シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


30204065 

考古学特講Ⅱ (弥生時代国家論の可能性)
Advanced Lectures in Archaeology II -Archaeological Evidence for State Formation in Japanese Archipelago,Possibility in Yayoi Period-
4単位/Unit  通年/All year  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  寺澤 薫

<概要/Course Content Summary>

日本列島における古代国家の成立は7世紀後半期とされるのが一般的である。しかし近年の考古学的なアプローチでは国家形成期を5世紀や3世紀に遡ってみる考えが議論を呼んでいる。授業では国家成立史に関する諸説を検討することから始め,国家概念がどのようにとらえられてきたかを整理する。その上で,授業では政治学の滝村国家論の有効性を前面に押し出し,考古学からの弥生時代国家論を模索する。 
授業は講義形式とゼミ形式を併用しながら進める。必要に応じて資料を配付したり,指定した文献を各自で事前に読破して,発表形式で問題点や疑問点などを議論する方式も多用して,臨機応変に授業を進めたい。従って相応の事前準備が要求されるが,自由な意見交換や議論のなかでそれぞれが頭書のテーマについて考え,ひいては自らの研究領域においても国家論に対する問題意識を持つ機会としたい。

<到達目標/Goals,Aims>

・日本列島における国家の形成や成立についてどのように研究されてきたかを知る。 
・国家概念がどのように理解されてきたかを学び,考えるきっかけを見いだす。 
・弥生時代の政治構造や社会を考える上で,考古学資料に関して理解を高め,その解釈について議論に参加できるようになる。 
・日本列島における国家形成過程の枠組みをみずから描いてみる。そこに自らの研究領域での「国家」をどのように位置づける可を考える。 
・授業内容は毎回ごとの積み上げであるから,欠席が多いと目標到達は難しい。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) オリエンテーション 
:新たな国家論への眼差し(滝村国家論の紹介) 
:授業の進め方 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 2~3  (内容/ Contents) 都出比呂志の「初期国家論」:都出論文の批判的講読と議論  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 4~7  (内容/ Contents) 文献学者による初期国家論をめぐる検討 
:論文の批判的講読と議論 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 8~11  (内容/ Contents) 考古学者による初期国家論をめぐる検討 
:論文の批判的講読と議論 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 12~15  (内容/ Contents) 首長制論の再検討 
:論文の批判的講読と議論 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 夏期レポート  (内容/ Contents) 未定  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 16  (内容/ Contents) 新たな国家論をめぐる理論的視角:滝村国家論の有効性について <以下は寺沢論文に沿って行う>  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 17  (内容/ Contents) 弥生時代国家論の試み 1 
:戦争論と国家本質論  
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 18~20  (内容/ Contents) 弥生時代国家論の試み 2 
:北部九州弥生時代国家論 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 21~23  (内容/ Contents) 弥生時代国家論の試み 3 
:地域社会論(とくに畿内地域を中心に)  
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 24~25  (内容/ Contents) 補論1:内的国家論の有効性と現在 
集落・墓地構造と地域社会構造論からみた最近の動向 
の批判的検討等々(論文講読と議論) 
補論2:地域社会論の試み(大和弥生社会の展開と特質)  
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 26~27  (内容/ Contents) 「倭国乱」の実像と東アジア世界 
:王国形成へのプロセス-歴史学的検討- 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 28~29  (内容/ Contents) 日本列島における王国の形成 
:纒向遺跡出現の歴史的意義と王権の誕生 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 
(実施回/ Week) 30  (内容/ Contents) 総括  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習・復習 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(講読論文に対するレポートの作成内容や発表,討論の成果等)  50%  積極的な授業参加と国家形成論に関するアプローチ。 
中間レポート試験  20%  課題の論文や書籍に対する国家論的評価が論理的に行われているか。 
期末レポート試験・論文  30%  弥生時代国家論に対する自己の考え方の提示。自己の研究領域における国家形成史上の位置づけと研究上の課題などが展望できたか。 

事前の資料の講読やレポートの準備,および積極的な授業(勉学)参加が必要です。 

<テキスト/Textbook>

寺沢 薫  『日本列島における国家形成の枠組み-纒向遺跡出現の国家史的意義-』『纒向学研究』第1号  (纒向学研究センター、2013) 5~30  講義の最初に配布する 

 

<参考文献/Reference Book>

寺沢薫  『日本の歴史02巻-王権誕生-』(講談社、2000年・初版)原著は初版2000年であるが,2008年に文庫版が講談社学術文庫から再刊行されている。本書は一般向きに書 
かれた啓発書であるので,授業の前提としてここに書かれている程度の知識と理解が望まれる。授業と並行してぜひ読破してほしい。 
 

寺沢薫  『王権と都市の形成史論-弥生時代政治史研究 4-』(吉川弘文館、2011年)
 

寺沢 薫  『弥生時代国家形成論-弥生時代政治史研究 2-』(吉川弘文館、2018年)
 

このほか,『青銅器のマツリと政治社会』『弥生時代の年代と交流』(いずれも吉川弘文館)なども適宜参照されたい。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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