シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10210324-021 

△Junior Seminar Ⅱ-21
Junior Seminar II-21
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  菅原 真理子

<概要/Course Content Summary>

 本科目では,日本語の語アクセント(lexical accent)と英語の語強勢(lexical stress)の比較,英語のイントネーション(intonation)を主に扱い,単語や句・文レベルでの超分節素性(suprasegmental features),もしくは韻律的特徴(prosodic features)に主眼をあてて授業を進めていく。 
 英語は強弱の区別が甚だしい言語であり,よって特に機能語(function words)の場合,同じ単語であっても文中のどこに現れるのか,談話の焦点となっているのか否か,といった統語的・語用論的要因によって,発音が大きく異なる。それに対し日本語は静的な言語であり,英語のようにひとつの単語の発音が統語的・語用論的要因によって大きく変化を遂げることはない。このような日英の韻律的特性の違いについては,高校や大学での英語教育において詳しく触れられることはないため,日本語を母語とする英語学習者たちがなかなか気付けない部分でもある。よってこのような点を客観的に理解することにより,自らの英語の発音も向上することが期待される。 
 授業の前半では日本語の語アクセントに関してKawahara (2015) The Phonology of Japanese Accentを読み,英語の語強勢およびイントネーションに関して教科書のChapter 5 Words and Sentences(単語と文)の内容を学生たちが発表する。さらにこれらのテーマに関してのディスカッションを通し,普段自分たちが自分の母語である日本語の諸方言にてどのようにアクセントが分布しているのか,また自らが英語を話す際,どこまで英語母語話者と同じように語強勢やイントネーションを使用しているのかを考察していく。後半では音声分析の実習を通して,実際の英語の発音(おもに機能語の強形と弱形の発音の違いやイントネーション)を音声解析ソフトを使って分析し,英語のネイティブらしい発音・イントネーションとはどのようなものなのかを体得していく。 
 また本学期末には卒業論文計画書を提出する. 
 
このゼミを履修する者は,秋学期開講の『英語音声学・音韻論 I』を同じ年度に履修することが望ましい。

<到達目標/Goals,Aims>

(1)英語と日本語の音韻論・音声学とその関連領域について視野を広げる。 
(2)学術論文の書き方を学ぶ。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 授業紹介 
期末論文と卒論計画について 
発表担当者決定 
英語論文でよくみられる誤りについて 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 春学期レポート内容を各自5分以内で発表  (授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 音象徴(sound symbolism)1 
Shinohara and Kawahara (2010) A Cross-linguistic Study of Sound Symbolism: The Images of Size 
pp.396-398 (Sec 1 Background and Sec 2 Research Questions) 
pp.398-402 (Sec 3 Methods and Sec 4 Results) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 音象徴(sound symbolism)2 
Shinohara and Kawahara (2010) A Cross-linguistic Study of Sound Symbolism: The Images of Size 
pp.402-407 (Sec 5 Discussion and Sec 6 Summary and Conclusion) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 日本語のアクセント1 
Kawahara (2015) The Phonology of Japanese Accent 
pp.445-448 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週までの課題: 
各自の方言の動詞活用のアクセントについて考えてくる 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 日本語のアクセント2 
Kawahara (2015) The Phonology of Japanese Accent 
pp.452-460 (Sec 2. Loanword accent and Sec 3. Stochastic skews) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Chapter 5 English Words and Sentences 
pp.115-119 (Stress省く) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週までの課題 : 
pp.139-141,B, D, E, F, G(授業で扱っていない内容に関しては,各自でそれが扱われている教科書の箇所を読み,内容を理解し,それに基づいて解答すること) 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Chapter 5 English Words and Sentences 
pp.119-124 (Sentence Rhythmは省く) 
課題(p.139-141, B, D, E, F, G)の答え合わせ 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) Chapter 5 English Words and Sentences 
課題(p.139-141, B, D, E, F, G)の答え合わせ 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) Chapter 5 English Words and Sentences 
pp.126-134 (Intonation) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) Chapter 5 English Words and Sentences 
pp.134-138 (Target Tones) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) Chapter 5 English Words and Sentences 
まとめ 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 音声分析実習1 
英語と日本語のリズムの違い:母音の長さのPVI(Pairwise Variability Index)で両言語のリズムの違いを数値化する. 
・グループ分け 
・Praatの使用の仕方 
・Segmentation作業について 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週までの課題:各自自宅で割り当てられた日本語と英語の音声のsegmentationを行ってくる. 
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 音声分析実習2 
英語と日本語のリズムの違い:母音の長さのPVI(Pairwise Variability Index)で両言語のリズムの違いを数値化する. 
・課題で分からなかったところの確認 
・各自が作成したTextGridファイルと音声ファイルからデータを抽出 
(授業時間外の学習/ Assignments) 次週の予習 
今週の復習 
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) ふりかえり  (授業時間外の学習/ Assignments) 今までの授業の復習 

受講者と相談の結果,授業計画を変更する可能性がある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  10%  授業参加度,課題への取り組み  
発表  30%  要点をまとめられているか,わかりやすく説明できるか,その他 。  
期末論文(英語1500語程度,A4・英文学科書式に則ること)  30%  4年次の卒論に関連したテーマであること.先学期の期末論文で既に卒論のテーマを扱っている場合,さらに内容を発展させるか,同じテーマ内の別の事象を扱うこと.内容,構成,英語力,形式を評価する.) 
期末筆記試験  30%  授業で扱った内容を理解しているか 

<テキスト/Textbook>

Peter Ladefoged, Keith Johnson , A Course in Phonetics ,  7th edition .   (CENGAGE Learning, 2015) ,  同志社大学の教科書販売所 .  ISBN:1-285-46340-4  同志社大学の教科書販売所で購入すること.(他で購入すると版が異なる可能性があるため.) 

 

<備考/Remarks>

概要にも書いたように,このゼミを履修する者は,秋学期開講の『英語音声学・音韻論 I』を同じ年度に履修することが望ましい。また,言語を多面的に理解するために,統語論や意味論,その他の言語学・英語学に関する選択科目も履修することを勧める。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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