シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10270317-051 

△日本文化史概説(2)-51
Introduction to Japanese Cultural History (2)-51
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  北 康宏

<概要/Course Content Summary>

 本講義は,日本の歴史を単に通史的に講ずるのみならず,文化史学的に把握する試みでもある。文化史学とは,歴史を過去の諸事象の集積として復元するだけではなく,価値value もしくは意味meaning の領域にまで踏み込んで,歴史のなかに働く精神の展開を描き出そうとする学問である。価値はバラバラに存在するものではなく,一つの価値体系をなして特定の時代を規定する。そこに時代の様式,思考のパラダイムが発生する。こういった視点から設定される時代区分には,文化の諸領域(政治・宗教・美術・生活意識など)を総体としてとらえる可能性が含まれている。――私たちは自分の過去を,価値や意味の問題から切り離して振り返ることができるだろうか? また,自分が意識的・無意識的におこなってきた個々の行為や判断の間に,相互関係が存在しないなどということがありうるだろうか? 文化史学とは既成の時代区分を超えて,自分の眼で過去を捉えなおし,意味づける試みであるといってよい。 
 個別の知識ではなく,種々の素材へのアプローチを通して歴史のとらえ方を学んでいただくことを目標としている。 
 
内容的に春学期の知識を踏まえて秋学期の講義を進めるので可能な限りセットで登録受講することを求める。

<到達目標/Goals,Aims>

日本史についての知識を通史的に獲得するとともに,史料を通して歴史を復元していく方法,および文化史学的な歴史把握の方法を習得すること。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世文化の芽生えの造形(1)(信貴山縁起絵巻の様式)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世文化の芽生えの造形(2)(信貴山縁起絵巻のモチーフ)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世文化の芽生えの造形(3)(源氏物語絵巻の様式)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世文化の芽生えの造形(4)(源氏物語絵巻のモチーフ)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 小右記にみる平安貴族の日常性(1)(古記録の世界)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 小右記にみる平安貴族の日常性(2)(古記録の読解)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 小右記にみる平安貴族の日常性(3)(藤原実資とその周辺)教〉)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世の所有観念(中世荘園)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 禅宗文化の歴史的位置(仏教の世俗への再吸収)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 近世歴史意識にみる新しい世界観と政治の動向(江戸時代の知の位相と国学・水戸学)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 明治史学からみた日本の近代(啓蒙主義史学からアカデミズム史学へ)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 大正・昭和という時代と歴史学  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 文化史学の成立と課題(西田直二郎)  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義の復習と文献の読解 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 秋学期の総括と理解度の確認  (授業時間外の学習/ Assignments) 秋学期学習内容の整理・確認 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 秋学期学習内容の整理と補足説明  (授業時間外の学習/ Assignments) 秋学期学習内容の整理・確認 

テーマは進み具合によって取捨選択する。本年度は,絵巻物という絵画資料から歴史を読み解く方法,日記の中から人物像を抽出する方法に重点を置いて授業を進める予定である。なお,絵巻物の授業では動画を視聴する部分がある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

学期末試験を行う。  100%  授業内容の正確な理解(80%),受講者の学術的な知見(20%) 
特記事項    原則として毎回出席をとる。7割以上出席しなければ,期末筆記試験を受験することはできない。 

単位取得には出席のみならず各自の研究努力を要求する。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
135 33.3 28.9 15.6 9.6 12.6 0.0 2.6

<テキスト/Textbook>

プリントを随時配布する。

<参考文献/Reference Book>

村上 一博・西村 安博 編   『新版 史料で読む日本法史』(法律文化社、2016)  
授業で扱ういくつかのテーマと関わりがあり,また講義の問題意識を理解していただくのに役立つ。合わせて活用していただけたらと思う。 
 

石田 一良  『日本文化史―日本の心と形―』(東海大学出版会、1989)
 

笠井 昌昭  『古代日本の精神風土』(ぺりかん社、1988)
 

家永 三郎  『日本文化史』第2版 (岩波新書、1982)
 

坂本 太郎  『日本の修史と史学』(至文堂、1958)
 

<備考/Remarks>

本講義は文化史学科の専門科目であるから,教養的な内容ではなく漢文史料などを活用して研究の実際を提示していく。また,文化史学は通常の日本史に対して応用的位置にあるので,基本的な知識をある程度前提とする。高等学校などで日本史関係科目を履修していない人,他学科・他学部の学生は日本史の概説書を読んでおくこと。また『新版日本史辞典』(角川書店)などが手元にあると便利である。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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