<概要/Course Content Summary>
“地獄と怪物の画家”といわれるヒエロニムス・ボッス(1450-1516)は,北方ルネサンスを代表する一人で,その作品は,幻想的で非常に独創性に富んでいます。レオルド・ダ・ヴィンチなどと同時代に生きたにもかかわらず,優美で光りあふれたイタリアルネサンスと対照的に,多様な怪物・魔物が跋扈する終末論的世界が展開され,見る者に人間の罪と罰・愚かさを強く意識させます。ただ,緻密な描写の中にも,色彩は明るいものが多く,どことなくユーモアを感じさせてくれるのも大きな特徴です。まだ西洋美術に宗教が大きなウエイトを占めていた時代ではありますが,彼の作品は,現代に生きる私達にも通じる様々な問いを投げかけてくれます。 今期も,ボッスの研究書であるR.H.マレイニッセンの『ボッス全作品集』を取り上げ,ボッスの代表作の一つである『聖アントニウスの誘惑』と祭壇画『最後の審判』についての論考部分を読んでいきます。独文自体は,複雑なところもあったりイレギュラーな箇所も出てきますが,文法がマスターされておれば見通せると思います。また,これまでの研究成果を踏まえたところもあるので,幅広い知識が必要となってくるところもありますし,注釈の部分も解読しなければならないこともあると思われます。ただ,本講では,単に独文を和訳するというのではなく,当時の文化的歴史的背景や出来事・様々な関連する作品などを学んだうえで,作品の持つテーマや人間の本質について考える切っ掛けにしてもらえればと思っています。 例年通り,フリートークの時間を設けており,アットホームに楽しく,ある時代の芸術作品に限定することなく,芸術とそれを取り巻く社会や歴史について,あるいは激動する現代社会における自らの位置・生きる意味について,人間にとって自分にとって芸術は必要なのかなど,きたんのない自由なディスカッションを通して多くのことを深く考えられるようになってもらえればと思います。
<到達目標/Goals,Aims>
ドイツ語の原典に接することで,文法や文の構造を習得することはもちろんですが,まずは逐語訳が出来ること。それから,文意を読みとって出来る限りなめらかな日本文に訳出すること。作品の歴史的文化的背景や作者について理解を広げ,さらに美や芸術についてより深く考察できるようになること。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
1
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(内容/ Contents)
テキスト,作者の紹介
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(授業時間外の学習/ Assignments)
全期間を通じて,テキストは,必ず事前に目を通し,単語等丁寧に調べておくこと。
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(実施回/ Week)
2~4
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(内容/ Contents)
西洋美術の流れの概略的説明
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(授業時間外の学習/ Assignments)
全期間を通じて,テキストは,必ず事前に目を通し,単語等丁寧に調べておくこと。
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(実施回/ Week)
5~6
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(内容/ Contents)
美学・芸術学を学ぶ上での基礎概念の説明
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(授業時間外の学習/ Assignments)
全期間を通じて,テキストは,必ず事前に目を通し,単語等丁寧に調べておくこと。
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(実施回/ Week)
7~10
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(内容/ Contents)
特にルネサンスの芸術のついて
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(授業時間外の学習/ Assignments)
全期間を通じて,テキストは,必ず事前に目を通し,単語等丁寧に調べておくこと。
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(実施回/ Week)
11~15
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(内容/ Contents)
受講者の取組んでいる作品や関心のあるアートの状況について
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(授業時間外の学習/ Assignments)
全期間を通じて,テキストは,必ず事前に目を通し,単語等丁寧に調べておくこと。
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<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点
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30%
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出席,担当分の成果,受講中の積極性を評価の対象とします。
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小テストと期末テスト
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70%
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期間中,講読した箇所と講読していない箇所を共にスムーズに和訳できること。
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<テキスト/Textbook>
Roger H.Marijnissen
, Hieronymus Bosch Das vollstandige Werk
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(1988)
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特に二回生の人にとっては原典の文献は,一文が長く複雑に思われる箇所もあるかと思いますが,語尾や格などの変化に注意して少しずつ慣れていってください。内容的には難しいものではありません。
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講義資料はこちらから配布します。
<参考文献/Reference Book>
テキスト理解に必要と思われる資料や文献は,その都度コピーして配布します。
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