シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△現代ヨーロッパ政治史
Political History of Contemporary Europe
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  力久 昌幸

<概要/Course Content Summary>

 2016年6月23日に行われた国民投票において,イギリスのEU(European Union)からの離脱が決まりました。その後,3年半に及ぶ困難な交渉を経て,2020年1月末にイギリスのEU離脱(BREXIT)が実現することになりました。 
 40年以上に及ぶイギリスのEU加盟に終わりを告げたBREXITは,イギリスとヨーロッパ諸国の関係を大きく変える可能性を有していることから,第二次世界大戦後のヨーロッパにとって,大きな政治的出来事のひとつとして挙げられるでしょう。BREXITはまた,イギリスという国家の政治,経済,社会,そして文化やアイデンティティに至るまで,少なからぬ変化をもたらすことになると思われます。 
 そこで,この講義では,なぜBREXITが実現することになったのかという問題に取り組むために,まずは歴史的な視点から検討します。戦後直後のヨーロッパ統合のスタートから,イギリスがEUの前身であるEC(European Communities)に加盟を果たすまで,そして,加盟後のイギリスが,さまざまな問題をめぐってヨーロッパ諸国との対立を繰り返すことにより,「厄介なパートナー(Awkward Partner)」として見られるようになった経緯について概観します。 
 次に,BREXITをもたらすことになった最近の政治過程について詳しく見ていきます。なぜEU離脱を引き起こす国民投票が行われたのか。残留多数が予測されていた国民投票において,なぜ離脱多数という結果になったのか。また,国民投票によってEU離脱が決まったにもかかわらず,それが現実のものとなるまでなぜ3年半もの時間がかかったのか。そして,離脱後のイギリスとEUにはどのような将来が考えられるのか,などの疑問について検討していきたいと考えています。 
 国内状況や国際環境はかなり違いますが,ヨーロッパの島国であるイギリスが,BREXITを通じてヨーロッパ大陸諸国との新たな関係構築に苦慮している状況を理解することにより,アジアの島国である日本が,アジア大陸諸国との間でどのような関係を構築すべきかという問題を考える上で,何らかの貢献になることがあれば幸いです。

<到達目標/Goals,Aims>

イギリス現代政治とヨーロッパ統合について一定の知識を得る。 
イギリスとヨーロッパとの歴史的な経緯を踏まえたうえで,EU離脱をもたらした諸要因について,一定の理解を持つことができるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) イントロダクション:イギリスとヨーロッパ  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:授業前にe-classを通じてレジュメ・資料を配付するので,授業内容を確認のうえ,あらかじめ事前学習をしてください(1時間程度)。  
復習:授業で紹介された参考文献を参照してください。また,各回の授業テーマに関係する文献・資料を自ら調べて学習するようにしてください(1時間程度)。  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ヨーロッパ統合前史:第二次世界大戦までのイギリスとヨーロッパ  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ECSC,EEC,Euratomの結成とイギリス  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 第一次・第二次EEC加盟申請とその挫折  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) EC加盟と1975年国民投票  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) サッチャー政権とヨーロッパ統合  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) メイジャー政権と欧州懐疑主義の勢力拡大  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ブレア政権とヨーロッパのリーダーシップをめぐる争い  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) キャメロン政権と2016年国民投票  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) イギリスのポピュリズム:UKIPの台頭とEU離脱論  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) EU離脱交渉  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 離脱後のイギリスとEUの展望  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) EU離脱とイギリスの国家形態:スコットランド独立問題,アイルランド統一問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) EU離脱とイギリス政党政治  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 

 受講者には,授業時間外の自己学習として,各回の授業内容に関連する参考文献にあらかじめ目を通したり(予習),授業中に紹介された文献などを手がかりとした自主的研究(復習)を行うことにより,授業で話された内容をより深く理解してほしいと考えます。なお,障がいのある学生が授業方法について合理的配慮を必要とする場合には,事前に相談するようにしてください。  
 基本的には授業計画通りに進めますが,新型コロナウイルス感染症対策のため,今年度はこの講義をWebを通じたオンデマンド授業で実施することに伴って,授業内容を若干変更する可能性もあります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

中間レポート(2回)  80%  レポートのテーマにあった論述がなされているか,記述内容は正確か,文章は論理的か,などの点を評価の基準とします。 
小テスト(4回)  20%  設問に対して的確に答えているか,記述内容は正確か,文章は論理的か,などの点を評価の基準とします。 

不定期に授業内容に関する感想を適宜e-classを通じて提出してもらうことにします。授業の感想の提出があれば,最終的な成績評価に若干加味する形で使います。 
障がいのある学生が成績評価方法について合理的配慮を必要とする場合には,事前に相談するようにしてください。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
261 23.4 41.4 19.5 5.0 10.7 0.0 2.6 *

<テキスト/Textbook>

2020年中に出版予定のイギリスのEU離脱に関する書籍をテキストに指定する予定です。詳しくは初回の授業で紹介します。

<参考文献/Reference Book>

佐々木雄太・木畑 洋一(編)  『イギリス外交史』(有斐閣、2005)ISBN:9784641122539 
 

力久昌幸  『イギリスの選択』(木鐸社、1996)ISBN:9784833222334 
 

梅川正美・阪野智一・力久昌幸(編)  『現代イギリス政治』第2版 (成文堂、2014)ISBN:9784792332129 
 

細谷雄一  『イギリスとヨーロッパ-孤立と統合の二百年-』(勁草書房、2009)ISBN:9784326351442 
 

細谷雄一  『迷走するイギリス-EU離脱と欧州の危機-』(慶應義塾大学出版会、2016)ISBN:9784766423730 
 

近藤康史  『分解するイギリス-民主主義モデルの漂流-』(筑摩書房、2017)ISBN:9784480069702 
 

その他,授業の中で適宜紹介します。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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