シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2019年度

61201314-014 

△応用ゼミ(展開・先端Ⅱ)-14 (仮想通貨およびブロックチェーンに関する法的諸問題)
Advanced/Developmental Practicum (seminar)-14 -Legal Issues on Cryptocurrencies and Blockchain-
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義/Lecture

  高橋 宏司

<概要/Course Content Summary>

 本科目では,仮想通貨およびブロックチェーンに関する法的諸問題を検討します。 
 仮想通貨の元祖ビットコインは,約10年前に誕生しました。その開発のために考案されたのがブロックチェーン技術(分散台帳技術)です。この技術は画期的で,特定の第三者を介在させることなく,オンライン上で価値を移転することを史上初めて可能にしました。その社会的意義は大きく,「インターネット以来の革命」との呼び声もあります。実際に,様々な社会需要に対応するために,様々な仕様のブロックチェーンが開発され,様々な応用が試みられています。 
 新しい社会事象が起こると,新しい法律問題も生まれます。仮想通貨取引所のハッキングやブロックチェーンを使った資金調達(ICO)から生じる問題については,ニュースで接したことがあるかもしれません。このように,既に社会的に話題となっているものから,今後重要性を増すと考えられるものに至るまで,仮想通貨やブロックチェーンから派生する法律問題は多岐にわたります。その中には,(1)仮想通貨やブロックチェーンからしか生じない問題,(2)他の文脈でも生じるが,仮想通貨やブロックチェーン特有の考慮が必要となる問題,(3)他の文脈でも生じるが,たまたま仮想通貨やブロックチェーンとの関係で注目を集めた問題があります。本科目では,そのような法律問題を幅広く集め,整理し,特に(1)および(2)については深く考察します。そして,全体を通観することによって,仮想通貨とブロックチェーンの分野横断的な法的意義をあぶり出したいと思っています。 
 最先端のテーマに気後れする人もいるかもしれませんが,漠然とした興味があるだけで結構ですので,臆することなく受講してください。ブロックチェーンの技術面については,法律論に必要な限りで理解すれば十分ですし,授業では,できるだけ易しい説明を心がけます。個々の法分野についても,受講生の皆さんに前提知識を求めず,基本的な法理と解釈を紹介するところから始めます。その上で,仮想通貨とブロックチェーンとの関係で,問題の所在を明らかにし,解釈論や立法論をお示しします。多くの論点において議論が未成熟ですので,受講生の皆さんが抱く素朴な疑問を大切にし,一緒に考察を深めたいと願っています。 
 実務法曹には,新規の法務需要を開拓する姿勢と能力が求められている時代です。「インターネット以来の革命」からは大きな法務需要が生まれる可能性があり,学業期間中にその全体像を俯瞰しておくのは有意義であると思われます。

<到達目標/Goals,Aims>

法的な観点から,仮想通貨とブロックチェーンの意義を把握する。 
幅広い法分野を通観し,分野横断的な視点を持つ能力を身に付ける。 
新規の法務需要を鋭敏に察知し,開拓する姿勢を身に付ける。 

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回 
 
(内容/ Contents) 仮想通貨とブロックチェーンの技術的基礎と社会的意義  (授業時間外の学習/ Assignments) 事前配布資料の通読 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 通貨法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 資金洗浄・テロ資金供与対策法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 資金決済法・銀行法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 金融商品取引法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 債権法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 物権法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 有価証券法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 国際私法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 民事手続法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 倒産法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 刑法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 情報法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 税法上の問題  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 分野横断的な総括  (授業時間外の学習/ Assignments) 同上 

 受講者の関心等に応じ,適宜,授業計画を変更する可能性があります。また,上記の各内容の軽重は均一でないため,実施回と内容の対応関係は変わる可能性があります。 
 標準的な予習時間は,1時間程度/週です。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点  30%  欠席状況,質疑応答 
期末レポート試験  70%  情報収集力,論理的思考力,構成力 

レポートのテーマは,授業で扱う法分野の中から特に強く関心をもった論点を各受講生に選んでもらいます。

<テキスト/Textbook>

テキストは指定せず,レジュメを配布する。

<参考文献/Reference Book>

杉井靖典  『いちばんやさしいブロックチェーンの教本-人気講師が教えるビットコインを支える仕組み-』(インプレス、2017)
 

西村あさひ法律事務所 編  『ファイナンス法大全(下)』全訂版 (商事法務、2017)838-887 
 

有吉尚哉ほか 編著  『FinTechビジネスと法 25講-黎明期の今とこれから-』(商事法務、2016)172-209 
 

黒沼悦郎・藤田友敬 編  『企業法の進路-江頭憲治郎先生古稀記念-』(有斐閣、2017)786-814, 827-855 
 

久保田隆 編  『ブロックチェーンをめぐる実務・政策と法』(中央経済社、2018)
 

佐藤則夫 監修  『逐条解説 2016年銀行法,資金決済法等改正』(商事法務、2017)
 

<参照URL/URL>

Blockchain, Cryptocurrency, Crypto-asset and the Law 
これは,私 [本科目担当者] のブログです。ほとんど英語で書いていますが,授業は日本語で行います。 
 

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