シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10270092-101 

△日本美術史(2)-101
Japanese Art History (2)-101
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  栗本 徳子

<概要/Course Content Summary>

奈良時代から江戸時代までの日本絵画の歴史を「和」と「漢」の問題を主軸にしながら,各時代の文化の享受者に目を向けながら概観したい。日本では,中国など海外からの影響をストレートにうけとりつつ,それを主体的に選択し,また変容させていくことで独特の絵画が作られてきた。絵画におけるこうした「漢」(中国)の影響と「和」への変容をたどりながら,日本美術の在り方の一端を考察したい。 
なお,絵画を題材にすることについて,受講者に求めたい課題がある。文字情報だけで,日本絵画の歴史を,代表的作家や作品名の暗唱で学習しようという態度を捨てていただくことである。私たちは日常,過去の日本美術に接する機会の乏しい生活を送っている。ことに日本の絵画は,素材の問題もあり経年による剥落退色を被って,ストレートに美しさを受け取りにくい面もあるが,さらに深刻なのは,近代以降の西洋式の美術教育で,岩絵の具の色彩や墨線の美しさを鑑賞する眼を,失ってしまった感さえあることである。本講義では,過去の日本人が見出していた「美」をできるだけ汲み取り直すことで,こうした鑑賞のための手がかりを持ち,今日なお私たちにうったえかけてくる美術作品の力を率直に感じ取っていくことを目指したい。そのため講義は,毎回,スライド,ビデオなどを用いて,作品を見ること,比較することに力を注ぎ,日本絵画の鑑賞力を高めることにも努めていきたい。

<到達目標/Goals,Aims>

日本の絵画の古代から近世までの大きな流れをとらえ,中国などの影響と日本におけるその変容の諸相を理解することができるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 日本における古代の中国,朝鮮半島からの絵画の影響   
奈良時代~平安時代の唐絵について 
(授業時間外の学習/ Assignments) 全体を通して,展覧会や寺院など 
に足を運び,実際の絵画作品を 
鑑賞する機会を作ってほしい。 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 和の文化の成立 やまと絵と宮廷詩歌の世界  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 平安時代の絵巻物  源氏物語絵巻〈物語絵巻・女絵〉  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 平安時代の絵巻物  信貴山縁起絵巻〈説話絵巻・男絵〉  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 鎌倉時代の絵巻物  平治物語絵巻〈戦記絵巻〉  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世的「漢」の文化の成立1 禅宗と美術  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世的「漢」の文化の成立2 初期水墨画と詩画軸  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 山水水墨画と雪舟  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 中世における「和」の文化 中世のやまと絵  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 中世における「和」と「漢」の文化の混交そして融合へ  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 障屏画と狩野派  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 桃山時代の障屏画 永徳と等伯  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 近世における「和」の文化 琳派(光悦,光琳,宗達)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 近世における「漢」の文化 文人画の世界(池大雅,与謝蕪村)  (授業時間外の学習/ Assignments) 復習 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 近世における「漢」と「洋」の文化 写生画の世界 
(動植物図譜,花鳥画,円山応挙) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 復習 

授業計画は,あくまで予定であって,ひとつのテーマで数コマに渡る場合もある。その場合は,最後のテーマまですすめないこともある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  45%  出席と各授業内で出す課題のレポート提出 
期末レポート試験  55%  試験では図版による作品3点を映写する。これに基づき,それぞれの授業内で扱った作品が美術史的にどのように位置付けられるのかを作品を比較しながら論じてもらう。具体的作品を通して美術史的観点から考察する力をもつかどうかを判断する。 

平常点は,出席回数と各授業内で出す課題のレポート提出によって採点する。期末レポート試験は,作品を具体的に比較し,時代や流派,作家の様式の違いを明確に論じていることを評価する。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
13 69.2 0.0 7.7 0.0 23.1 0.0 2.9

<テキスト/Textbook>

栗本徳子 編  『日本の芸術史 造形篇Ⅱ 飾りと遊びの豊かなかたち』 (京都造形芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎、2013年) ISBN:978-4-344-95164-8 

 

その他,授業用の資料をDUETあるいはe-classに添付する。

<備考/Remarks>

直接,作品を鑑賞する機会が多いことが望ましい。折に触れ美術館,博物館,寺院などへ出かけ,日本美術に親しんでいただきたい。見学案内などは授業中に適宜おこなう。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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