<概要/Course Content Summary>
日本は「アジア」なんでしょうか,そう問われたときどう答えますか。日本の近現代史を考える場合,かつて日本人をひきつけたアジア主義は,敗戦後の日本社会において帝国主義的大陸進出や膨張主義を正当化した右翼思想として,長い間タブー視されてきた。しかし,近代日本における対外観を考える場合,アジア主義をどのように捉えるかという問題は,避けて通ることができない。 発生的にいえば,西洋列強からの日本の独立と発展という近代化コースをめぐって,「国権」と「民権」,そのバリエーションである「欧化」と「国粋」という対立する思想潮流が交叉する時代状況,時期的には明治10年代末から20年代にかけてアジア主義は生み出された。 かつてある論者が「範疇としてアジア主義を固定する試みはかならず失敗するだろう」と述べたように,アジア主義は,ある実質内容をそなえ,客観的に限定できるような体系だった思想ではない。にもかかわらず,日本の近代史には,侵略的であるか否かは別にして,日本とアジアの関係を主体的に捉えようとする考え方や心的ムードが,その底流に一貫して流れているし,今現在も大して変わっていない。仮にそうしたアジア志向的な考え方やムード一般を総称してアジア主義と呼んでおきたい。こうした前提のうえで,日本をとりまく状況の変化に伴い,そのつど立ち現れるアジア主義が,どのような内容をもったものとして語られていたのかを,明治末年あたりまでを中心に概略的であれ辿ってみようというのが講義の目的です。
<到達目標/Goals,Aims>
かつてのアジア主義がもっていた二律背反的構造を学生に理解してもらい,日本が将来的にアジアもしくは世界とどう向き合っていくのか,受講生一人ひとりが考えてもらう参考にしてほしい。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(実施回/ Week)
1
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(内容/ Contents)
はじめに―日本人のアジアイメージ(1回)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
2
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(内容/ Contents)
アジア主義とは何か(3回)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
イ)アジアとは何か―語源の問題
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
ロ)近代以前における日本人のアジア認識
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
ハ)近代日本におけるアポリア―日本,西洋,アジア,トライアングルの構造
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
3
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(内容/ Contents)
アジア主義のプロトタイプ―近代化コースをめぐる問題(6回)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
イ)中江兆民『三酔人経綸問答』の世界―状況の典型化
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
ロ)脱亜の論理―福沢諭吉の文明観と脱亜の構造
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
ハ)興亜の論理―樽井藤吉『大東合邦論』におけるアジア連帯論
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
ニ)中国・朝鮮におけるナショナリズム―中華的世界像の変容
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
4
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(内容/ Contents)
岡倉天心のアジア的ロマンティシズム―Asia is one(2回)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
5
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(内容/ Contents)
日清・日露戦争以後のアジア連帯と侵略のはざま(2回)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
イ)アジア主義の変質
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
ロ)中国革命とアジア主義者―北一輝と吉野作造
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
6
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(内容/ Contents)
21世紀の日本とアジア(1回)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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配布資料は事前に目を通すようにしておいてください。歴史はすべからく現代を考えるものですから,日頃から新聞を読んで,今社会で何が起こっているか敏感であるように心がけてください。
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点(出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等)
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30%
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授業態度や質問を含め,授業に対する積極的参加。
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期末レポート試験・論文
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70%
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授業を通して得た自身の関心を表現できているか否か。
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特記事項
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一方通行の授業をさけるために,授業内容に関する個人もしくはグループによる自主的な報告,あるいは期末レポートの予備報告なども評価対象にしますが,これはあくまでも受講生の自発性にまかせます。
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<成績評価結果/Results of assessment>
成績評価の見方について/Notes for assessment
登録者数 |
成績評価(%) |
評点 平均値 |
備考
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A |
B |
C |
D |
F |
他 |
19 |
21.1 |
21.1 |
31.6 |
5.3 |
21.1 |
0.0 |
2.2 |
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<テキスト/Textbook>
テキストは使用しない。
<参考文献/Reference Book>
その他の参考文献はその都度指示します。基礎的資料は授業で配布。
<備考/Remarks>
過年度に開講されたクラスとは内容が異なります。
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