シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2020年度


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△宗教学16 (大乗仏教の成立と展開)
Study of Religions 16 -Mahayana Buddhism: Its Origin and Development-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  吹田 隆道

<概要/Course Content Summary>

 実践哲学の指導者であったシャーキャムニの滅後,弟子たちの彼への思いは聖なるブッダを作り上げ,同時にブッダの教えも多様化していった。さらに覚りたる現象世界の分析はアビダルマと呼ばれる教義を構築し,ブッダを過去・現在・未来を見わたせる全知の存在に押し上げて,本来のブッダになるための教えから遠のいていった。 
 そのような仏教に対して,紀元一世紀ごろ,インドでは一種の仏教革新運動が発生,展開した。仏滅後四,五百年が経過して,僧院を中心とした実在論的で煩瑣なアビダルマの教義を中核とする伝統仏教の主流に対して,民衆救済を掲げて起こった新しい仏教,大乗仏教が誕生する。歴史的ブッダ(シャーキャムニ)への回帰運動とも言えるこの宗教運動は,ブッダの教えの中核とされる無我説・縁起説・中道を継承しつつ,ブッダが覚りをめざしていた前世の存在(菩薩)に焦点をあて,その慈悲の精神にもとづく利他行(他者への奉仕)を模範として,それを現在の修行道とすることで未来の世にブッダとなる,ブッダとなるための教えを再構築した。 
 その奔流は西北インドからシルクロード沿いの西域諸国を通って中国に伝わり,さらに朝鮮半島を経て日本に到達した。またヒマラヤを越えてチベットに入り,モンゴルにも伝わって,仏教は世界宗教の一つとなり,それぞれの地域での精神文化を形成していった。

<到達目標/Goals,Aims>

 シャーキャムニの滅後,仏教の教義は多様化し,ブッダたるものを理想の人間から全知の救済者に押し上げて,ブッダになるための教えから遠のいていった。その一方で,それに対する宗教改革運動とも言うべき大乗仏教が起こる。そこではシャーキャムニへの回帰として,初期仏教の教えである無我・縁起・中道などの哲学的再構築がなされ,慈悲による救済の宗教を再編する。これらの思想に触れることは,教育者をめざす者だけでなく,社会の一員として倫理的な生き方が問われている私たちにも重要な知識をあたえてくれる。この講座では仏教がつきつめていったそれらの思想の理解を達成目標とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) シャーキャムニの滅後 三蔵の成立  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 仏教の思想① 縁起説⑴ 五支縁起から十支縁起(苦の原因から輪廻の原因へ)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 仏教の思想② 縁起説⑵ 十支縁起から十二支縁起(輪廻のメカニズム)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 仏教の思想③ 三科(五蘊・十二処・十八界)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 仏教の思想④ 迷いの世界(煩悩・輪廻・業)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 仏教の思想⑤ 三学・三十七菩提分法  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 部派仏教の思想① 部派仏教とは  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 部派仏教の思想② アビダルマと説一切有部  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 部派仏教の思想③ 五位七十五法と三世実有  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 三明と一切知者  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 大乗仏教の思想① 菩薩の思想  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 大乗仏教の思想② 大乗菩薩の実践体系(六波羅蜜)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 大乗仏教の思想③ 中観思想(空と縁起,世俗の真理とブッダの真理)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 大乗仏教の思想④ 唯識思想(唯識,三性説,阿頼耶識)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 大乗仏教の思想⑤ 浄土思想(阿弥陀仏と極楽)  (授業時間外の学習/ Assignments) 配布したプリントと各自のノートを使って重要ポイントを復習すること。 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  20%  毎回その日の授業の感想などを回収することで,出席と受講態度を確認する。 
期末筆記試験  80%  学期末に論述試験を行う。 

 成績の評価基準の20%となる平常点は,授業ごとの感想などを回収することで出席,受講態度,理解度を確認し,また不定期で小テストを行うことによって評価する。成績の評価基準の80%となる学期末試験は2000字程度の論述試験とし,教員の免許取得のための必須科目,あるいはそれと同等の学力に見合うかを評価する。

<テキスト/Textbook>

毎回必要なプリントを配布する。

<参考文献/Reference Book>

桂 紹隆・五島清隆  『龍樹『根本中頌』を読む』(春秋社、2016)ISBN:978-4393135884 
 

吹田隆道  『ブッダとは誰か』(春秋社、2013)ISBN:978-4393135686 
 

この授業の前提ともなる仏教概論1(=宗教学15)の復習をかねて,上記参考文献の『ブッダとは誰か』を前もって読み,授業の参考にされることが望ましい。

<備考/Remarks>

受講に際して,仏教用語などが難しいと感じる人は『岩波 仏教辞典 第二版』『岩波 哲学思想事典』などを参考にしてください。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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