シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10270102-051 

△西洋文化史概説(2)-51
Introduction to Western Cultural History (2)-51
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  吉門 昌宏

<概要/Course Content Summary>

この講義は,16世紀から19世紀にかけての西洋近代の歴史を,文化総体の歴史的変動と捉えて辿ることを目的としています。ここでの文化とは,個別領域のこと―芸術や音楽,伝統芸能や生活習慣・習俗,階級文化や世代文化等々―を指すというよりも,人間の思考や行動を統制していると同時に,人間によって常に新たに構成されるようなあらゆる価値観,知の秩序といったものであり,文化史とはそうした構成物の歴史的変移を辿ろうとするものです。 
その際,西洋近代の特徴を,産業(労働)社会,積極的に富・財を産みだしてその増大を図ろうとする社会へと向かう歩みとして捉え,それに向けて準備・形成されることになった宗教的,倫理的,政治=経済思想的な観念とその変容に注目してみたいと思います。大まかな言い方をすると,古代・中世には人間の欲望や欲求を肯定的に捉え,勤労を説く思想や倫理は明確ではありませんでした。ところが,近代になると,そうした勤労の思想が推し進められるだけでなく,人間の意欲を実現し欲求を満たして行けるような制度やメカニズムが発展します。このことが西洋近代における市民社会を出現させ,自由主義を形成してゆくことになります。 
この講義は西洋近代の文化史的観点から見た通史という位置づけなので各論に深入りした説明行わず,西洋近代を貫く動向・動態を大きく辿ってみることにします。さらに,近代を特徴づける成長や進歩の思想/イデオロギーがどのように形成されてきたかにも注意を払いつつ,そうした思想なり近代社会を反省してみる契機にできればと考えるところです。

<到達目標/Goals,Aims>

・西洋の歴史・文化・社会についての知識・見識を養い,西洋世界のもっている特質について一定の理解を得ること。 
・今日的な世界のあり方を歴史形成の帰結として捉える視野を身につけ,そこから今日的な問題を把握できるような態度・能力を身につけること。 
・歴史を客観的に把握して,理解した内容を自身の文章で表現できること

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) はじめに - 西洋文化の特質と“文化史”という視角  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:参考文献を手掛かりに,文化史についての理解を深めてみる(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ルネサンス期の変動 Ⅰ- 中世から近代へ:何が変化してゆくのか?  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:ルネサンスのあらましについて理解しておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ルネサンス期の変動 Ⅱ- 古典文化の受容と思想的展開  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:(課題)ルネサンス期の新たな精神についてまとめてみること(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 宗教改革 Ⅰ - 歴史的背景  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:ヨーロッパの16世紀の歴史について,その概略を理解しておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 宗教改革 Ⅱ - ルターとカルヴァン:“使命”としての“労働”  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:ルターとカルヴァンの思想について,その概略を理解しておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 宗教改革 Ⅲ - カルヴィニズム:“近代的職業倫理の形成”  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:(課題)宗教改革の後世への影響について確認してみること(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 啓蒙思想 Ⅰ - 歴史的背景と思想の基本(総論)  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:17~18世紀の,特にイギリスの歴史について,その概略を理解しておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 啓蒙思想 Ⅱ - 社会契約論と所有権(J・ロック)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:(課題)ロックの思想の新しさがどこにあったのか,確認してみること(2時間) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 重商主義とその時代 Ⅰ - 社会の変容(マニュファクチャ)と労働の強化  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:絶対王政と重商主義について一般的な理解を得ておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 重商主義とその時代 Ⅱ - 国富の増大と近代経済学の起こり  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:産業革命の起こりと展開について,そのあらましを確認しておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 重商主義とその時代 Ⅲ - A・スミスと自由主義への胎動  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:(課題)この時代の社会的変動と労働文化とのかかわりについて確認してみること(2時間) 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 自由主義 Ⅰ- 市民社会の到来  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:西洋近代の市民革命について,その概略を確認しておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 自由主義 Ⅱ - 自由主義国家と資本主義経済  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:自由主義という言葉の一般的な意味内容について確認しておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 自由主義 Ⅲ - 古典的自由主義の変容  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習:19世紀の階級対立,階級社会,社会主義思想について一般的な理解を得ておくこと(1時間) 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 自由主義 Ⅳ - 人間/市民の自由と倫理(J・S・ミル『自由論』)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習:(課題)ヨーロッパ文化としての自由の特徴は,どのようなところにあるか,確認してみること(2時間) 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

課題・小レポート  100%  小レポート(5回の提出:5×20点:1000字程度):テーマに関する講義内容の理解の程度,文章表現力,レポートの構成・立論の確かさを評価し,さらに,レポート作成上の着眼点のユニークさといった点も考慮する。 

・試験は行わず,平常点での評価となります。 
・全回提出を単位取得の条件にはしませんが,提出が欠けることのないように努めて下さい。 
・なお,講義毎の出席は取りません。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
121 8.3 25.6 28.9 11.6 25.6 0.0 1.8

<テキスト/Textbook>

テキストは特に定めません。

<参考文献/Reference Book>

ピーター・バーク  『文化史とは何か』(法政大学出版局、2008)
 

H・アーレント  『人間の条件』(ちくま学芸文庫、1994)
 

深井智朗  『プロテスタンティズム-宗教改革から現代政治まで-』(中公新書、2017)
 

M・ウェーバー  『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』改訳版 (岩波文庫、1989)
 

弓削尚子  『啓蒙の世紀と文明観』(山川出版社、2004)
 

D・ウートラム(田中秀夫監訳)  『啓蒙』(法政大学出版局、2017年)
 

小山哲他編  『大学で学ぶ西洋史[近現代]』(ミネルヴァ書房、2011)
 

リン・ハント編(筒井清忠訳)  『文化の新しい歴史学』(岩波書店、1993)
 

講義内で言及する参考文献の一つを通読してみることが望ましい。

<備考/Remarks>

秋学期が始まったときに,“e-class”で「案内」を出すので,先ずはそれを見て下さい。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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