シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10260406 

△デザイン理論Ⅰ (現代デザインの問題)
Design Theory I -Contemporary Design Issues -
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  高安 啓介

<概要/Course Content Summary>

現代のデザインの動向について知ります。日常生活において私たちデザインを自分の好みで判断しがちですが,本授業をとおして自分の好みを超えてデザインについて論じることができるようになります。デザインの様々な問題について知るため,毎回異なる話題を取り上げますが,2話ずつ内容が組みになっています。2回分の授業で話されたことを,指定の題目のもと,A4で1枚の文章にまとめて,翌週に提出します。

<到達目標/Goals,Aims>

デザインの歴史について重要なことを理解している。 
日々の生活においてデザインを意識するようになる。 
社会におけるデザインの役割について考えるようになる。 
大学での学びや生活にデザインの知を生かそうとする 

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 01  (内容/ Contents) デザインとは 
デザインとは何かと問われても簡単には答えられないほど,デザインの語はいまや人間のあらゆる活動にたいして漠然と広い意味で使われています。デザインの語源にさかのぼって昔の意味を探るとともに,現在デザインの語がますますモノではない関係にたいして言われるようになっており,現代のデザイナーの関心もまた人間どうしのつながりの形成へと傾いていることを確かめます。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 02  (内容/ Contents) 装飾について 
19世紀後半になって欧米のデザイナーはこぞって美しい装飾をあみだそうとしましたが,20世紀初頭に起こった近代デザイン運動はむしろ合理主義の思想をかかげて無駄だとされる装飾のなくそうとしました。この著しい変化はいったい何を背景としていたのでしょうか。一連の経緯をふまえながら現代の装飾がどんな意味をもちうるのかについて考えます。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 03  (内容/ Contents) 簡素さの美 
20世紀の近代デザインは装飾を排するとともに簡素さの美にうったえました。日本にそうした近代デザインの考えが伝わると,日本のデザイナーは自国の伝統文化のうちにも同じ美質がみとめられることに気づきました。侘び茶はそうした簡素さの美をみとめやすい伝統文化の典型といえます。現在でも日本の製品デザイナーはそうした伝統を感じさせるものを生み出しています。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 04  (内容/ Contents) 空間をつくる 
近代デザインにおいて,装飾のない簡素さが見出されるにつれて,空間そのものを形づくる意識も高まります。建築デザインの目標となるのは,ユークリッド空間のような均質な抽象空間ではなく,個人の実感にもとづく個々の具体空間であるはずです。後者はいわば体験される空間であって,身体・知覚・気分の三つと深く結びついています。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 05  (内容/ Contents) 良いデザイン 
グッドデザイン賞のような顕彰制度はどのように起こったのでしょうか良いデザインにもとめられる正しさとは何なのでしょうか。今日のデザインの仕事は,社会関係を構築したり,社会問題を解決したり,物ではない成果にむかう傾向があるならば,そのような成果をどのように評価できるのでしょうか。良いデザインとは何かについて考えましょう。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 06  (内容/ Contents) 誠実な製品 
徳とは,誠実・正直・謙虚といった人間の優れた性格のことで,一種の倫理ですが,工芸の品々から工業製品まで,徳の表現がしばしば重んじられました。生み出した人がほんとうに誠実であるのか,誠実にみえる製品がほんとうに誠実であるかはともかく,徳の表現としての美がどのような価値であるのかを考察します。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 07  (内容/ Contents) 環境をつくる 
現在,デザイナーにかぎらずもとめられているのは,環境という大きな関係を見渡しながら,全体のなかで良い循環が生まれるよう,諸々の関係を生み出そうとする姿勢です。自然環境にかかわる生態工学の仕事を知るとともに,景観デザインの歴史および現代の取り組みについてみていきたいと思います。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 08  (内容/ Contents) 人工知能 
人間の脳には,認識・感情・記憶・思考・学習といった様々な働きがありますが,人工知能について近年注目されてきたのは,機械学習の一部としての深層学習です。人工知能がどれほど人間の仕事に食い込んでくるのか,人工知能はどのような可能性をはらんでいるのか,人工知能はどのような危険をはらんでいるかについて考えます。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 09  (内容/ Contents) 社会への関心 
社会デザインは,社会正義にもとづき,社会責任を自覚して,社会問題を解決し,社会変革を目指す,ソーシャルな関心にもとづくデザインであるとします。社会デザインはたしかに現代のソーシャルな関心を反映した呼び名ですから,現代の視点から,200年のデザインの歴史における社会デザインの展開をみたいと思います。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 批判のかたち 
一般にデザインにおいて重視されるのは役に立つ働きであり,要求されるのは問題の解決であるが,目先の課題ばかりに気を取られていると,既存の大きなシステムに組み込まれたり,常識にとらわれて他の可能性が見えなくなったりしがちである。これにたいして,批判デザインは,役に立つよりも考えさせることを,問題の解決よりも問題の提起をねらう試みである。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 衣服のこれから 
自分たちの着ている衣服やその原料はどのように生産されているのでしょうか。私たちは品質もそんなに悪くない衣服をどうして安く買えるのでしょうか。ファッション分野のなかなか見えにくい問題をよく見てみましょう。現代のファッションデザインの最前線はけっしてモードの世界にあるのでなく,持続可能な世界に向けての取り組みにあることを認識したいと思います。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 食のつながり 
食べることは人間の生活の根幹をなします。食のデザインと聞くと,料理の盛りつけなどを思い浮かべるかもしれませんが,それにかぎりません。食をめぐるグローバルな問題に直面して,農業から食卓までの行程を見直したり,食のサービスを計画したり,食べる場面そのものを創造したり,食のデザインは広範でしかも多岐にわたります。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) タイポグラフィ 
タイポグラフィはもともと活版印刷術のことでしたが,今日では活字にかかわるデザインの全領域をあらわします。書体デザインが活字自体の設計をいうならば,タイポグラフィは活字を組む仕事であり,後者をあえて漢語でいうと組版となり,組版をさらに英語でいうとコンポジションとなります。音楽にもつうじる構成原理をあきらかにしてみようと思います。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 見る詩の世界 
具体詩とよばれるなかでも,文字の形態であるとか文字の配置そのものを見せつける視覚詩は,意味をもたないわけでなく,普通の詩と同じくらい意味をはらんでいます。日本でも1960年代から70年代にかけて盛んに創作されました。具体詩はタイポグラフィの性格おびているので視覚伝達デザインへの応用の可能性もはらんでいます。文字が動く詩についても考えます。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 学びに生かす 
この授業で学んだことは皆さんの今後の学びにも活用できるはずです。パワーポイントなどの視覚資料のみならず,物事の分析のしかた,論文の構成のしかた,文章の作成のしかた,問題の発見から問題の解決にいたるプロセスにまで,どのように生かせそうか考えてみましょう。芸術分野の学生の学びの例をとおして,芸術研究の一端についても紹介します。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 小レポート作成 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  60%  本人が小レポートを提出することで出席の確認とする。 
小レポート  40%  授業の内容の要点を分かりやすくまとめて自分の考えを展開している。 

