シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10102348 

△聖書ギリシア語8 (新約ギリシア語の実践(2))
Biblical Greek 8 -Practice of the Biblical Greek (2)-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  加藤 哲平

<概要/Course Content Summary>

 本科目は中級者以上のためのギリシア語講読です。対象テクストは,アレクサンドリアのフィロン『予備教育との交わり』です。フィロンはイエスの年長の同時代であり,ユダヤ人としての伝統的なトーラー知識を持っているだけでなく,プラトン主義やストア派の哲学にも通暁した稀に見る知識人でした。彼は約70もの著作をものし,そのうちのほぼ50作が現存しています。これほどまでにたくさんの著作が現存しているのは,同胞のユダヤ人というよりも後代のキリスト者がフィロンの著作を熱心に読み,伝えてきたからです。彼の七十人訳理解や寓意的な聖書解釈法は,キリスト教徒にとって有益なものでした。 
 『予備教育との交わり』は,フィロンの寓意的注解シリーズの一作で,創世記16章の1節から5節までを扱っています。この中でフィロンは,アブラハムの正妻であるサラと側室であるハガルを,それぞれ哲学と教養諸学(リベラル・アーツ)に比するという寓意的な解釈を施しました。つまり,魂たるアブラハムは,本来であれば知恵たるサラと子をなすはずが,まだ未成熟だったために,先に「予備教育」としての教養諸学を象徴するハガルと「交わり」を持った,という解釈です。フィロンのテクストを通じて古代の教育論を学びます。 
 履修者はギリシア語の基礎文法を終えていることを前提としますが,マスターしている必要はありません。分からないところは授業中にその都度復習します。意欲のある履修者は,任意で,指定する参考文献を読んでくることを勧めます。

<到達目標/Goals,Aims>

・ギリシア語文法を習得し,テクストを正確に読めるようになる。 
・ギリシア語の動詞の構造に習熟する。 
・フィロンを中心とするユダヤ・ヘレニズム文学に関する知識を得る。 
・フィロンを広く第二神殿時代のユダヤ文学の枠組みの中で捉える。 
・古典テクストの本文批評の基礎的な方法論に触れる。 
・複雑な情報を効率的に扱う技術を磨く。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1回目  (内容/ Contents) オリエンテーション  (授業時間外の学習/ Assignments) 文法を復習する(1時間) 
(実施回/ Week) 2回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』1-5  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。シェンク7-55頁。 
(実施回/ Week) 3回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』6-10  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。シェンク56-93頁。 
(実施回/ Week) 4回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』11-15  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。シェンク94-137頁。 
(実施回/ Week) 5回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』16-20  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。シェンク138-181頁。 
(実施回/ Week) 6回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』21-25  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。シェンク182-220頁。 
(実施回/ Week) 7回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』26-30  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。山田18-35頁。 
(実施回/ Week) 8回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』31-35  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。山田38-50頁。 
(実施回/ Week) 9回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』36-40  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。山田51-68頁。 
(実施回/ Week) 10回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』41-45  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。山田69-85頁。 
(実施回/ Week) 11回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』46-50  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。Colson 1917. 
(実施回/ Week) 12回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』51-55  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。De Rijk 1965. 
(実施回/ Week) 13回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』56-60  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。De Rijk 1965. 
(実施回/ Week) 14回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』61-65  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。De Rijk 1965. 
(実施回/ Week) 15回目  (内容/ Contents) フィロン『予備教育』66-70  (授業時間外の学習/ Assignments) 予習(1時間)。Kamesar 2009, pp. 65-91. 

 受講者と相談の上で,授業計画を変更する可能性があります。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  50%  テクストを訳すだけでなく,なぜそのような訳になるのかを説明できるようにしてください。 
期末筆記試験  50%  テクストを文法的に正しく読めているかどうかを評価します。 

・平常点は,ただ出席しているだけではなく,十分に予習をしてあるかどうかを評価します。 
・期末試験は,授業で読んだテクストから出題します。 
・意欲のある履修者は,平常点と期末試験に加え,使徒言行録に関する小論文を提出することを勧めます(任意)。

<テキスト/Textbook>

L. Cohn and P. Wendland , Philonis Alexandrini opera quae supersunt, III .   (Berlin, 1898) ,  72-109 . 

 

<参考文献/Reference Book>

ケネス・シェンク(土岐健治・木村和良訳)  『アレクサンドリアのフィロン-著作,思想,生涯-』(教文館、2008年)
 

山田耕太  『フィロンと新約聖書の修辞学』(新教出版社、2012年)
 

Adam Kamesar (ed.) , The Cambridge Companion to Philo .   (Cambridge, 2009) . 

 

その他の参考文献は各回に適宜指定する。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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