<概要/Course Content Summary>
法治行政の原理からすると,行政が法律や条例の規定に反して公権力を行使し,国民の権利や利益を侵害した場合には,不利益を被った国民の側から行政の違法を主張して,何らかの救済を求める手続が整備されていなければなりません。ここで,権利や利益を侵害している行政活動そのものの停止あるいは取り消しを求めるための法制度を,行政争訟の法制度と言います。 行政争訟の法制度には行政上の不服申立と行政訴訟の二種類があります。この講義では,両者を取り扱いますが,その中心は行政訴訟となります。この行政訴訟とは,違法な行政行為の法的効力の取消等を図るために,裁判所に救済を求める制度です。現在の行政訴訟は,行政事件訴訟法という法律により制度が形成・運用されていますので,この授業では,行政事件訴訟法に定める行政訴訟の要件,手続,効力等について解説を行います。
<到達目標/Goals,Aims>
行政争訟の法制度についての基本概念及び判例を理解し,かつ事例に対してそれらを用いた議論(論述)ができるようになること。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
1.
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(内容/ Contents)
行政争訟制度の全体像を概観する。 いわゆる「主観訴訟」と「客観訴訟」の相違について説明する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
授業計画コメント欄を参照
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(実施回/ Week)
2.
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(内容/ Contents)
取消訴訟の訴訟要件たる「処分性」の概念を説明する。 いわゆる行政計画の処分性について検討する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
3.
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(内容/ Contents)
条例の処分性について検討する。 取消訴訟の判決を概観する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
4.
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(内容/ Contents)
行政指導及び勧告の処分性について検討する。 第3回~第8回において検討するもの以外の,取消訴訟の訴訟要件を概観する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
5.
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(内容/ Contents)
取消訴訟の訴訟要件たる「原告適格」の概念を説明する。 裁判における「法律上保護された利益」の解釈及び適用について検討する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
6.
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(内容/ Contents)
鉄道利用者の原告適格について検討する。 鉄道沿線住民の原告適格について検討する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
7.
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(内容/ Contents)
取消訴訟の訴訟要件たる「狭義の訴えの利益」の概念を説明する。 名誉・社会的信頼と「回復すべき利益」の関係について検討する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
8.
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(内容/ Contents)
第1回~第7回を範囲として,第1回まとめのテスト(論述式)を実施する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
9.
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(内容/ Contents)
通達及び職務命令の取消訴訟による救済可能性について検討する。 いわゆる「確認の訴え」を説明する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
10.
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(内容/ Contents)
執行不停止の原則を説明する。 仮の救済制度としての執行停止制度を概観する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
11.
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(内容/ Contents)
第9回・第10回を範囲として,第2回まとめのテスト(論述式)を実施する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
12.
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(内容/ Contents)
義務づけ訴訟の訴訟要件について検討する。 義務づけ訴訟の本案勝訴要件を説明する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
13.
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(内容/ Contents)
差止訴訟とはいかなるものか,概観する。 差止訴訟の訴訟要件について検討する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
14.
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(内容/ Contents)
行政上の不服申立て制度について説明する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
15
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(内容/ Contents)
第1回~第13回を範囲として,授業内評価(選択式)を行う。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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講義の進行度によって,授業計画を変更することもあります。指定したテキストにおける該当部分を読んでおくこと(予習)及び指定したテキストやその他の行政法関連書籍を用いて講義で示した知識の定着をはかること(復習)が,授業時間外の学習として必要となります。
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
第1回まとめのテスト
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40%
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概念や判例を理解し,それらを用いて設問に対して説明できているか,自己の見解を論理的に構成できているかを評価します。
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第2回まとめのテスト
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25%
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概念や判例を理解し,それらを用いて設問に対して説明できているか,自己の見解を論理的に構成できているかを評価します。
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授業内評価
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35%
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概念の理解,判例の理解の度合いを評価します。
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<成績評価結果/Results of assessment>
成績評価の見方について/Notes for assessment
登録者数 |
成績評価(%) |
評点 平均値 |
備考
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A |
B |
C |
D |
F |
他 |
70 |
34.3 |
22.9 |
14.3 |
8.6 |
20.0 |
0.0 |
2.4 |
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<テキスト/Textbook>
亘理 格・大貫 裕之編 『Law Practice 行政法』 (商事法務、2015)
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<参考文献/Reference Book>
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