シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10270212-003 

△日本文化史演習Ⅰ(2)〔史1年〕-3
Seminar in Japanese Cultural History I (2)-3
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  嶋本 尚志

<概要/Course Content Summary>

文献史料(特に漢文史料)の読解を通して日本文化史研究への導入を行う。概説書や小説を読むだけで過去の歴史がわかったと思うのは,他人の意見や評判だけで人を判断するに等しい。直接その人と向き合い,その声に耳を傾けてこそ,自分自身の心で相手を理解することができる。もちろん,過去の文化と向き合うのは容易なことではない。異文化との対話同様,言葉の壁もあるし,価値観のズレもある。そして相手は自分を生み出した過去でもある。しかし,だからこそ実り豊かな対話が生まれるのである。日本文化史研究を志す受講生には,ぜひ自分の眼で過去と向き合ってほしい。対話には,多様な媒体=「史料」が用いられるが,最近では漢文・古文を読める人が減りつつあり,自分の眼で過去と対話すること自体が困難になってきている。読解力の練磨が不可欠なのである。もちろん読解そのものが最終目的なのではない。本当の難しさはさらにその先にある。文字史料はかなり多くの情報を提供してくれるが,かえってその扱いは難しい。先行する資料を前提に新たな言説が生み出されたり,特定の意図のもとに歴史事実とは異なることが語られるという歴史事実もある。史料を生み出した「ひと」の顔を思い浮かべ,「史料の個性」を感じ取りながらそこに静かに耳を傾けること,これもまた文化史研究にとって大切な第一歩である。

<到達目標/Goals,Aims>

主に漢文によって書かれた日本史史料を漢和辞典を引きながら読解し,加えて関連史料を収集してその歴史的含意を把握することができるようになること。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1~3  (内容/ Contents) (A)漢文書き下しの基本説明。返り点などの復習。 
「書き下し」の難しさは,1)日本語とは異なる漢文の文法・語順を把握すること,2)古文文体に翻訳すること,の二つに由来する。2)については,和文史料(今昔物語集・平家物語など何でもよい)を数多く声に出して読み,古文の口調を体得するのが一つの近道である。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 授業の復習と課題の予習 
(実施回/ Week) 4~6  (内容/ Contents) (B)史料読解のための史料集・辞書・工具書・研究書・学術論文の利用方法。 
史料のもつ情報を十全に理解するには,まずその史料そのものの性格を知り,加えて関係史料を蒐集し,それとつきあわせる手続きを経なければならない。その方法や必要な道具について一通りは知っておく必要がある。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 授業の復習と課題の予習 
(実施回/ Week) 7~13  (内容/ Contents) (C-1)史料の読解演習。 
受講者が一人ずつ史料を担当して解説・発表し,それをめぐって発表者以外も討論する。時間外の十分な下調べやレジュメ作成も授業の一環と考えていただきたい。史料の読解を繰り返し実践することによってこそ,歴史的感覚は磨かれていく。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 担当テキストの発表準備と担当外のテキストの予習復習 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) (D-1)総括。 
春学期における読解演習により習得した基礎的な学力を総括する。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 春学期学習内容の整理確認 
(実施回/ Week) 15 
 
(内容/ Contents) (E-1)総括を踏まえた指導・補足等。 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 春学期学習内容の整理確認 

上記の全体計画のもとで,秋学期16~30を運営する。春学期・秋学期通して一人1回程度,担当史料に関する発表を分担する。また,各発表を受けて参加者全体で討論する。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  50%  担当史料に関する十分に準備された発表。 
期末試験(クラスによっては,各種レポートを加える。)  50%  正確で深い史料読解能力。 
特記事項    演習科目ゆえ,毎回の出席と予習,担当分の発表は成績評価の前提条件となる。詳細は各クラスの担当者が教室で指示する。 

<テキスト/Textbook>

 古代~近世の各時代の基本史料より選択した共通テキスト(授業1回目に頒布。)と,各クラス担当者が追加するオリジナルテキスト。 
 あわせて『新版日本史辞典』(角川書店)および『新字源』(角川書店)など小型の漢和辞典は必ず持参すること。 
 また,『新大字典』(講談社),『大漢語林』(大修館書店),『大字源』(角川書店)などの中型漢和辞典,『岩波日本史辞典』(岩波書店,CD-ROM版もある)など中型の日本史辞典なども,座右に備えておくと便利である。

<備考/Remarks>

演習科目は毎回十分な予習・復習が不可欠である。受講生は相当の覚悟をもって臨んでもらいたい。なお,クラス分けは授業開始以前に掲示板に指示する。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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