シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△福祉国家と政治
Welfare States and Politics
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  加藤 雅俊

<概要/Course Content Summary>

本講義では,政治学の観点から福祉国家論について学習する。具体的には,「福祉国家の変容」をキーワードに,①戦後の高度経済成長期を支えた「ケインズ主義的福祉国家」の特徴とそこにおける政治の特徴,②ケインズ主義的福祉国家への変容圧力と多様な政策対応,③グローバル化とポスト工業化を経た「ポストケインズ主義的福祉国家」の特徴とそこにおける政治の特徴,④ポスト福祉国家の可能性と課題を検討する。4つのテーマの検討を通じて,「政治経済システムとしての福祉国家」について政治学的理解を深めていきたい。講義では,日本や先進諸国の具体例に言及しながら,福祉国家に関する諸理論および諸概念を紹介していく。 
 
なお,新型コロナウイルス感染症の感染状況をふまえて,本授業は,オンライン形式で実施する予定である。授業の進め方は,以下を予定している。詳細については,初回時に説明する。 
まず,①授業のある週の水曜日(23時55分まで)に,その週のテーマに関する簡単な課題を課すので,提出してもらう。②授業時間帯(毎週金曜4限時)までに,スライド,レジメ,音声ファイルなどをアップロードする(あくまでも予定であり,諸事情で遅れてしまう場合はご容赦ください)。これらは,翌週火曜日の23時55分まで閲覧可能な設定とするので,それまでの空いた時間帯に学習してもらう。③その週の授業に関連するファイルをアップロードした後に,翌週の課題を提示するので,次の水曜日(23時55分まで)に,提出してください。 
 
同志社大学のシステムに不慣れためにご迷惑をおかけしてしまうこともあるかと思いますが,どうぞよろしくお願いいたします。不明な点などあれば,メール(問い合わせ先:sk319049@mail.doshisha.ac.jp)でお気軽にご連絡ください。

<到達目標/Goals,Aims>

・福祉国家に関する諸理論および諸概念が理解できるようになる 
・政治学的な発想法や思考法ができるようになる 
・日本の福祉国家に関して,理解を深める 
・福祉国家の今後に関して,自分自身の意見を持てるようになる

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) イントロダクション:本講義の目的と概要  (授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 福祉国家の政治学的分析とは何か? 
キーワード:福祉国家,政治学,社会諸科学における福祉国家論 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 高度経済成長期の福祉国家①:ケインズ主義的福祉国家の特徴と諸基盤 
キーワード:ケインズ主義的福祉国家,埋め込まれたリベラリズム,フォーディズム,雇用と家族の安定性,男性稼得者モデル,戦後和解・コンセンサス 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 高度経済成長期の福祉国家②:ケインズ主義的福祉国家の多様性 
キーワード:福祉資本主義の3つの世界(社会民主主義レジーム,保守主義レジーム,自由主義レジーム),日本型福祉国家 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 高度経済成長期の福祉国家③:ケインズ主義的福祉国家における政治 
キーワード:政党システム論,利益集団論 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ケインズ主義的福祉国家への変容圧力①:福祉国家の危機論と福祉国家への諸批判 
キーワード:資本主義と福祉国家,自由民主主義と福祉国家,福祉国家の諸課題 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ケインズ主義的福祉国家への変容圧力②:経済社会環境の変化 
キーワード:経済のグローバル化,ポスト工業化 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 小テストおよびこれまでの復習  (授業時間外の学習/ Assignments) 小テストにむけて,これまでの授業内容の確認など(60分程度) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ケインズ主義的福祉国家への変容圧力③:変容圧力への多様な対応 
キーワード:ネオリベラリズム,新保守主義,新しい社会民主主義 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 現在の福祉国家①:ポストケインズ主義的福祉国家の特徴と諸基盤 
キーワード:経済自由主義,ポスト・フォーディズム,雇用の流動化,家族の多様化,既存政党の衰退 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 現在の福祉国家②:ポストケインズ主義的福祉国家の多様性 
キーワード:ワークフェアの多様性,アクティベーション,脱家族化政策の多様性 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 現在の福祉国家③:ポストケインズ主義的福祉国家における政治 
キーワード:脱物質主義的価値,新しい政党,新しい社会運動,新しい政治 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 福祉国家を越えて?①:ポスト福祉国家の課題 
キーワード:国民国家の揺らぎ,自由民主主義の揺らぎ,社会保障制度改革の行方 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 福祉国家を越えて?②:ポスト福祉国家の可能性 
キーワード:シティズンシップ,ガバナンス,熟議(討議)民主主義,闘技民主主義,ベーシックインカムとアクティベーション 
(授業時間外の学習/ Assignments) 配付レジメおよび参考文献を参考に,授業内容の復習など(30~60分程度) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) おわりに:本講義のまとめと今後の展望  (授業時間外の学習/ Assignments) これまでの授業内容の確認など(60分程度) 

