シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10280421 

△日本文学講読(中古D) (『源氏物語』花宴巻の講読)
Readings in Japanese Literature (Old2 D)
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  桑原 一歌

<概要/Course Content Summary>

『源氏物語』花宴巻を通読し,平安中期の物語を研究するために必要な読解力を養う。 
花宴巻では二度の花宴が催されている。巻の前半部では,宮中における桜の花宴が描かれる。それに対して巻の後半部では,貴族の邸第における藤の花宴が語られる。これらの花宴にはそれぞれの役割があることを読み取ってゆく。そして,両方の花宴に深く関わってくる登場人物として,朧月夜と呼ばれる女性がある。この人物が光源氏の前半生に大きな影響を及ぼす様をたどる。 
研究の基本技術を学ぶ上では,『源氏物語』の成立や構想上の問題,和歌の役割や当時の儀礼のあり方など,これまで指摘されてきた諸問題に触れてゆく。一つの巻全体を読むことにより,平安中期の物語作品の特徴や歴史的背景を総合的に学ぶことを目指す。 
主に日程前半の授業では,現代の注釈付き本文を用いる上での基本的な注意点を学ぶ。また中学・高校で指導する視点に立ち,文法事項や和歌の現代語訳の指導法といった読解の基本となる事柄について,認識を新たにする。後半の授業では,物語文学を研究する際の基本事項について学び,各自の関心に応じて考察内容を絞り込んでゆく。期末レポートは,小レポートの作成指導を経て準備を進める。レポートを書く上での要点も確認する。 
毎回の授業では,大学生による音読に諸注意や解説を補足しながら本文を読み進めることを中心とする。更に部分的な解釈などについて随時発問する場合もある。回によっては取り上げるテーマについての講義を聞いて学ぶ。それらの内容に応じて単発の課題への取り組みや,感想文を時間内に書いて提出するなどの作業も行う。全体として,積極的な質問をしてもらいたい。一方,他学部・学科在籍者や社会人入学生など,国文学を専門としない方の学習についても配慮しながら授業を行う予定である。 

<到達目標/Goals,Aims>

平安中期の物語文学を読解するにあたっての基本的な力を身につける。影印本(変体仮名)にも少々触れ,物語文学の本文異同注記の意味するところを理解できるようにする。巻全体を通読することで,確実な読解力を基に研究や教科指導ができることを目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ガイダンス(履修の要領と花宴巻概要)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講読の予習・復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 講読(桜の花の宴)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講読の予習・復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 影印本による講読(変体仮名の復習)  (授業時間外の学習/ Assignments) 翻刻の予習・復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 影印本による講読(様々な写本)  (授業時間外の学習/ Assignments) 翻刻の予習・復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 講読(朧月夜との出会い)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講読の予習・復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 講読(朧月夜の素性)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講読の予習・復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 講読(紫上の成長ぶり)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講読の予習・復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 期末レポート作成にむけて  (授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成準備 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 教材指導(中学・高等学校)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 教材指導(テスト作成)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 研究上の問題点の整理  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 講読(葵上との関係)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習・感想文の準備 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 講読(藤の花の宴)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習・感想文の準備 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 講読(朧月夜との再会)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習・感想文の準備 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 全体のまとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 期末レポート準備 

[対面用]予定は前後することがある。各回の授業で指定していた範囲を読み終えなかった場合は各自で復習するものとする。講読の予習として参考文献にあげた注釈等に目を通しておくことが望ましい。翻刻の予習には,小テスト準備も含む。また,学生の関心・質問に応じて別途課題を出す場合もある。 
[オンライン授業用]前半は読解力を向上させる課題をword教材で提示し,小テストをe-classで受け取る予定。一回あたりの学習時間は30分程度を目安とする。後半は期末レポート作成に向けて,段階を追って準備を進める課題とする予定。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  10%  出席と授業への参加状況。 
小レポート  20%  期末レポート作成の前段階となるもの。詳細については授業中に説明する。 
期末レポート試験・論文  50%  『源氏物語』をテーマに論述するもの。3600字以上の予定。詳細については授業中に説明する。 
提出物  10%  本文を鑑賞した感想文。 
小テスト  10%  翻刻・読解の基礎力を確認するためのもの。予告なしで2~3回を予定。 

[対面用]平常点は,出席回数も判断材料の一つとするが,欠席回数の基準を設けて落第とすることはしない。毎回の授業での自発的・積極的な参加状況や課題への取り組みにより,総合的に判断する。 
[オンライン授業用]e-class利用に切り替わった時期により,提出課題の回数が異なるので,合計で成績の20~50%とする予定。その場合,期末レポートの比率を小さくする可能性もある。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
38 0.0 2.6 44.7 39.5 13.2 0.0 1.4

<テキスト/Textbook>

柳井滋・室伏信助・大朝雄二・鈴木日出男・藤井貞和・今西祐一郎校注  『 源氏物語 (二)-紅葉賀―明石-』 (岩波書店、2017) 生協 

 

[対面用]授業では,別途配布するプリントと上記テキストとを併用する。テキストは予習・復習にも活用すること。他の出版社のものでも良い。 
[オンライン授業用] e-classでは,word教材の他にもPDF資料等を添付する可能性がある。

<参考文献/Reference Book>

岡崎真紀子・千本英史・土方洋一・前田雅之編著  『高校生からの古典読本』(平凡社、2012) 生協 開講前に目を通しておくことが望ましい。 
 

笠間影印叢刊刊行会編  『字典かな-出典明記-』改訂版 (笠間書院、1972) 生協 同種のものなら他社のものでもよい。 
 

その他随時授業中に紹介する。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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