<概要/Course Content Summary>
この授業は,国際倒産制度に関する英語の法律条文や論文又は判例を講読するものである。 2015年に日本の第一中央汽船が倒産したが,外国の港で第一中央汽船の船が寄港する等外国に財産があったため,諸外国に日本の倒産手続の効力を及ぼすために,計6か国に日本の倒産手続の承認及び援助を申し立てた。逆に,2016年に韓国の第一規模の海運会社韓進グループが倒産した際には,日本を含めた多くの国に承認及び援助を申し立てた。このように,今日では国際的要素を含む倒産事件が増えており,その処理のための制度が国際倒産処理制度である。中でも中心をなすのが,外国倒産手続の承認及び援助制度であり,この分野に関する法整備の国際的協調を図るために,1996年にUNCITRAL がModel Law on Cross-Border Insolvency を制定し,その後日本を含めた多くの国がこれを模範として,自国法との調整のために一定の修正を加えながら,あるいはほぼModel Lawに準ずる形で国内で法整備を行った。 本授業では,Model Lawを採択した諸外国(Model Lawをほぼそのまま採択したアメリカ,オーストラリアと,変更を加えた韓国,日本)の外国倒産手続の承認及び援助に関する国内法に関する法律ないし論文,判例等を購読し,日々増加する国際倒産事件について,各国がどのような対応をしているのかについて学ぶ。また,講師は毎年3月に行われている権威的な倒産法のMootであるIan Flecther International Insolvency Mootの審査員の経験をもっており,授業では当年度の問題について逐次翻訳することによって,世界のレベルを実感することを目指す。 購読する文献は平易なものが多く,具体的に授業時に指定する。 日本語の参考文献としては,山本和彦『国際倒産法制』(商事法務,2002年)がある。 受講者は英語について基本的な語学力が備わっていることが必要であり,毎回適当な分量の日本語訳を行う必要がある。講師は翻訳のきめ細かなチェックとともに,受講者が国際倒産制度の概要について理解できるよう適宜に丁寧に内容的な説明を行う。適宜に日本の倒産法,外国倒産倒産制度の承認援助法についての説明を行い,日本と諸外国の法制度の相違点についての受講者の理解を深める。 授業者の人数や要望に応じて,扱う文献の内容が少し変わることがあります。
<到達目標/Goals,Aims>
辞書をひきながら条文や法律,判例に関する英語文献を次第に読むことができ,法律英語の読解能力や英語の判例や契約書の理解が格段に上昇します。倒産制度,とりわけ日本と諸外国の国際倒産制度に関する知識を身につけることができるようになるため,民商法,民事訴訟法,倒産法,国際私法,英語に興味を持っている方に受講を特に進め ます。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
1
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(内容/ Contents)
ガイダンス
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
2~15
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(内容/ Contents)
文献講読
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(授業時間外の学習/ Assignments)
発表者は指定された箇所についての翻訳を準備しておくことが望ましい
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<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)
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50%
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出席,クラスでの質疑応答状況
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クラスで発表など
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50%
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発表の準備状況及びでき
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<テキスト/Textbook>
文献は初回授業時に指定し,受講者に配布
<参考文献/Reference Book>
授業中時に指定
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