シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10307666 

△中国政治史
Political History of China
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  浅野 亮

<概要/Course Content Summary>

*授業は,対面式授業をteamsでのオンライン授業と組み合わせ,さらに通知はe-classにおいても行う。 
  ・対面式授業で,授業内容の骨子はパワーポイントで示しつつ行う。 
  ・パワーポイントの内容はteams及びe-classでの公開の予定である。 
  ・オンライン授業の録画は原則としてせず,また認めない。必要な場合は事前に承認を得ること。 
  ・また,オンライン授業のパスワードは,履修生以外にみだりに教えないこと。 
 
この授業の主な目的は,標準的とされる歴史解釈に基づき,現代中国政治史の大まかな流れと特徴を把握できるようにすることである。 
そのために,主に1949年の中華人民共和国成立から現在までの流れを概観する。アヘン戦争(1840-1842年)や辛亥革命(1911年)などにも言及する。中国が進める政策の基本的な枠組みについて,とくに形成プロセスを扱う。 
なお,「中国政治論」程度の問題意識を前提として「中国政治史」の授業は進められる。春学期の「中国政治論」は問題別・争点別の分析,秋学期の「中国政治史」は時系列の分析と,いわば縦と横に組み立てられている。 
 
この授業では,歴史的な「事実」を述べて行くだけで終わらず,その「事実」に関する解釈や見方が時期によって大きく変わる点を重視する。このため,研究史にもかなりの時間を使う。「歴史は普遍である」という立場には立たない。 
 
この授業の前提として,高校の世界史程度の知識があるものとして授業を進める。 
「中国政治史」の履修希望者は,春学期の「中国政治論」を履修しておくことが望ましい。東アジアや中国の政治をきちんと研究しようとするならば,「中国政治史」と「中国政治論」程度の知識は最低限必要である。 
 
指定したテキストの内容をなぞるのではなく,すでにテキストに目を通しているものとして,テキスト刊行以後の学術動向などを紹介しつつ授業を進める。 
 
なお,中国政治の展開や変化の非常に速いペースに追いつこうとすることを重視するので,シラバスにない内容もカバーすることになろう。

<到達目標/Goals,Aims>

(1)中国政治を,長期的な流れの中で理解できるようになること。 
(2)(1)に関連して,さまざまな争点や問題を流れの中でそれぞれ分析できるようになること。 
(3)(2)に関連して,今から考えると疑問に思うことでも,当時の状況の中での意味が理解できるようになること。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 現代中国史分析の視座。オンライン授業に関する説明など。  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業開始以後30日以内にテキストに目を通しておくこと。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 清朝後期から民国期まで。オンライン授業に関する再度の説明など。  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 抗日戦争期。オンライン授業に関する追加説明など。  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 中華人民共和国の成立  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 朝鮮戦争  (授業時間外の学習/ Assignments) これ以後,テキストを読んできたものとして授業を進める。 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 急進的社会主義建設の挫折  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 文化大革命  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 対外政策の転換  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 文化大革命の終了から11期3中全会へ  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 中間テスト(予定)  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 鄧小平時代の幕開けと「改革開放」政策  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 江沢民政治:政治変革なき経済成長  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 胡錦涛体制:政治変革への努力  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 習近平体制:「台頭する中国」の挑戦と課題  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) グローバル化する世界と中国  (授業時間外の学習/ Assignments)  

上記の授業計画は,入手できる限り最新の研究を反映させようとするため,進行のひな形としての性格が強い。 
 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等)  10%  適宜出欠をチェックし,採点の参考とする。 
中間テスト(中間筆記試験)  20%  それまでの授業とテキストの内容を理解しているかをチェックする。 
学期末テスト(学期末筆記試験)  70%  基本的用語を理解しているか 事象を関連づけて理解しているか 

COVID-19のため,中間テストは行わない可能性が大きい。行わない場合の点数は全て学期末テストに移す。 
また,同じく学期末テストではなく,レポートの提出(teams及びe-classのみ)に切り替えることもある。 
 
大きな流れの中で,重要な事件や出来事の意味を理解しているかどうかがポイントとなる。 
また,注意はしないが,授業に支障をきたす私語,遅刻,早退,携帯電話の呼び出し音も減点の対象となる。 
なお,上記の点数配分は,これらの項目で点数配分が可能という前提を受け入れた場合のもので,参考とされたい。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
87 35.6 23.0 23.0 12.6 5.7 0.0 2.7

<テキスト/Textbook>

浅野 亮 ・ 川井 悟(編著)  『概説 近現代中国政治史』 (ミネルヴァ書房、2012) 中国政治論と同じ教科書。扱う部分が異なる。 

 

歴史分析における前提についての部分を特に参照されたい。

<参考文献/Reference Book>

小島 朋之  『中国現代史』(中央公論社、1999)先年惜しくも逝去された優れた研究者による入門書。発行は1999年だが,分析の枠組みは古くなっていない。 
 

国分 良成  『中華人民共和国』(ちくま、1999)日本第1級の研究者による入門書で,テキストと併せて読むと,中国理解が立体的になる。 
 

ハリソン・ソールスベリー  『ニュー・エンペラー(上・下)』(福武書店、1995)やや古いが,アメリカの中国観を知る上でも優れた入門書。 
 

小島 晋治・丸山 松幸  『中国近現代史』(岩波書店、1986)やや古いが,中国近現代史を概観する上で役立つ。 
 

天児 慧  『中国の歴史(11)-巨龍の胎動-』(講談社、2004)日本の中国研究者として名高い筆者による2004年までカバーしている包括的な現代史の読み物。ただし,書かれている内容の水準は維持されている好著。2013年に出版された岩波新書はこのコンパクト版でさらに2013年までカバーしているので,参照することを強く薦める。 
 

  『東亜』(霞山会)財団法人「霞山会」が発行する月刊誌。最新動向の背景をより深く知りたい人には必読。 
 

添谷芳秀  『現代中国外交の60年-変化と持続-』(慶應義塾大学出版会、2010)リアリストとリベラリストの二つの顔を持つといわれる編者がさまざまな分野から執筆者を集めて編纂したもの。時系列だけでなく,項目別のアプローチともいえる。 
 

Goh, Evelyn , Constructing the U.S. Rapprochement with China, 1961-1974 :  From "Red Menace" to "Tacit Ally" .   (Cambridge University Press, 2005) .  英オックスフォード大学で博士号を取得し,シンガポールで研究を進めている筆者のアプローチはいたずらに政策提言を求めようとしていない。「香り高い」ともいえるような,悠然たる歴史分析の一つではないだろうか。 

 

Miller, Manjari C. , Wronged by Empire :  Post-Imperial Ideology and Foreign Policy in India and China .   (Stanford University Press, 2013) .  中国だけしか見ないか,欧米の枠組みしか知らない人にはなかなか新鮮であろう。学部学生に必須ではないが,インド人研究者が執筆した中印比較の好例として薦める。 

 

加藤弘之  『「曖昧な制度」としての中国型資本主義』(NTT出版、2013)中国政治を理解する上で,その経済や社会のシステムを含めた巨視的な分析は一度は触れておきたい。 
 

若干古いが,入門書や参考書として評価がほぼ確立しているものを列挙している。新しいものはここで補充するとともに,授業内でも紹介していく。

 

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