シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10307403 

△西洋法史
Western Legal Tradition
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  髙橋 直人

<概要/Course Content Summary>

 この講義のねらいは,西洋の近代刑事法・近代刑事法学の基本的特徴を歴史的な視点から理解することである。後掲の授業計画にみられるように,啓蒙期以降,特に18世紀後半以降のドイツの刑事法(学)を主な素材とする(※刑事法と刑事法学とを併せて「刑事法(学)」と表記する。以下同様)。その上で必要に応じ,啓蒙期以前の時代や,フランスやイタリアなどのドイツ以外のヨーロッパ諸国についても取り上げる。 
 
 明治時代以降,近代の日本における刑事法(学)は,ドイツ,フランスなどの西洋諸国からの強い影響のもとで成立し,その基礎の上に現代のわが国の刑事法(学)も成り立っている。そして日本の刑事法(学)にとって,西洋の「近代刑事法(学)」というものは――特に啓蒙期から19世紀はじめにかけての初期のそれ,たとえばベッカリーアやフォイエルバッハの刑法思想は――日本の現状を批判的に見つめ直し改善していく上で立ち帰るべき「原点」として,ある種の「理想化」もしばしば伴いつつ,常に意識されてきた。 
 
 このような経緯をふまえていえば,西洋の「近代刑事法(学)」の基本的特徴を理解することは,日本の刑事法(学)そのものをより良く理解するために欠かせないことである。また「近代刑事法(学)」の実像を多面的に再検討していこうとする近年のドイツや日本にみられる研究動向をふまえていえば,そもそもの「近代刑事法(学)」の基本的特徴をいかなるものとして理解するのかということ自体,この講義全体を通じて問い直すべき大きなテーマとなる。受講生諸君の意欲的な参加を期待する。 
 
 なお,この科目を履修する上で履修を終えておくべき科目あるいは平行して履修しておくべき科目は特に指定しない。その上で,可能であれば,刑事法に関する基本的な科目や基礎法学に属する関連科目(例:日本法史など)を履修しておくと,この科目に関する理解もいっそう深まると考えられる。また,法の歴史の背景となる世界史・日本史の一般的な基礎知識については,必要に応じて自習しておくこと。

<到達目標/Goals,Aims>

(1)西洋の近代刑事法・近代刑事法学の基本的特徴を,歴史的な視点から理解できている。 
(2)上記の(1)に到達する過程を通じて得られた知識や考え方・物の見方を,現在の刑事法をより良く理解するために活用できる姿勢を身につけている。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1  (内容/ Contents) 導入講義 西洋刑事法史と「近代」 / 前史 啓蒙期以前の刑事法の基本的特徴① 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 各回分の復習は必須である。それ以外に,適宜,授業中に指示する。※以下同様。 
(実施回/ Week) 2  (内容/ Contents) 前史 啓蒙期以前の刑事法の基本的特徴②  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 3  (内容/ Contents) 前史 啓蒙期以前の刑事法の基本的特徴③  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 4  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の形成①―啓蒙思想と刑事法 / ベッカリーアの『犯罪と刑罰』  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 5  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の形成②―18世紀後半から19世紀初頭のドイツ・フランスにおける刑事法改革(前編)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 6  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の形成③―18世紀後半から19世紀初頭のドイツ・フランスにおける刑事法改革(後編)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 7  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の形成④―独自の専門分野としての刑事法学,「学問(Wissenschaft)」としての刑事法学の発展とその背景  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 8  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の形成⑤―「近代刑法学の父」フォイエルバッハ(前編)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 9  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の形成⑥―「近代刑法学の父」フォイエルバッハ(後編)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の展開①―フォイエルバッハの理論はどのように受け止められたのか  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の展開②―ヘーゲル学派 / 新旧両学派の争い  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)の展開③―法学教育・法曹養成と刑事法 / 19世紀の刑事立法 / 刑事裁判の改革と陪審制・参審制  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 近代刑事法(学)史のふりかえりと補足  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 刑事法史にみる日本と西洋―明治期以降の西洋刑事法(学)の継受とわが国の刑事法(学)の展開  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 授業内評価  (授業時間外の学習/ Assignments) これまでの授業内容をふりかえり,授業内評価に備えること。 

受講者の関心や,授業内容についての受講者の理解度に応じて,授業計画に若干の変更を加えることがある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

授業内評価  70%  授業で取り上げた内容に関する理解を総合的に検証しつつ,前出の到達目標の達成度について評価する。 
各回授業に関するコメント  30%  単にコメントを提出したのみでは,最低限の加点対象にしかならない。コメントの内容面に優れたところや意欲的なところがみられれば,それについて加点を行う。 

<テキスト/Textbook>

レジュメを配布する。

<参考文献/Reference Book>

 特に指定はしない。第1回目または第2回目の授業の際に,西洋法史・ドイツ法史に関する参考文献のリストを配付する。授業で扱う個別のテーマにかかわる参考文献(特に個別的な論文等)については,レジュメを通じて指示する。なお,参考文献を1冊例示するとすれば,勝田有恒,森征一,山内進編著『概説 西洋法制史』(ミネルヴァ書房,2004年)がよい

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
Copyright(C) 2020 Doshisha University All Rights Reserved. 無断転載を禁止します。