2020年度

＜概要/Course Content Summary＞

授業の概要　　
　現象とは何か。現象概念は，２０世紀には現象学の問題構制の中で論じられ，とりわけ「自分自身を自分自身において示す」という現象概念は，現象学の鍵概念の一つである。ミシェル・アンリは，主著『顕現の本質』（邦訳『現出の本質』）において，この現象概念を歴史的文脈のなかに位置づけるとともに，「自己現出」の問題として捉え直している。そのなかでアンリは，デカルト以降の近世哲学史へと立ち戻り，とりわけ意識の領域において様々な仕方で機能する「現れる（apparaître）」働きを詳細に分析し，それを一括して「超越」として理解する。本講義では，このアンリによる近世哲学史理解を批判的に検討することを目的とする。そのために，デカルト以降の現象論の系譜を追跡するとともに，それを乗り越える「現出の二元論」の思想の可能性と限界を論究する。秋学期は，アンリのヘーゲル批判から出発し，行為や実践固有の現象様態を明らかにする。

＜授業計画/Schedule＞

＜成績評価基準/Evaluation Criteria＞

＜参考文献/Reference Book＞

春学期以外の参考文献は授業時に直接指示します。