<概要/Course Content Summary>
このクラスは,3年次演習からの新規登録を認めます。 この演習では,最近の事件,判例,立法などを素材に,刑法学および刑事政策学の重要論点について検討します。取り上げる課題としては,授業計画にあげたものを予定していますが,どれだけの課題を扱えるかは,受講者の人数などにもよるので,最終的には最初の時間に受講者と相談の上で決定します。 毎週の授業時間以外にも,報告の準備には,班単位で,あるいは個人で,多くの時間を割く覚悟で臨んでくれることを望んでいます。このほか,裁判傍聴,刑務所見学,他大学の刑法ゼミとの合同ゼミ(早稲田大学高橋ゼミと明治大学中空ゼミ),ゼミ旅行,ゼミ合宿,コンパなどを行い,ゼミ生間の交流も深めていきたいと考えています。 ゼミの運営は,ゼミ生の主体性に任せ,全員に何らかの役割(コンパ係,ゼミ旅行係,ゼミ合宿係,会計係など)を担当してもらう予定です。したがって,ゼミのあらゆる行事に積極的に参加する意欲のある者の参加を望んでいます。
<到達目標/Goals,Aims>
刑法および刑事政策に関する専門的知識を正確に理解できるようになる。 刑事法に関する最新の重要判例および学説の意義を正確に理解できるようになる。 グループワークにおいて,的確に自らの役割を実践できるようになる。 物事を論理的にとらえ,合理的に理解し,分析し,説明することができるようになる。
<授業計画/Schedule>
授業は各学期15回行います。各学期の前半は,班単位での報告準備(グループワーク)に当てます。 報告では,毎回1つのテーマを扱い,あらかじめ決めておいた担当の班が,具体的な事件の紹介や刑法上の問題点の分析を行います。そのうえで,全体でディスカッションを行うことにします。具体的なテーマは,登録者と相談して決めますが,授業計画で掲げたようなテーマを予定しています。 ◇因果関係――高速道路進入事件(最決平成15・7・16) ◇不作為の殺人罪――シャクティパット事件(最決平成17・7・4) ◇過失犯の注意義務――JR西日本福知山線脱線事故事件(最決平成29・6・12) ◇治療行為の中止――川崎協同病院事件(最決平成21・12・7) ◇正当防衛における「急迫性」――自宅前迎撃事件(最決平成29・4・26) ◇自ら招いた正当防衛状況―ゴミ捨て注意事件(最決平成20・5・20) ◇正当防衛による第三者への危害――実兄轢殺事件(大阪高判平成14・9・4) ◇誤想過剰防衛――勘違いの騎士道事件(最決昭和62・3・26) ◇強要による緊急避難(東京地判平成8・6・26) ◇共謀共同正犯―スワット事件(最決平成15・5・1) ◇不作為による幇助―児童虐待放置事件(札幌高判平成12・3・16) ◇承継的共同正犯と不能犯――特殊詐欺事件(最決平成30・3・22) ◇名誉毀損罪―インターネット名誉毀損事件(東京高判平成21年1月30日) ◇強盗罪―事後強盗事件(最判平成16年12月10日) ◇詐欺罪―クレジットカード不正使用事件(最決平成16年2月9日) ◇横領罪―横領後の横領(最判平成15年4月23日) ◇背任罪―イトマン事件(最決平成17年10月7日) ◇放火罪―不燃性建造物「放火」事件(最判平成元年7月7日) ◇文書偽造罪―履歴書偽造事件(最判平成16年12月10日) ◇犯人蔵匿罪―身代わり犯人事件(最判平成元年5月1日) ◇賄賂罪―リクルート事件政界ルート(最決平成11年10月20日) ◇少年法における逆送と移送(大阪地判平成28・8・2/大阪地判平成29・1・24) ◇年長少年に対する死刑――光市母子殺害事件(最決平成24・2・20) ◇司法取引――MHPS外国人公務員贈賄罪事件(東京地判平成31・3・1/東京地判平成30・9・13) ◇一部執行猶予(最決平成28・7・28)
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点(出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等)
|
80%
|
発表担当の際の取り組み方および毎時間のディベイトへの参加姿勢(毎回出席は当然の前提とする)を10段階で評価し,5倍にする。
|
レポート
|
20%
|
問題意識,着眼点,従来の議論の整理,自説の展開がなされているかを10段階で評価し,5倍にする。
|
|