シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10307701-159 

△2年次演習(民事訴訟法)-159
Seminar for Sophomore-159
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  金 春

<概要/Course Content Summary>

 今日では,外国と日本国内を問わず,企業や個人が支払不能等経済的に破綻することが社会の一般的な現象となりつつあります。破産法,民事再生法等の倒産処理法では,まさに民法,商法,労働法等平常時の世界で想定していなかったこのような債務者の深刻な経済的危機または非常事態において,多数の債権をどのような順位で平等・公平に弁済していくのか,債務者の再起更生をどのように実現するのか,等についてそのルールを定めております。 
 例えば,担保権は民法の世界では優先弁済権があるが,企業が倒産したときにそれを無制限に認めると,工場等に抵当権が実行されて企業の再建ができなくなるので,民法の規律のならんかの変容が必要となります。契約の中では当事者の一方が倒産すれば契約は当然解除されるという条項が一般的に定められていますが,これが認められると,例えば倒産したスーパーの再建に必要不可欠な仕入れ契約が解除されてしまいます。また,日本航空の会社更生では,労働契約の解約の有効性が裁判にまでなりました。なお,タカタのように上場会社の倒産も少なくないですが,そのときに私たちが持っている株式が紙くずにならないこともありそれはなぜか,私たちの未払い給料債権はどうなるか,個人が倒産したときに奨学金債務が免責債務としてチャラになるかどうか,等私たちの日頃の生活と密接に関係する問題も多数あります。これらをすべて倒産処理法が規律しています。 
 本演習では,主に,民法,会社法と倒産,金融取引と倒産,企業法務と倒産,国際取引と倒産が交錯する判例や実例を取扱う予定です。2年次演習ではあくまでも基礎的なテーマを扱い,3年次演習から段階的にレベルをアップします。倒産処理法は,取引リスクマネジメントに欠かせない重要な法律であり,とりわけ企業法務,国際取引や法曹の仕事に関心を持っている学生たちに履修をお勧めします。日本法のみならず,アメリカやアジア太平洋諸国における制度についても広く学び,グローバル化しつつある企業法務や司法実務において実践的な倒産知識を学ぶことを目指します。 
  
 演習の進め方としては,①個人又は少人数のグループが指定された教材の該当箇所を勉強して作成したレジュメに基づいて報告を行い,全員が議論する方式と,②いくつかのグループが重要判例や争点などにつき対抗戦を行う,二つの方式を採用します。3年生と4年生のゼミ生が適宜に補助します。日本の実務家や外国の学生,実務家と懇談をする場をたびたび設けます。 

<到達目標/Goals,Aims>

 企業や個人倒産に関する日本法や外国法の現状,今後解決すべき課題を理解し,現在社会現象化しつつある倒産についての知識をしっかり身につけることができます。 
 
 3年生,4年生演習と連続的に勉強すれば,倒産法や関連する周辺法をめぐって議論し,反論する能力が格段と向上し,倒産事件が避けられない企業法務,国際取引や司法実務の場で十分に対応することができます。また外国の制度に触れることができ,広い視野から法律問題を考え,グロバール化しつつある企業法務や司法実務において実践的な知識を学ぶことを目指します。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1  (内容/ Contents) ガイダンス 
教員による講義,報告テーマの割り当て等 
(授業時間外の学習/ Assignments)  授業時間外には,報告担当者は,資料 
収集して,報告のためのレジュメを作成し,他の受講者も,予め必要な資料を読み,議論を行う準備をすることが望ましい。 
(実施回/ Week) 2  (内容/ Contents) 先輩による模擬報告ー早いもの勝ちの世界と倒産の世界  (授業時間外の学習/ Assignments)   
(実施回/ Week) 3~13  (内容/ Contents) 学生による報告と,対抗戦 
 
 
 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 14~15  (内容/ Contents) 実務家,外国専門家との交流  (授業時間外の学習/ Assignments)  

 受講者の状況や希望に基づき,授業の内容や形式を若干調整することがありうる

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  50%   出席状況,議論への参加度といった点を考慮します。 
中間レポート試験    なし 
期末レポート試験・論文    なし 
クラスで発表など  50%  発表の準備状況,レジュメのでき 

<テキスト/Textbook>

藤本利一=野村剛司  『基礎トレーニング倒産法』 (日本評論社、2013年)

 

<参考文献/Reference Book>

①山本和彦等編『倒産判例インデックス(第3版)』(商事法務・20⒕年) 
②伊藤眞・松下淳一編『倒産判例百選(第5版)』(有斐閣・2013年) 
 ほか授業時に適宜指示します。 
 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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