※・上記はあくまでも予定であり,諸事情によって,講義内容の一部を変更する可能性があります。申し訳ありませんが,ご理解ください。 
 ・特に,本年度は,新型コロナウイルス感染症の影響により,大きな変更が生じる可能性があります。お許しください。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  100%  ⅰ毎週の課題,ⅱオンライン小テスト(2回実施予定→8回目と15回目を予定),ⅲ最終レポートなどを総合して判断する。 
 
ⅰ毎週の課題については,その週の授業内容に関連することに関して,400字程度で書いてもらうものを,1or2題ほど出題します。授業前の水曜日に提出してもらいます。 
ⅱオンライン小テストは,授業内容の理解度を確認することを目的として実施します(授業で解説した概念や語句をせつめいしてもらう予定)。同志社大学のシステムで実施が可能な場合には行いますが,実施が難しい場合については,代替措置を検討します。詳細は,追って連絡します。 
ⅲ最終レポートは,A4で,4頁程度のものを書いてもらう予定です。授業内容をふまえたものを予定しています。詳細は,授業時に説明します。 

本講義では,①毎週の課題,②オンライン小テスト,③最終レポートという3つの観点から総合的に評価する。3つの観点を用いる理由は,授業内容の理解を確認するだけでなく,授業に主体的に取り組み,学んだ知識を積極的に活用できているかを確認するためである。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
22 36.4 18.2 9.1 4.5 31.8 0.0 2.2

<テキスト/Textbook>

・本講義では,特定のテキストを採用せず,レジメを配布する。講義内容を理解し,予習・復習など各自で学習するために,政治学の教科書(できれば複数冊)を手元に置いておくことを推奨する。 
・授業で解説した内容の理解を深めていくための参考文献などについては,授業時に適宜紹介する。

<参考文献/Reference Book>

・個別のテーマに関する参考文献については,授業時に適宜紹介する。 
・本講義全般に関する参考文献としては,以下のものがある。 
 →・新川敏光・井戸正伸・宮本太郎・眞柄秀子『比較政治経済学』有斐閣,2004年。 
  ・宮本太郎(編)『福祉+α 福祉政治』ミネルヴァ書房,2012年。 
  ・鎮目真人・近藤正基(編)『比較福祉国家』ミネルヴァ書房,2013年。 
  ・新川敏光(編)『福祉+α 福祉レジーム』ミネルヴァ書房,2015年。 
  ・C・ピアソン『曲がり角にきた福祉国家』未来社,1996年。 
  ・圷洋一『福祉国家』法律文化社,2012年。 
  ・田中拓道『福祉政治史』勁草書房,2017年。

<備考/Remarks>

・学習上で分からないことや困ったことは,メールやコミュニケーションペーパーなどを利用して,遠慮せずに,担当教員まで質問・相談してください。 
・とくに,本年度はオンライン形式での実施となります。授業内容で分からないことがあったり,疑問を感じた場合は,お気軽に担当教員に連絡してください。受講生みなさんからの質問・疑問の声は,授業の内容改善の重要な材料となります。ご協力いただけたら幸いに存じます。 
・政治学の観点から福祉国家論を学ぶことで,現代社会の政治秩序の特徴を捉えたいと考えています。現代政治および政治学に興味のある学生の受講を期待しています。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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