シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


30217201 

△芸術哲学特講Ⅰ (作品の美学と場所の美学)
Advanced Lectures in Philosophy of Art I -Aesthetics of Work, Aesthetics of Place-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  上村 博

<概要/Course Content Summary>

おおよそ18世紀に成立した美学(エステティック)が感覚・知覚(アイステーシス)に由来し,もともとは「感性論」であったとしても,その後の19世紀~20世紀の学問的な経緯から,そこで扱われる「感性」はいささか過剰に「作品の知覚」をモデルにしたものでした。実際には通常の生活では勿論,芸術経験においても,必ずしも私たちは対象の形態に意識を集中して知覚していません。さまざまな制作の歴史も,芸術に作品形式以外の,いわば不純物(形式主義的な立場から見れば)に依拠した名前,素材,欲望などを利用し,そのことで知覚そのものを一層充実させています。本科目では,作品そのものというより,作品を囲むもの,不純なものに注目し,その役割と意義を考察します。

パレ・ロワイヤルの中庭

<到達目標/Goals,Aims>

今日的な作品概念と芸術経験を成立させる条件に関する批判的考察力を身につけることを目標としています。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 作品と場所(導入)  (授業時間外の学習/ Assignments) 作品概念の整理とフォーマリズム理論の予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) フォーマリズム言説の系譜   (授業時間外の学習/ Assignments) カントおよびフィードラーの認識論について調べておくこと 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 純粋知覚性の美学の功罪   (授業時間外の学習/ Assignments) 美術館,博物館の機能と目的を考えてくること 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 作品の場所と美術館の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 博物館展示の方法について事例を探しておくこと 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 作品の場所と文化財制度の問題   (授業時間外の学習/ Assignments) 資料展示と作品鑑賞の差異について考えておくこと 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) グループ発表  (授業時間外の学習/ Assignments) 土地と作品の関係を考察しておくこと 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ローカルカラーの誕生  (授業時間外の学習/ Assignments) 主題として土地を扱った芸術作品を探しておくこと 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) ローカリズムと地域文化  (授業時間外の学習/ Assignments) 主題としての土地,様式としての土地について考えておくこと 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) コレクションとモノへの執着  (授業時間外の学習/ Assignments) コレクションの諸形態の実例を探しておくこと 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 蒐集と場所  (授業時間外の学習/ Assignments) カタログ,ガイドブックの表記法について考えておくこと 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) フェティシズムの問題   (授業時間外の学習/ Assignments) フェティッシュの実例を探しておくこと 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 作品は「どこに」存在するか  (授業時間外の学習/ Assignments) 日常的な芸術経験を探しておくこと 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) パレルガ  (授業時間外の学習/ Assignments) 額縁や展示空間の機能について考えておくこと 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 自然と芸術  (授業時間外の学習/ Assignments) 人体や生物への美的な感覚の意味について反省しておくこと 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 課題発表とまとめ   (授業時間外の学習/ Assignments) 割り当てられた課題の発表準備と振り返りをすること 

受講生の関心に応じて授業の進行を一部変更する可能性があります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  30%  グループ課題発表での課題理解の度合い 
クラスで発表など  70%  個人別発表での分析の明晰さと問題関心の的確性 

成績評価は授業中のグループ発表と個人発表をもとに行います。グループ発表では指定された課題についてグループごとに事例報告を行って貰い,受講生それぞれの貢献部分を発表資料として提出してもらったうえで,そこでの個々の課題理解度を評価します。個人発表では,的確な問題の発見とその分析力を評価します。

<参考文献/Reference Book>

授業時に指示します。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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