したフィールドワークによる決定メカニズムの分析が大きな特色。 
 

西村茂雄・国分良成  『党と国家-政治体制の軌跡-』(岩波書店、2009)「叢書 中国的問題群」シリーズの中の1冊。中華民国から中華人民共和国への統治構造や支配体制の変化を,断絶ではなく連続性に注目して論じる。 
 

宇山智彦・クリストファー・レン・廣瀬徹也(編)  『日本の中央アジア外交-試される地域戦略-』(北海道大学出版会、2009)テーマは日本外交でしかも中央アジアとの関係だが,陰に陽に中国が関係している。日中関係にとどまらない視野の中で中国を考える上で非常に参考になる。イシューとしてエネルギーが特に重視され,分析されている。 
 

中居良文(編)  『台頭中国の対外関係』(お茶の水書房、2009)中国が朝鮮半島に与える影響はよく知られているが,ここでは,中国と日本,アメリカのほか,ベトナム,モンゴルなど,さまざまな国との関係を扱っている。 
 

畠山圭一 (編)  『中国とアメリカと国際安全保障-問われる日本の戦略-』(晃洋書房、2010)緻密な分析で知られるアメリカ政治研究者の米中論。 
 

Kerr, Pauline et al (eds)  『China's "New" Diplomacy-Tactical or Fundamental Change?-』(Palgrave、2009)秦亜青など第一線の中国人研究者も寄稿している。 
 

趙可金  『外交学原理』(上海教育出版社、2011)中国語。清華大学国際問題研究所副所長による著作。 
 

Luttwak, Edward , The Rise of China vs. the Logic of Strategy .   (Belknap, 2012) . 

 

Nathan, Andrew and Andrew Scobell , China's Search for Security .   (Columbia University Press, 2012) . 

 

師小芹 , 論海権与中美関係 .   (軍事科学出版社, 2012) .  中国の海洋政策と国際関係を研究するのによい。ただ,マハンをはじめ海軍・海洋戦略に関する予備知識も必要。 

 

菅沼愛語  『隋の東ユーラシア規模での世界戦略-北方と西方への遠交近攻,以夷制夷の対外政策-』(2017)43-66 
 

世界的にみて,分析のレベルはますます上昇してきたので,現代中国の政治を専攻する学部生も,これらに目を通してほしい。

 

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