シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


10101381 

△宗教科教育法A2 (宗教科教育法(中学校2))
Teaching Method for Religious Education A2 -Teaching Method for Religious Education (Junior High School 2)-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  演習/Seminar

  三宅 威仁

<概要/Course Content Summary>

 本講は,キリスト教主義中学校の宗教科(聖書科)の教職免許状の取得を目指す者を対象とした演習である。その目的は,中学校において宗教科(聖書科)の教育を行う際に必要とされる知識や技法・心構えなどを養うことにある。 「宗教科教育法A1」では,現代日本社会において中学生・宗教・教育のそれぞれが抱えている問題を考察したが,「A2」ではそれをさらに掘り下げ,まず現代の宗教状況を生み出した歴史的要因について学ぶ。現代日本社会においては実に7割前後の人々が「無宗教」を自称するが,それはどのような歴史的経緯によるものであろうか。この「無宗教性」の中にあって,宗教科(聖書科)教育は何を語ることができ,何を語るべきであろうか。 次に,欧米諸国における宗教教育について学ぶ。欧米諸国はもともとキリスト教文化圏にあり,そこでの宗教教育は伝統的価値を次世代に伝達するという意味合いを持つ営みであった。しかし,現代の欧米諸国では,一方では世俗化が進み,宗教の必要性を認めない若者が増加しつつある。また,他方では多宗教の共存状況が進み,キリスト者がイスラームやその他の宗教の信徒と平和裏に共生することが求められている。こうした状況下で実施されている宗教教育について学ぶことは,日本における宗教科(聖書科)教育を考えるうえで参考になろう。 本講では,さらに,他宗教(キリスト教以外)の宗教教育,価値絶対主義と相対主義の相剋,「良い宗教」と「悪い宗教」を区別することは可能か,マスメディアと宗教教育,といったトピックを取り上げ,中学生に対して行われるべき宗教科(聖書科)教育について考える。

<到達目標/Goals,Aims>

 中学校において宗教科(聖書科)の教育を行う際に必要とされる知識や技法・心構えなどを養う。とりわけ諸外国における宗教教育を参照しつつ,現代日本社会の「無宗教性」において中学生の宗教性を涵養するために必要な宗教科(聖書科)教育について理解できるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1回目  (内容/ Contents) 序論  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 2回目  (内容/ Contents) 日本人の宗教性  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 3回目  (内容/ Contents) 日本人の「無宗教性」を生み出したもの  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 4回目  (内容/ Contents) 「無宗教性」の中における宗教教育の意義  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 5回目  (内容/ Contents) 欧米諸国の宗教教育(1)アメリカ合衆国:多文化社会における共通価値の形成  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 6回目  (内容/ Contents) 欧米諸国の宗教教育(2)イギリス:多文化主義・異文化理解型から「共同体の結束」へ  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 7回目  (内容/ Contents) 欧米諸国の宗教教育(3)ドイツ:相互宗教間学習という観点  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 8回目  (内容/ Contents) 欧米諸国の宗教教育(4)フランス:ライシテの理想と現実  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 9回目  (内容/ Contents) イスラーム圏における宗教教育  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 10回目  (内容/ Contents) 仏教国における宗教教育  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 11回目  (内容/ Contents) 価値絶対主義と相対主義の相剋:排他主義・包括主義・多元主義をめぐって  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 12回目  (内容/ Contents) 「良い宗教」と「悪い宗教」を区別することは可能か:反カルト教育の可能性を探る  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 13回目  (内容/ Contents) マスメディアと宗教教育:情報化社会の功罪。メディアリテラシーを学ぶ  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 14回目  (内容/ Contents) 宗教教育に基礎付けられた道徳教育:敬神と隣人愛に基づく道徳の可能性を探る  (授業時間外の学習/ Assignments) クラスで紹介する文献を読解すること(90分)。 
(実施回/ Week) 15回目  (内容/ Contents) 総括  (授業時間外の学習/ Assignments) 期末レポートを作成すること。 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(課題文献の読解とクラスへの積極的な取り組み)  40%  文献の読解を確認する。 
小レポート  30%  文献の読解を確認する。 
期末レポート試験・論文  30%  宗教科教育の基礎知識を確認する。 

 本講は演習形式で行われるので,受講者にはクラスにおいて口頭で発表することを求める。さらに,小レポート3本の提出を学期中に,口頭発表と小レポートの内容を発展させたレポートの提出を学期末に課する。

<参考文献/Reference Book>

阿満利麿  『日本人はなぜ無宗教なのか』(ちくま新書、1996年)
 

江原武一  『世界の公教育と宗教』(東信堂、2003年)
 

藤原聖子  『ポスト多文化主義教育宗教が描く宗教-イギリス〈共同体の結束〉政策の功罪-』(岩波書店、2017年)
 

國學院大學日本文化研究所(編)  『宗教と教育』(弘文堂、1997年)
 

菅原伸郎  『宗教をどう教えるか』(朝日選書、1999年)
 

竹下節子  『カルトか宗教か』(文春文庫、1999年)
 

などを参考文献として用いるが,必要箇所をコピーして教室で配布する。

<備考/Remarks>

 この科目は,「先行登録科目」です。 
 履修については『免許・資格関係履修要項』を参照すること。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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