シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10307102-002 

△刑事司法システム-2
Criminal Justice System-2
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  佐藤 由梨

<概要/Course Content Summary>

 本講義では,日本の刑事司法システムを手続の流れに沿って俯瞰し,その概要と基本原則について理解することを目的とします。 
 犯罪と刑罰を定めた法を刑法と呼びます。例えば,刑法199条には,「人を殺した者は,死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と規定されています。XがYを拳銃で撃ち,Yは出血多量で死亡した。これで殺人という犯罪が完成しました。このXに対して刑罰が科せられることによって刑法が実現されます。 
 ところが,現実の社会では,ここからが長いプロセスの始まりとなります。まず,Yの死体の発見や,銃声を聞いたという付近住民の通報などをきっかけに,捜査機関が捜査に乗り出します。様々な捜査によって証拠が集められ,容疑者が割り出されて,Xが起訴されて,被告人と呼ばれるようになります。裁判所で裁判が行われ,証拠が吟味され,Xによる殺人の事実が認定されて,Xは殺人罪で有罪判決を受けます。場合によっては上訴が行われ,最終的にXの有罪が確定するまでに何年もかかってしまうことがあります。 
 有罪が確定すると,裁判所で言い渡された刑罰が執行されます。例えば,懲役10年であれば,Xは受刑者として10年間,刑務所等の行刑施設で自由を奪われることになるわけです。これを施設内処遇と呼びます。ここで忘れてはならないことは,(死刑の場合を除いては)受刑者は刑期を終えて罪を償うと必ず社会に戻ってくるということです。したがって,行政施設での生活がとても重要になってきます。受刑者に規則正しい生活習慣をつけさせ,職業訓練を行い,再び過ちを犯すことのないように矯正教育が行われます。多くの場合,刑期満了前に,仮釈放という形で受刑者は一旦社会に戻され,社会の中で普通に生活しながら更生の道を歩むことになります。これを社会内処遇と呼びます。いずれにせよ,懲役10年であれば,10年を経過した時点で刑罰の執行が完了し,これによって刑法が実現されたということになります。 
 このように,刑法の実現までは,犯罪捜査,公訴の提起,裁判,受刑者の処遇という長いプロセスがあるのですが,それぞれの過程は全て一定のルールを守って行われることになっています。本講義は,刑事手続と犯罪処遇とを犯罪処理のための制度として有機的に結合させてとらえ,どのような機関が,どのようなルールのもとで,どのような役割を担っているのかということを,手続の流れに沿って解説していきます。特に,最近の重大事件等を素材として,現在の刑事司法の抱える問題点を意識化するとともに,裁判員制度の導入や犯罪被害者保護の潮流,犯罪者処遇の現実と新たな試み等,近年の刑事司法改革の流れについても,受講者が関心を持てるように,適宜,新聞記事やDVD等の映像教材を活用しながら解説していきます。

<到達目標/Goals,Aims>

▷刑事司法手続の基本的な流れを把握し,そのシステムの目的,機能の概略を理解できるようになる。 
▷とりわけ,現実の裁判の姿とそこに関与する人々の生の姿を通して,具体的に把握できるようになる。 
▷さらに,現在の刑事司法システムの抱えている問題点を把握し,それに対する対策について考察できるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) イントロダクション:刑事司法手続の概観  (授業時間外の学習/ Assignments) 犯罪や裁判に関する小説,ドラマ,映画等を通して刑事司法に親しんでおく。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 刑事手続の関与者  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 犯罪被害者の手続への関与  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 捜査の基本原則  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 被疑者の身柄拘束  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 被疑者の防御権  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 公訴の手続と公判の流れ  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 司法制度改革①:裁判員制度  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 司法制度改革②:新時代の刑事司法改革  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 冤罪とその救済  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 少年犯罪と少年法  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 犯罪者の処遇①:施設内処遇  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 犯罪者の処遇②:社会内処遇  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 全体のまとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) テキストやレジュメを利用して授業内容を復習してください。 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 授業内評価  (授業時間外の学習/ Assignments)  

本年度は,十分な感染予防対策を行ったうえで,教室での対面授業を実施します。また,教室へ来ることができない学生へ向けて,講義を収録した動画を,オンデマンドで配信します。対面授業の実施方法,動画の配信方法,講義レジュメの配布方法についての詳細は,初回の授業までにDUETでお知らせしますので,見逃さないようにしてください。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

授業内評価  100%  講義中に説明した手続の流れや概要,基本原則等について理解しているかどうか,また,刑事司法システムの抱える問題について把握し,そうした問題への対策を考察できているかを評価する。 

現時点では,授業内評価として,教室での筆記試験を予定していますが,コロナウイルスの感染拡大により,教室での試験実施が難しい場合には,レポート試験へ切り替える可能性があります。詳細は,授業中に,あるいはDUETを通して,お知らせします。

<テキスト/Textbook>

テキストについては授業開講時に説明します。

<参考文献/Reference Book>

大谷實  『刑事法入門』第8版 (有斐閣、2017)
 

三井誠=酒巻匡  『入門刑事手続法』第8版 (有斐閣、2020 )
 

宇藤崇=松田岳士=堀江慎司  『刑事訴訟法』第2版 (有斐閣、2018)
 

小型六法又は司法試験用法文を必ず持参すること。

<参照URL/URL>

裁判所ホームページ 
裁判所に関する情報のほか,最新の判例情報も得ることができます。 
検察庁ホームページ 
検察に関する情報が得られます。 
警察庁ホームページ 
警察に関する情報のほか,犯罪・捜査に関する統計資料等が得られます。 
法務省ホームページ 
刑事司法に関する統計資料等が得られます。 
法務省「犯罪白書」 
犯罪白書の概要のほか,各年の犯罪白書が閲覧できます。 
日本弁護士連合会ホームページ 
弁護士に関する情報のほか,弁護士会による現代司法の問題点に関する情報が得られます。 
 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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