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※学期中に内容が変更になることがあります。 | |||||
2020年度
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<概要/Course Content Summary> 相対論が物理学の現代的な刷新であることは,いまさら繰りかえすまでもない。相対論という名称からすれば,一見したところ,相対論が出るまで物理学の探究を支配してきた古い形式の物理学の壁を壊したのは,相対性という考えかたであるように思われる。しかしながら,古い物理学は,相対性という見方をまったく無視していたわけではない。相対論であろうと,古い物理学であろうと,物理学であるかぎり,ある事象を観測するときには,どの地点に立って,その事象を見ているのか,観測者の位置に依って,当の事象の様子は異なってくる。たとえば,地球に足場を置いて,天体の様子を眺めると,もろもろの星は,地球を中心にして,その周りを回っている。これにたいして,太陽に足場を置いて,地球を見てみると,地球は,太陽の周りを楕円の軌道を描いて公転している。観測の立脚地,すなわち,座標軸の設定が肝要になる。ここに相対性という考えかたが出てくる。すなわち,地球が静止しているのか,あるいは,地球が運動しているのか,地球の運動の様態は,それを記述する座標軸に相対的に決まってくる。古い物理学もそのことを理解している。それゆえ,物理学の革新は,物理学者がそれまで無視していた相対性という概念をはじめて注目するようになった,という把握にはない。それでは,相対論の新しさは,どこにあるのか。周知のように,古い物理学を完成させたのは,ニュートン(Issac Newton, 1643-1727)である。この物理学を特徴づけているのは,万有引力の法則である。すなわち,質量のある二つの物体のあいだには,それらの質量に比例し,かつ,それらのあいだにある距離の平方に反比例する,たがいに引きつけあう力が働く。万有引力の法則に拠って,地球が太陽の周りを楕円の軌道に沿って回る,という地動説の考えかたを支持できる。一方,わたしたちは,宇宙の空間が真空であると考えている。それゆえ,わたしたちにとって,地球と太陽は,たがいに遠く隔たっており,それらのあいだになにもない。地球と太陽は,ばらばらに宇宙の空間のなかに横たわっている。とはいえ,相当な距離で離れている二つの物体がどのようにしてたがいに影響を及ぼしあうのであろうか。わたしたちと接触していない机を離れたところから動かすのは,わたしたちには不可能である。この難局を回避するために,古い物理学は,万有引力が遠隔的に働くという仮説を立てた。これまでの論述から分かるように,万有引力の作用が遠隔的であると考えるときの背景には,どのような物体もたがいに係わらずばらばらになっているという理解がある。つまり,諸物体のあいだには完全な分断があるのである。ホワイトヘッド(Alfred North Whitehead, 1861-1947)に拠れば,相対論が露わにしているのは,古い物理学が非関係的な分断としての空間を想定しているという事情である。逆に言えば,相対論は,諸物体が関係的なありかたをしていることを主張している。すなわち,物体は,個々ばらばらに存在しているのではなく,ほかの物体と連なり繋がりながら存立しており,その意味で,相対的な存在であるのである。ホワイトヘッドは,このような見地から,古い物理学の特徴を浮かびあがらせようとしている。秋学期でも,春学期に引きつづいて,An Enquiry Concerning the Principles of Natural Knowledge (1919)を繙き,ホワイトヘッドの言う自然的知識の原理に迫りたい。 <到達目標/Goals,Aims> 【知識】物理学が用いる鍵概念の意味が分かるようになること。 <授業計画/Schedule>
授業の進捗の状況によって計画に変更の生じる場合がある。その都度,教室のなかで確認し,状況に応じて計画を見なおす。 <成績評価基準/Evaluation Criteria>
【小テスト】授業の終わりに,授業内容の理解度を確認するための小テストを毎回行う。
<成績評価結果/Results of assessment> 成績評価の見方について/Notes for assessment
<テキスト/Textbook> とくに使用しない。 <参考文献/Reference Book> 随時紹介する。 |
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