シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10307701-158 

△2年次演習(政治過程論)-158
Seminar for Sophomore-158
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  飯田 健

<概要/Course Content Summary>

「なぜ日本では国会で可決される法案の8割以上が官僚によって作成された内閣提出法案なのか?」 
「なぜアメリカとキューバの国交は回復されたのか」 
「なぜ同じアフリカ諸国でも経済発展の程度に違いが生まれるのか?」 
「なぜ民主主義が長く定着する国とそうでない国とがあるのか?」 
「なぜ原発事故が実際に起こったのにもかかわらず,政府は原発を推進するのか?」 
 
 政治学をはじめとする社会科学の主要な目的の一つは,世の中で発生するさまざまな現象についての「なぜ?」という疑問に答えることである。この演習では,政治に関するそうした「なぜ?」という疑問に対して,合理的選択論あるいはゲーム理論の枠組みを使って「論理的に」に答えるための訓練を行う。 
 
 この演習は前半と後半とに大きく分かれる。前半では,国と国,政治家と官僚,政府と有権者に関する戦略的状況を「ゲーム」として表現し,チームに分かれて実際にそれをプレイすることで理論構築についての理解を深める。そこでは,ある政治現象の発生は,自らの目的を利己的に追求する「プレイヤー」たちが合理的に選択を行った結果として説明される。その上で,どのような条件下で現状が破られ,変化が起きるのか,どのような条件が異なるがゆえに状態が異なるのかが分析される。政治学をはじめとする社会科学の研究ではこうした抽象的な理論から得られた知見をもとに,「○○が上昇すれば,××が起きるだろう」などという形式で仮説が導かれ,経験的に検証される。 
 
 後半では個人またはグループで,独自に設定した課題に取り組む(研究テーマは自由)。因果に関するリサーチクエスチョンを設定し,それに答えるためのゲーム理論モデルを構築し,因果関係に関する仮説を導き,事例を用いて簡単に検証する。学期の最後にはこれを発表する。 
 
 これらの作業を通じて,3年次以降,領域を問わず政治学の研究を進める上での方法論的基礎を養うとともに,社会に出てからも役に立つ「説得の技術」を身につけることを目指す。 
 
*****2020年8月28日追記****** 
 秋学期については対面形式で実施するが,新型コロナウイルス感染拡大の状況によっては学期途中でZoomを用いたオンライン授業に移行する。

<到達目標/Goals,Aims>

1. 社会科学の理論の構造を理解し,ポイントを要領よくまとめることができるようになる。 
2. ゲーム理論にもとづいた理論構築ができるようになる。 
3. 自らのアイデアを説得的に他人に伝える技術を身につける。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) イントロダクション  (授業時間外の学習/ Assignments) 文献の予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 政治とは何か:市場と政府による分配ゲーム  (授業時間外の学習/ Assignments) ゲームの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 危機外交のゲーム  (授業時間外の学習/ Assignments) ゲームの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 政治家と官僚のゲーム  (授業時間外の学習/ Assignments) ゲームの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 権威主義体制下における政府と市民のゲーム  (授業時間外の学習/ Assignments) ゲームの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 民主主義体制下における政府と市民のゲーム  (授業時間外の学習/ Assignments) ゲームの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 二国間の自由貿易交渉ゲーム  (授業時間外の学習/ Assignments) ゲームの予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 研究プロジェクト1:リサーチクエスチョンの設定  (授業時間外の学習/ Assignments) リサーチクエスチョンの検討 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 研究プロジェクト2:ゲームの構築  (授業時間外の学習/ Assignments) ゲームの構築と分析 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 研究プロジェクト3:モデルのインプリケーションの検討  (授業時間外の学習/ Assignments) インプリケーションの検討 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 研究プロジェクト4:研究報告の準備  (授業時間外の学習/ Assignments) パワーポイントスライド作成 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 研究報告1  (授業時間外の学習/ Assignments) 研究報告の準備をする。 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 研究報告2  (授業時間外の学習/ Assignments) 研究報告の準備をする。 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 研究報告3  (授業時間外の学習/ Assignments) 研究報告の準備をする。 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 研究報告4  (授業時間外の学習/ Assignments) 研究報告の準備をする。 

受講者の数によって上の内容は変更されることもある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

研究報告  70%  リサーチクエスチョンを設定し,それに論理的に答えるゲーム論的モデルを構築しインプリケーションを導けているか。 
授業への参加  30%  毎回の授業に出席し,議論に参加しているか。 

<参考文献/Reference Book>

スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー  『ヤバい経済学 』増補改訂版 (東洋経済新報社、2007)ISBN:9784492313787 映画にもなったベストセラー。さまざまな社会問題について経済学的に答える名著。 
 

鈴木基史・岡田章編著  『国際紛争と協調のゲーム』(有斐閣、2013)ISBN:9784641149045 国際関係論における合理的選択アプローチの優れた入門教科書。 
 

日本数理社会学会  『社会を<モデル>でみる-数理社会学への招待-』勁草書房 (2004)ISBN:9784326601653 概要で挙げたようなトピックについて一つにつき4ページという短さで簡潔に解説を行っている良書。 
 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
Copyright(C) 2020 Doshisha University All Rights Reserved. 無断転載を禁止します。