<概要/Course Content Summary>
考古学は,物質文化を手がかりにして,過去の社会・文化・人間活動を考察する学問である。その主な研究素材は,発掘調査などで検出された遺構や出土した遺物である。これらは,形態・出土状況・特徴を正確に記録し,共有できる状態にしてはじめて,研究に利用できる。言いかえれば,「資料化」されないデータは存在しないに等しい。 研究に不可欠な記録化・共有化には,遺構・遺物に関する実測図作成・写真撮影・説明や分析・調査報告書出版などのプロセスが必要になる。幸い,今出川キャンパス周辺には中近世建物など遺跡の一部が保存され,文学部考古学資料室・歴史資料館に各種の出土品が収蔵されている。本科目では,これらを利用して,考古データの資料化に必要な基礎作業を実体験し,その成果を各自が報告書の一部としてまとめる。作業を通じて,各種の方法の長所・短所や,「記録資料」のもつ特質を体験し,考古学的情報を読み解き,批判する能力を磨くことが本科目の目的である。
<到達目標/Goals,Aims>
遺構・遺物の実測図作成などを通じて,受講者が考古資料の観察方法の基礎を理解できるようにし,後期授業の遺物編と合わせて考古資料に関する学術的観察記録を作成し,歴史資料の記述方法を習得する。
<授業計画/Schedule>
(実施回/ Week)
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(内容/ Contents)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
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(実施回/ Week)
(春学期)
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(実施回/ Week)
1
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(内容/ Contents)
考古学的調査の基本(講義)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
予習・復習
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(実施回/ Week)
2
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(内容/ Contents)
考古データの記録方法(講義)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
予習・復習
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(実施回/ Week)
3~7
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(内容/ Contents)
遺構図作成実習・・・平板測量
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(授業時間外の学習/ Assignments)
図版製図と文献調査
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(実施回/ Week)
8~12
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(内容/ Contents)
遺構実測図作成・・・相国寺基壇建物跡の実測作業
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(授業時間外の学習/ Assignments)
図版製図と文献調査
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(実施回/ Week)
13・14
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(内容/ Contents)
報告書作成実習・・・トレース・図版作成作業
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(授業時間外の学習/ Assignments)
図版製図と文献調査
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(実施回/ Week)
15
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(内容/ Contents)
報告書の見方(講義)
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(授業時間外の学習/ Assignments)
報告書を実際手にとって内容をみる
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(実施回/ Week)
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※天候・実習進捗状況などにより予定を変更することがある。
<成績評価基準/Evaluation Criteria>
平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)
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45%
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出席率と実習作業に取り組む姿勢
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期末レポート試験・論文
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35%
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学術情報として十分な考古資料の報告書作成ができるか
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提出物
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20%
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授業時に作成した実測図などの内容
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特記事項
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実習科目であるため,出席数の少ない受講者は,評価不能である。また,受講生各自に500円程度の実習費の負担がある。
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<備考/Remarks>
e−classを利用して,授業に関する伝達を行う。
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