2020年度

＜概要/Course Content Summary＞

【日本近代文学の中の〈旅〉】　
　程度の差こそあれ，現実においてもフィクションにおいても，〈旅〉は人が空間的・心理的に日常からの逸脱を経験する行為であると言える。本講義では，そのような〈旅〉という行為の，日本近代小説における描かれ方に注目する。そのうえで，小説の中の〈旅〉や〈旅〉の語りに付随する諸問題（例えば，近代的〈風景〉描写，〈旅〉における他者との関係，〈地方〉表象，移動と身体感覚など）を考察していく。　
　受講者には授業中に適宜質問し，対象作品の感想等を答えてもらう。また，毎時授業内容や予習時に浮上した疑問点等に関するコメントを所定の用紙に記入してもらい，教員と受講者との意見交換によって新たな問題を見出せるようにしたい。

＜到達目標/Goals,Aims＞

（１）日本の近代小説における〈旅〉の意味を深く考察できるようにする。　
（２）小説の読みの可能性を広げるための種々の観点（文学研究に隣接する他の学問領域の成果を含む）を知り，分析のために様々な資料を利用できるようにする。　
（３）明治から昭和初期（戦中まで）の文学作品に親しむ。

＜授業計画/Schedule＞

　授業の展開によっては，内容を追加・変更・省略する場合もある。また毎回の授業は，出席者が対象とする作品を読んでくることを前提として進める。

＜成績評価基準/Evaluation Criteria＞

　毎回提出するコメント用紙は，授業内容の理解度や応用力，発想の柔軟性等を評価する。期末レポートは，体裁・授業内容の理解度・説得力・論理性・オリジナリティ・参考文献の利用状況等を総合的に評価する。なお，出席の確認は提出されたコメント用紙をもとに行うので注意すること。

＜テキスト/Textbook＞

授業中に適宜指示または配布する。

＜参考文献/Reference Book＞

授業中に適宜紹介する。