シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10307701-131 

△2年次演習(国際地域研究)-131
Seminar for Sophomore-131
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  浅野 亮

<概要/Course Content Summary>

*ゼミは原則として対面式で行われるが,オンラインのリアルタイム授業が必要な場合は,事前に申し出ること。 
 
このクラスの主な目的は3つある。 
まず,現代中国政治研究の入り口として,基本的な研究に触れてみることである。この目的は,内容によって二つにわけることができる。 
第1は,実際の中国政治に関連する重要な資料を読んでみることである。 
第2は,上記の作業を通じて,研究する範囲や対象を現代中国,とくに政治に重点を置いて,自分で問題を設定し,資料を集め,レポート,論文やプレゼンなど,考えをまとめて発表する方法を身につけることである。 
 
これら現代中国というテーマ以外で,このクラスのもう一つの目的は,組織力の涵養である。他の大学のゼミとの交流を通じて,いわば総合力を身につけ,予想外の困難や突発事件にも簡単には揺るがない強靱性を養う。これが第3の目的である。 
 
以上の3つは,一つずつ別個にではなく,授業活動を通じて総合的に追求する。研究は手続きとしては別個に行うことが多いが,新しい発見や視点の転換などは,いわば身体性が強く求められる。これは,パラダイムが変容している現代では特に重要なことである。 
 
この授業の到達目標は,口をあけて知識を注がれるのを待つのではなく,仮でもよいから自分なりの課題を設定してみて実際に動き,教えられなくとも他人の技を積極的に盗み,リスクを覚悟して仕事を進める態度の基礎を作ることである。これは,口頭発表や討論,書面レポートの作成を通して徐々に作られる。なお,これらは感想文やエッセーではなく,しっかりした骨組みと論理構成をもつものでなければならない。 
政治学のカリキュラムの流れの中では,「政治学入門」や「政治学への誘い」を,主に現代中国政治を想定しながら,さらに深化させた内容をめざしている。あらかじめ履修すべき科目はとくにないが,世界史(高校)程度の基礎知識があるとよい。また,日本語だけでなく,英語の論文や資料も使っていく。中国語の素養をとくに必須とはしないが,中国語文献を取り上げたいという希望が強ければ応じることができるし,そのほうがよいであろう。 
現代中国政治研究と並行して,討論の方法も学んでいく。友人との会話や感情的な言いあいとは全く異なる,理づめの「知的格闘技」としての討論で,プレゼンテーションやレポート,論文にも深くかかわるものである(好ましくない応酬の一つとして「じゃ,お前はどうなんだ」と相手が主張する資格を問うことがある)。これは,自分で問題を設定し,他人を説得して企画を実現していくためにも不可欠である。必要な資料は授業の中で紹介する。 
 
なお,ゼミでは,広くいろいろな分野をカバーするやり方だが,一つのテーマにしぼって研究を進めたい者には,別途相談し,可能なかぎり意見を尊重する。

<到達目標/Goals,Aims>

知識の習得と主体的な研究の間でバランスをとりながら,大学生として不可欠の研究態度を養う。その際,(1)知識,(2)企画力,(3)組織力,(4)コミュニケーション力,(5)協調性,(6)先見性 に重点を置く。 
とくに,他人の批判をするだけでなく,自分で問題を設定し,その重要性を他人に理解させ,リスクを覚悟して自分のプロジェクトを粘り強く進める姿勢を養う面に力点を置く。このようなハイブリッドな目的達成のためには,まずある程度の知識が不可欠である。加えて,社会現象は色々な分野の問題がお互いに影響し合うことが普通なので,やや広めの知識を得ることから始める。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 授業全体の流れの説明  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の第4回終了時までには,テキスト全体を読んでおくこと。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 現代中国政治の現状  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 現代中国政治分析の枠組みと方法  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 討論の方法と作法  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 現代中国に関する資料を実際に読んでみる(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 資料の選択では,学生からの申し出を重視する。 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 現代中国に関する資料を実際に読んでみる(2)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 現代中国に関する資料を実際に読んでみる(3)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 現代中国に関する資料を実際に読んでみる(4)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 現代中国に関する資料を実際に読んでみる(5)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 討論(1)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予告される主題についてそれぞれ調べておくこと。 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 討論(2)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 討論(3)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 討論(4)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 討論(5)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 自分なりにこのクラスの意味づけを考えること。 

大きな流れは,一般的な研究方法を説明し,そのあとで実際に現代中国に関する資料を集めて読み,討論する。資料は主に日本語で研究書,新聞や雑誌,インターネットを使う。授業計画の細部は受講生の数や関心領域によって変動することがある。学期末の課題は授業の内容や配布した資料に基づいて出す。 
授業の流れ例(番号は授業回数ではなく,授業の順序を指す) 
当然のことだが,発表や討論に対して本気で批判をするので,覚悟しておくこと。 
また,例年どおり,希望者には,3〜4年次生による他大学との交流(ゼミ交流)への参加を認める。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等)  50%  ゼミとして当然で,出席の上,クラスに寄与すべきである。出席率が50%に到達せずに単位取得を嘆願すべきではない。 
期末レポート試験・論文  50%  自分の問題意識で説明を加えているか 

当然ながら,著しい無断欠席,遅刻,私語は評価の対象となるが,逆にチャレンジしての失敗は一切とがめない。 
発言するかしないかを問題とし,発言内容は批判しない。討論における沈黙の連続や,テキストを読まないままの出席の繰り返しは,注意しないが,評価の対象とする。

<テキスト/Textbook>

西村茂雄・国分良成(著)  『党と国家-政治体制の軌跡-』 (岩波書店、2009) 総合的なテキストであるが,品切れなので,発行元以外からの入手が望ましい。入手できない場合は,ゼミでの進行の方法を別途考慮する。 

 

予備知識がないとやや難しいかもしれないが,早いうちに上質の研究にじかに触れることがけっきょくはよい結果をもたらすので,このテキストにした。当然ながら,中国政治に関する基本的な知識があるとわかりやすい。

<参考文献/Reference Book>

岡部 達味  『日中関係の過去と将来:誤解を超えて』(岩波、2006)岡部達味による分析は,授業の中でもしばしば扱っていく。岡部訳のホワイティング『中国人の日本観』は,やや古くなったが,理論的枠組みは今でも通用し,大学院進学希望者の必読書。 
 

ルトワック  『戦略論-戦争と平和の論理-』(毎日新聞社、2014)中国専門家ではなく,戦略理論家がその専門から現代中国を論じたもの。そのまま日本に適用できるとは限らないが,安全保障研究の歴史が浅い日本にとっては参考となる。 
 

加藤陽子  『戦争を読む』(勁草書房、2007)日中関係を論じる場合に不可欠な戦争の論理を論じている。時事問題も大切だが,歴史的事象をのことを深く掘り下げるこのような書物を読む事も非常に大事である。 
 

毛里和子・増田弘(監訳)  『周恩来キッシンジャー機密会談録』(岩波書店、2004)2年次では,概説書もよいが,このような「生の資料」を読むことも非常に大事。政治の冷徹なリアリズムがひしひしと伝わる。 
 

 

 

大学だけでなく,社会に出た後にじわじわ効いてくる内容がそろっている。大学院進学希望者も目を通しておくべきしっかりした研究成果である。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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