シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10306959-123 

△3年次演習2(労働法)-123
Seminar for Juniors 2-123
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  土田 道夫

<概要/Course Content Summary>

 このクラスは,3年次演習からの新規登録を認める。 
 労働法を勉強すれば,法と社会の仕組みがわかる――少しオーバーだが,まんざら誤りでもない。 
もともと労働法は,実社会に密着し,人々のダイナミズムにあふれた領域である。そして今日,労働法は,日本型雇用システムの変化を反映して大きく変貌しつつある。雇用における男女平等,終身雇用・年功制の後退に伴う新たな法律問題(成果主義人事,転職の増加,解雇規制のあり方,定年延長等),企業組織の再編に伴う法律問題(出向・転籍,事業譲渡・会社分割),雇用の多様化に伴う問題(パートタイマー,派遣労働者等),仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)をめぐる問題(労働時間規制のあり方,過労死等),知的財産権法との交錯(守秘義務・競業避止義務,職務発明),国際的労働関係をめぐる法律問題(準拠法,国際裁判管轄),労働組合の組織率低下に伴う新たな労働者組織の課題(従業員代表制)などである。 
 
 こうした変化に対応して,立法も大きく動いており,会社分割に伴う労働契約承継法の制定(2000年),労働審判法,公益通報者保護法の制定(2004年),雇用機会均等法の抜本改正(2006年)などが実現した。そして,2007年には,労働契約法という基本立法が制定され,パートタイム労働法や最低賃金法が抜本改正された。さらに,2012年,労働契約法の改正による有期労働契約法制の創設,65歳までの雇用確保措置の強化を内容とする高年齢者雇用安定法の改正,派遣労働者の保護の強化を内容とする労働者派遣法の改正が成就し,2014年には,パートタイム労働法のさらなる改正が成就した。2018年には,「働き方改革」の新たな立法政策として,長時間労働の是正(時間外労働の上限規制),年休制度の改善,ホワイトカラー・エグゼンプションを中心とする労基法の改正や,同一労働同一賃金の実現を内容とする労働契約法・パートタイム労働法の改正が行われた。労働法のこのような重要性が認識され,新司法試験の選択科目においても,選択者が最も多い科目となっている。 
 
 21世紀におけるこうした雇用社会の変化を洞察しつつ,発生する問題を「法的に」どのように解決していくか――ここに労働法のおもしろさがある。男女の雇用平等問題一つをとっても,労働法・憲法・民法に基づく法的考察と同時に,社会における男女の関係のあり方(ジェンダー)や,性的分業についての考え方が問われるのである。知的好奇心にあふれた学生諸君の参加を期待する。 
 
 本演習では,このような労働法の全体像を深く,体系的に学びつつ,社会や企業で通用するプレゼンテーション能力,コミュニケーション能力,問題解決能力を養うこととしたい。また,企業法務の観点から,労働法コンプライアンスと法的リスク管理(予防法務)の視点を摂取して進めたい。どのテーマを取り上げる場合も,調査(Investigation)→思考(Think)→報告(Presentation)→討論(Debate)という方法が基本となるが,具体的なテーマについては,ゼミ生諸君の関心と自主性を尊重して決めたいと考えている。ここ数年は,学生諸君が自ら事例問題を作成し,報告班とディベート班(2班)を中心に討論するという方法を採用している。また,秋学期には,早稲田大学島田陽一ゼミおよび本学上田達子ゼミとの合同合宿を行う予定である。 
 ゼミのモットーは,「よく学び,よく遊べ」,「意欲+能力+努力,その結果が成果である」。コンパや種々の行事も積極的に行う。

<到達目標/Goals,Aims>

学生は,本演習を受講することにより,調査(Investigation)→思考(Think)→報告(Presentation)→討論(Debate)というプロセスを体験し,それによって,社会や企業で通用するプレゼンテーション能力,コミュニケーション能力,問題発見・解決能力を養うことができる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 秋学期中に,本学上田達子ゼミとの合同ディベートを実施する。 
 
(実施回/ Week) 第1回 
 
(内容/ Contents) オリエンテーション。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 第2回~第15回 
 
(内容/ Contents) 全員を班分けした上で,報告と討論。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 演習に関連するテキスト・資料・裁判例等を予習・復習すること。 
(実施回/ Week)   (内容/ Contents) ゼミは,対面授業形式で行います。ネット配信は併用しません。 
詳細は,第1回の授業時に説明します。 
(授業時間外の学習/ Assignments)  

授業時間外の学習:演習に関連するテキスト・資料・裁判例等を予習・復習すること。 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

出席  50%  演習に備えて準備を行い,確実に出席する。 
報告・討論  30%  報告は,聞き手に配慮して工夫を凝らし,討論には積極的に参加する。 
期末レポート  20%  自ら調査・思考し,閲読に耐える内容・形式のものとする。 

<テキスト/Textbook>

土田 道夫・豊川 義明・和田 肇編  『ウォッチング労働法』第4版  (有斐閣、2019)

 

土田 道夫  『労働法概説』第4版  (弘文堂、2019)

 

<参考文献/Reference Book>

土田 道夫  『労働契約法』第2版 (有斐閣、2016年)
 

菅野 和夫  『労働法』第12版 (弘文堂、2017年)
 

土田道夫・山川隆一  『労働法の争点』(有斐閣、2014年)
 

菅野 和夫・土田 道夫ほか  『ケースブック労働法』第8版 (弘文堂、2014年)
 

土田道夫編  『企業法務と労働法』第1版 (商事法務、2019年)
 

<備考/Remarks>

演習は,対面授業形式で行います。ネット配信は併用しません。 
詳細は,第1回の授業時に説明します。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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