2020年度

＜概要/Course Content Summary＞

　本授業では戦略という観点から，20世紀後半のアメリカの戦争を考察する。プロイセンの軍人のカルル・フォン・クラウゼヴィッツの『戦争論』によれば，戦争とは国民の情念，「拡大された決闘」，政治的意思の強要という三位一体の現象である。そして，戦略とは，目的を達成するために手段を用いることだと。もちろん，この定義には批判や近年では妥当性を欠いているのではないかという疑問も寄せられている。ただし，イギリスの歴史家，マイケル・ハワードが指摘するように，軍事作戦の本質を理解することなく，国際秩序の変容に大きな影響力を及ぼしてきた戦争の本質は理解できない。そこで，本授業では，政治と軍事の両面から，戦争とはいかなる現象なのかということを考察する。　
　本授業では，20世紀のアメリカの戦争，とりわけヘンリー・キッシンジャーが『アメリカにとってはじめての勝てなかった戦争』であり，道徳的信念とそれを達成する手段が一致しなったと指摘するベトナム戦争を題材にして，戦略とは何かといった問題を考察する。アイゼンハワー，ケネディ，ジョンソン，ニクソン政権を取り上げ，各政権がベトナム戦争において，どのような政治的な目的を設定し，それをどのように軍事力を用いて達成しようとしたのか，それとも，そもそも政治的な目的や軍事目標などは設定されていなかったのだろうかという問いを考察する。

＜到達目標/Goals,Aims＞

ベトナム戦争における大統領と軍部の意見の相違や大統領の決断を理解する。　
ランドパワー，エアパワー，ゲリラ戦の特徴を理解する。　
それにより，戦略という観点から，戦争という歴史上の現象を分析するための概念枠組みを修得する。　
　
　

＜授業計画/Schedule＞

受講生の数や関心に合わせて，授業の進度や形態に若干変更を加えることがある。

＜成績評価基準/Evaluation Criteria＞

＜参考文献/Reference Book＞