2回でひとつの語の解説がなされ小レポートをそのたび書きます。翌週かならず本人が提出します。これによって出席も確認します。したがって遅れて提出してきたレポートはみません。授業の内容をまとめたうえで自分なりの解答を導き出しているレポートを高く評価します。小レポートはそのつどポイントをつけてお返しします。ポイントの合算によって成績評価をおこないます。3分の2以上の宿題提出(出席)が最低条件となりますのでお気をつけてください。成績評価について詳しくは最初の授業でお話しします。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
156 23.7 20.5 11.5 5.8 38.5 0.0 1.9

<参考文献/Reference Book>

高安啓介  『近代デザインの美学』(みすず書房、2015)ISBN:4622079026 
 

授業の内容を確かめたり深く知りたい人はぜひ読んでください。近代・造形・構成・形態・空間・表現というように重要なキーワードごとの解説になっています。受講しながら読むとデザイン文化への理解がより深まります。

<参照URL/URL>

http://www.let.osaka-u.ac.jp/bigaku/ 
 

<備考/Remarks>

皆さんは将来デザイナーになるわけでなくてもデザイナーにいろいろな依頼をする場面があると思います。そうしたときこの授業で取り上げる用語について知っていると自分の考えを伝えやすくなります。またデザインの背景について知識をもっているとアイデアを提案しやすくなります。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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