シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10102110 

△イスラーム学10 (イスラーム法学概論(2))
Islamic Studies 10 -Inroduction to Islamic Law (2)-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  四戸 潤弥

<概要/Course Content Summary>

世界で第二位の信徒数を有するイスラーム教は聖職者を認めませんから,生きる指針は聖典『クルアーン』のみとなります。人生の導きとしての『クルアーン』がとても大切となる理由がここにあります。恣意や思い込みに偏りがちな人の性質の中にあって『クルアーン』を正しく理解するには神の使徒で預言者ムハンマドの言行を参考にする方法と,言語(文法,語彙,修辞法,読み)による方法の二つがあります。これを体系化したのが「イスラーム法理学」です。そしてイスラームの歴史の発展に従って徐々に後者の言語による方法にウェートが移り,イスラーム哲学(言語理解),スーフィズム(『クルアーン』テクストから示唆される理解)の方法が発達しました。井筒俊彦に代表される日本のイスラーム学はこの系譜に属します。しかし,それらはイスラーム法理学を基礎にしたものです。従って恣意や思い込みが入りやすい人の性質に気づき,バランスの良い正しい読み方を法理学で身につけなければなりません。それは信徒であってもなくても『クルアーン』を読もうとする人の学ばなければいけない学問です。 
本講義は言語による『クルアーン』の理解を中心に学びます。

<到達目標/Goals,Aims>

『クルアーン』のバランスの良い,正しい読み方ができるようになる。論理的に読む力を身につける。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』をめぐる神と人間との関係(コミニュケーション)  (授業時間外の学習/ Assignments) コミニュケーション論としての『クルアーン』:井筒俊彦『意味の構造』を読んでみる。 
(実施回/ Week) 2回目  (内容/ Contents) 神をめぐる論議(『クルアーン』を語る神)  (授業時間外の学習/ Assignments) コミニュケーション論としての『クルアーン』:井筒俊彦『意味の構造』を読んでみる。 
(実施回/ Week) 3回目  (内容/ Contents) メッセージとしての『クルアーン』とその内容  (授業時間外の学習/ Assignments) コミニュケーション論としての『クルアーン』:井筒俊彦『意味の構造』を読んでみる。 
(実施回/ Week) 4回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』のことばの分類基準(義務,禁止,推奨,否定の勧告)  (授業時間外の学習/ Assignments) 日本の法学入門書(どれでもよい)強行規定,任意規定について読んでみる 
(実施回/ Week) 5回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』のことばをめぐって(条件,障害,敢行,有効,無効など)  (授業時間外の学習/ Assignments) 日本の法学入門書(どれでもよい)条件,障害,欠格事由などについて読んでみる。 
(実施回/ Week) 6回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』のことばと,人間の実行能力をめぐって  (授業時間外の学習/ Assignments) 教義と実践,修行についての日本人の理解と違うことを確認する 
(実施回/ Week) 7回目  (内容/ Contents) メッセージとしての『クルアーン』を受け取る人について(受容と拒否)  (授業時間外の学習/ Assignments) 拒否する人もいることを前提としていることの理解 
(実施回/ Week) 8回目  (内容/ Contents) 論理学,文法学としての『クルアーン』テキストとして理解について  (授業時間外の学習/ Assignments) 論理学の入門書を開いてみる 
(実施回/ Week) 9回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』の章句の表現理解(示唆,指示,実行)1  (授業時間外の学習/ Assignments) 表現方法について考えてみる 
(実施回/ Week) 10回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』の章句の表現理解(示唆,指示,実行)2  (授業時間外の学習/ Assignments) 表現方法について考えてみる 
(実施回/ Week) 11回目  (内容/ Contents) 論理学としての反対解釈と,『クルアーン』を前提とした反対解釈の違い  (授業時間外の学習/ Assignments) 論理学の反対解釈を調べる 
(実施回/ Week) 12回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』の厳格なほど,人々の自由を結果的に確保することを理解する  (授業時間外の学習/ Assignments) 教義の厳格理解と市民社会の自由度の比例関係について考えてみる 
(実施回/ Week) 13回目  (内容/ Contents) 『クルアーン』,古い時代のことばの理解(明瞭,不明)  (授業時間外の学習/ Assignments) 宗教,道徳の教えを現代で理解する心得について考えてみる 
(実施回/ Week) 14回目  (内容/ Contents) 一般用語と専門用語,そして『クルアーン』  (授業時間外の学習/ Assignments) 専門用語とことばの使い方について考えてみる 
(実施回/ Week) 15回目  (内容/ Contents) 論理解釈について  (授業時間外の学習/ Assignments) 論理学と宗教における論理解釈の違いについてまとめる 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  50%  習熟度と達成度合い 
期末レポート試験・論文  50%  習熟度と達成度合い 

欠席してもその部分を次の授業まで自分で学習してくる姿勢。 
イスラーム法理学の学問体系と,日本の宗教,法学などの学問体系とを比較し,そこにおける共通性と違いを法理と文化の視点から理解できる姿勢,あるいは能力を身に着けようとする態度

<テキスト/Textbook>

アブドル=ワッハーブ・ハッラーフ  『イスラムの法-法と理論-』初版  (東京大学出版会、1984) ISBN:4130311131 

 

講義内容レジュメ配布。テキストは必要に応じ必要な部分をコピー配布する。絶版であるが,アマゾンなどで古本を購入できる。

<参考文献/Reference Book>

井筒俊彦  『意味の構造-コーランにおける宗教道徳概念の分析-』(新泉社、1972) 一般書店 392頁 
 

 

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