<概要/Course Content Summary>
本科目は,企業法務部門を志望する受講者を対象に,労働法に関する研究を行い,問題発見能力と解決能力を習得させることを目標とする。 経済社会の変化に伴い,企業法務と労働法が関わり合うケースが増えている。企業組織の再編(合併,事業譲渡,会社分割)に際しては,人的資源の異動管理(人事管理)が不可欠となり,労働法による適切な規律が必須となる。また,知的財産法務(秘密・情報管理[不正競争防止法],競業管理,職務発明[特許法35条],職務著作[著作権法15条])においては,秘密管理規程,守秘契約,競業避止契約,労使協議等の労働法上の手続が必須となる。さらに,個人情報管理(個人情報保護法),国際法務(法の適用に関する通則法12条),コーポレート・ガバナンスなど,企業法務の様々な課題と解決するためには,適正な人事管理と労働法の理解が重要となる。一方,労働法は,企業法務が直面する今日的課題であるコンプライアンスの主要な領域を構成しており,近年の内部告発事例や公益通報者保護法制定をふまえると,労働法のコンプライアンス体制(法令等周知・研修・モニタリング。内部通報制度等)を確立し,法的リスクを最小化することは,予防法務の重要な課題となる。逆に,労働法コンプライアンスを徹底し,労働法CSRを実行すること(成果主義人事の適正な運営,雇用平等の推進,従業員のキャリア形成支援,ワーク・ライフ・バランス支援等)は,優秀な人材を確保し,顧客・投資家・取引先へのアピールを高め,企業価値を高める戦略(戦略法務)となりうる。こうして今日,労働法は企業法(Business Law)の一環を形成し,企業法務のキャリアを志望する者にとって重要な領域となりつつある。このことは,2018年の働き方改革推進法の制定をめぐる動向からも明らかであろう。 本科目は,こうした観点から,広く企業法務を目指す受講者を対象に,多くの先端的論点を取り上げ,理論・実務の両側面から法務能力を養成することを目指す。ケーススタディを多用し,演習方式で進める予定である。以下の〈授業計画〉は例示であり,実際の授業進行に際しては,受講者の希望に沿って行いたいと考える。 なお,例年,同志社大学大学院法学研究科を修了し,実際に企業法務の仕事に携わっているOB/OGにゲスト・スピーカーとして登場いただいている。
<到達目標/Goals,Aims>
学生は,本演習を受講することにより,企業法務の基本的能力を養うとともに,プレゼンテーション能力,コミュニケーション能力,問題発見・解決能力を養成することができる。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第1回:
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(内容/ Contents)
オリエンテーション:2回目以降のテーマは例示であり,受講生と相談して確定する。
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(授業時間外の学習/ Assignments)
報告メンバーは,レジュメ等の作成。他のメンバーは,授業内容の予習・復習。以下同じ。
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(実施回/ Week)
第2回:
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(内容/ Contents)
企業法務と労働法はどのように関連するのか−理論的考察
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第3回:
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(内容/ Contents)
会社法務と労働法:合併・事業譲渡
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第4回:
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(内容/ Contents)
会社法務と労働法:会社分割と労働法:労働契約承継法
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第5回:
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(内容/ Contents)
会社法務と労働法:M&Aと労働法:投資ファンドの使用者性,人事労務デュー・デリジェンスetc
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第6回:
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(内容/ Contents)
会社法務と労働法:コーポレート・ガバナンスと労働法:会社は誰のものか?−株主・経営者・従業員代表
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第7回:
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(内容/ Contents)
知財法務と労働法:守秘義務と不正競争防止法−望ましい秘密管理とは何か?
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第8回:
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(内容/ Contents)
知財法務と労働法:競業避止義務と引抜き−在職中と退職後
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第9回:
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(内容/ Contents)
知財法務と労働法:職務発明・職務著作
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第10回:
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(内容/ Contents)
企業の情報管理と労働法:社員のSNS利用管理・インターネット利用管理とプライバシー
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第11回:
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(内容/ Contents)
国際法務と労働法:労働契約の準拠法−法の適用に関する通則法
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第12回:
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(内容/ Contents)
コンプライアンスと労働法:内部通報制度と公益通報者保護法
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第13回:
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(内容/ Contents)
債権法改正と労働法
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第14回:
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(内容/ Contents)
倒産法と労働法:会社更生法・民事再生法との関わり
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
第15回:
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(内容/ Contents)
ゲスト・スピーカー
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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授業時間外の学習:演習に関連するテキスト・資料・裁判例等を予習・復習すること。
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
出席
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70%
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クラス参加,発表,グループ作業の成果
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30%
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十分に準備された報告,積極的な発言・討論参加。
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<テキスト/Textbook>
<参考文献/Reference Book>
<備考/Remarks>
本科目は,対面授業形式で行います。ネット配信は併用しません。 詳細は,第1回授業時に説明します。
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