シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10103327-052 

△賛美歌の研究-52 (賛美歌の世界)
Hymnology-52 -Introduction to Christian Hymnody -
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa 

  高橋 聖子

<概要/Course Content Summary>

ヨーロッパ音楽は,キリスト教の変遷と共に発展して来ました。音符の「ド・レ・ミ」の呼び方も,初期の楽譜が発明された事も,すべて教会の中から賛美のために必然的に生み出されたものです。従って我々が今日礼拝の中で歌う賛美歌は,長いキリスト教音楽の歴史が凝縮された賜物であると言っても過言ではありません。また賛美歌は聖書の箇所を「音楽」という手段にのせて,礼拝においては会衆の思いを直接「賛美」という形で表現する一方で,歌い手個人の思いに寄り添う重要な役割を果す,形式的にも内容的にも偉大なる音楽であるということを改めて認識すべきです。 
この講義では,先ずキリスト教音楽の基礎知識を学んだ後に,カトリックの主な聖歌,プロテスタントのコラールについて学びます。主要な作曲家のコラールに関連する名曲に触れながら,様々な角度から原語や日本語で賛美歌を探求して行きます。また,日本に於ける明治時代の唱歌と賛美歌の関連性にも着目します。最終的には,普段礼拝で良く歌われる賛美歌の背景や意味を知り,どのような時にどのような場面で歌われる曲であるか,『讃美歌21』をテキストとして考察して行きます。 
私はパイプオルガン奏者です。受講場所である神学館チャペルにて,実際にオルガンを弾きながら,それぞれが新たに賛美歌の意味する音楽を発見出来るように,授業を進めて行きたいと考えています。

<到達目標/Goals,Aims>

 賛美歌の歴史的背景や内容を様々な角度から理解し,今日の賛美歌を考える基礎を養う。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1回目  (内容/ Contents) 導入:キリスト教音楽の基礎知識を得る。記譜法や「ド・レ・ミ」の起源について。  (授業時間外の学習/ Assignments) グレゴリオ聖歌を聴いておく。 
(実施回/ Week) 2回目  (内容/ Contents) 宗教改革とコラール,教会暦について。 
ドイツ・バロック教会音楽作曲家J.S.バッハについて。バッハのオルガン作品よりコラールを考察する。 
(授業時間外の学習/ Assignments) J.S.バッハについて各自事前に知識を得ておく。 
(実施回/ Week) 3回目  (内容/ Contents) J.S.バッハの「マタイ受難曲」を通して,受難のコラールがどのように扱われているかを考察する。  (授業時間外の学習/ Assignments) J.S.バッハの宗教曲を聴いてみる。 
(実施回/ Week) 4回目  (内容/ Contents) カトリックのミサについて。「ミサ曲」より学ぶ。  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で紹介する「ミサ曲」を聴いてみる。 
(実施回/ Week) 5回目  (内容/ Contents) アヴェ・マリア,アヴェ・マリス・ステラ,スタバト・マーテル,マニフィカートについて。  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業内で紹介する曲を聴いてみる。 
(実施回/ Week) 6回目  (内容/ Contents) アフロ・アメリカン・スピリチュアルとゴスペル・ソングについて。  (授業時間外の学習/ Assignments) 黒人奴隷制度について,理解しておく。 
(実施回/ Week) 7回目  (内容/ Contents) 明治時代の日本の音楽教育より「唱歌」と「賛美歌」の関係を考察する。  (授業時間外の学習/ Assignments) キリスト者で当時の唱歌の作曲家を調べる。 
(実施回/ Week) 8回目  (内容/ Contents) 隠れキリシタンにおける「歌おらしょ」について触れる。 
日本の賛美歌の変遷について。1931年版『讃美歌』より学ぶ。 
ミーターによる,曲と歌詞の入れ替えについて。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 「隠れキリシタン」についての知識を得ておく。 
(実施回/ Week) 9回目  (内容/ Contents) 1954年版『讃美歌』,1967年版『讃美歌第ニ編』について。 
『讃美歌21』との比較,変遷の過程を学ぶ。 
以降,『讃美歌21』をテキストとして使用しながら,項目に沿って主な曲を考察して行く。 
Ⅰ.礼拝: 礼拝の式次第について。(1~93番) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 『讃美歌21』の前書きを読み,理解する。 
(実施回/ Week) 10回目  (内容/ Contents) Ⅱ.諸式(94~112番)  
Ⅲ.詩編と頌歌(113~201番) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 復習。授業で扱った曲,及び関連聖句を確認しておく 
(実施回/ Week) 11回目  (内容/ Contents) Ⅳ.礼拝の時と教会暦 (202~389番)   (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 12回目  (内容/ Contents) Ⅴ.教会(390~429番)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 13回目  (内容/ Contents) Ⅵ.キリスト者の生活(430~568番)  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 14回目  (内容/ Contents) Ⅶ.終末(569~580番) 
及び『こどもさんびか』より学ぶ。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 同上。 
(実施回/ Week) 15回目  (内容/ Contents) 総括  (授業時間外の学習/ Assignments) 授業を総合し,各時代における賛美歌全般の流れとその特徴を整理 
する。 

コロナ感染の状況を見て,内容を臨機応変に変更する可能性あり。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

期末筆記試験(状況によっては学期末レポート)  40%  授業全般を通して,各自が理解し,自分の言 
葉で解答できているかを評価基準とする。 
出席重視,積極的授業態度。  60%  各回の授業を通して,各自の考察を確認する。 

授業出席態度や積極的な意見を重視しますが,様々な理由で対面式授業に出席できない履修者にも,DUETやe-classを通して対応します。授業内で指示するミニレポート等の提出は大いに評価対象とします。特にこの授業では,自分ならではの考察力を大切にします。

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
24 29.2 37.5 8.3 4.2 20.8 0.0 2.5 *

<テキスト/Textbook>

日本基督教団讃美歌委員会編  『讃美歌21』 (日本基督教団出版局、1997年) コロナ感染対策のため,授業で毎回使用する自分の歌集を,必ず毎回持参すること。 

 

授業内容は多岐に渡るため,必要な資料等はその都度配布します(配布方法は,コロナ感染対策に則って対応します)。

<参考文献/Reference Book>

日本基督教団讃美歌委員会編  『讃美歌21略解』(日本基督教団出版局、1998年)
 

金澤正剛  『キリスト教と音楽-ヨーロッパ音楽の源流をたずねて-』(音楽之友社、2010年(第6刷))
 

金澤正剛  『新版 古楽のすすめ』(音楽之友社、2010年)
 

磯山雅  『マタイ受難曲』(東京書籍、1994年)
 

<備考/Remarks>

賛美歌が履修者にとって,日常的な身近な歌となって欲しいと願っています。 
 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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