シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2016年度

4B1404 

△コミュニティデザイン論特別研究
Special Research in Community-Design
2単位/Unit  秋学期/Fall  烏丸/Karasuma  講義形式

新川 達郎 髙田 光雄 渥美 公秀 川中 大輔
弘本 由香里 山口 洋典

<概要/Course Content Summary>

 人口減少・少子高齢化や,グローバリゼーションの進行とともに,貧困や格差の拡大,社会的排除をはじめ,地域にさまざまな軋みが生じている。大都市圏でも地方都市や町村部でも,地域の活力を回復していくために,かつて高度経済成長期を支えた地域・社会デザインの見直しが喫緊の課題となり,コンパクトシティ化やITCの活用,住民自治組織の再編,地域の課題解決に向けた雇用開発・定住促進など,地方創生を謳う取り組みも全国各地で試みられている。こうした文脈のなかで,近年「コミュニティ・デザイン」というキーワードが盛んに用いられている。 
 一方,2011年に発生した東日本大震災と福島原発事故では,被災者・被災地域が直面する住生活の再建とふるさとの再生の二つの大きな課題の狭間で,改めてコミュニティとは何か,コミュニティ・デザインに何ができるのか,その立ち位置や思想が強く問われていると自覚すべきであろう。社会に対する厳しい問いでもあり,東日本の被災地だけの問題ではなく,他の地域と暮らしに通底する問題として向き合っていく必要がある。 
 この場を通して,受講生と多分野の実践者・研究者が批判的かつ建設的な議論を交え,実践と理論をつなぐ講義形式とすることで,社会の構造的問題に対してローカルなコミュニティ・デザインがいかにアプローチしていくかを講究する。そのことによって,コミュニティ・デザインをめぐる知が多分野・多地域での研究・実践と地域・社会の発展に貢献していくことを目指す。

<到達目標/Goals,Aims>

本講義では,社会・経済・政治状況の変化のなかで,近年顕著に見られるコミュニティ・デザインへの期待の膨張と批判の両面に対して,まず背景にある構造的な問題を,社会の軋みを切り口に,歴史的・横断的な視座で捉え直す。そのうえで,受講生は,コミュニティの多義的な性格を前提に,論点を共有し,さまざまな政策や制度との関係も念頭に議論を重ねる。政策科学,社会学,減災・人間科学,建築・都市計画学等の知見の交流によって,これからのコミュニティ・デザインに求められる役割や,目を背けてはならない要素について認識を新たにし,地域・社会に関わるアクティブな知を獲得することを目的とする。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (1) 10/3(月)  (内容/ Contents) オリエンテーション 
(授業の趣旨,組み立てと進め方の説明及び発題) 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:テキストを読み込んでおくこと 
(実施回/ Week) (2) 10/10(月)  (内容/ Contents) 前回の説明・発題を受けて,私が考えるコミュニティ・デザイン 
(受講生発表と講師解説及びディスカッション) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:課題発表準備 
(実施回/ Week) (3) 10/17(月)  (内容/ Contents) 人口減少・ポスト標準家族を前提とした社会デザインとは   
  (専門ゲストとの対話を通した論点抽出) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:人口減少・家族について調べておくこと 
(実施回/ Week) (4) 10/24(月)  (内容/ Contents) 前回の論点をコミュニティ・デザインとしてどう受け止めるか 
  (受講生発表と講師解説及びディスカッション) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:課題発表準備 
(実施回/ Week) (5)10/31(月)  (内容/ Contents) 貧困・格差が拡大する社会構造にどう向き合っていくか 
  (専門ゲストとの対話を通した論点抽出) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:現代の貧困問題について調べておくこと 
(実施回/ Week) (6) 11/07(月)  (内容/ Contents) 前回の論点をコミュニティ・デザインとしてどう受け止めるか 
  (受講生発表と講師解説及びディスカション) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:課題発表準備 
(実施回/ Week) (7) 11/14(月)  (内容/ Contents) 地域創生と集落消滅等の最前線から問う持続可能性とは 
  (専門家ゲストとの対話を通した論点抽出) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:限界集落について調べておくこと 
(実施回/ Week) (8) 11/21(月)  (内容/ Contents) 前回の論点をコミュニティ・デザインとしてどう受け止めるか 
  (受講生発表と講師解説及びディスカッション) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:課題発表準備 
(実施回/ Week) (9) 12/05(月)  (内容/ Contents) 東日本大震災をはじめ災害復興の現場が問うていること 
 (被災地に関わる講師・ゲスト・受講生の活動報告と問題提起) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:震災復興について調べておくこと 
(実施回/ Week) (10)12/12(月)  (内容/ Contents) 前回の論点をコミュニティ・デザインとしてどう受け止めるか 
(受講生発表と講師・ゲスト解説及びディスカッション) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:課題発表準備 
(実施回/ Week) (11)12/19(月)  (内容/ Contents) 地域の多文化化と求められる寛容性・ダイバーシティとは 
  (専門ゲストとの対話を通した論点抽出) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:多文化共生社会について調べておくこと 
(実施回/ Week) (12)12/26(月)  (内容/ Contents) 前回の論点をコミュニティ・デザインとしてどう受け止めるか 
  (受講生発表と講師解説及びディスカッション) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:課題発表準備 
(実施回/ Week) (13) 1/16(月)  (内容/ Contents) グローバル・コミュニケーション時代の思想とローカリティとは 
  (専門ゲストとの対話を通した論点抽出) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:グローバル化,ローカル化について調べておくこと 
(実施回/ Week) (14) 1/23(月)  (内容/ Contents) 前回の論点をコミュニティ・デザインとしてどう受け止めるか 
  (受講生発表と講師及びディスカッション) 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:課題発表準備 
(実施回/ Week) (15) 1/27(金)  (内容/ Contents) 私たちが考えるコミュニティ・デザイン 
(受講生と講師によるまとめ) 
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 予習:これまでの学修について復習し直しておくこと 

各講師が担当するテーマについて,関連する文献の提示等を行うとともに,専門のゲストスピーカーを招く回では,冒頭に同テーマへの関心表明として,受講生代表(各回1人)に5分程度の問題提起や関連情報の提供などを求める。同授業でゲストスピーカーとの対話によって抽出された論点を,コミュニティ・デザインとしてどう受け止めていくか,翌週の授業でさらに受講生全員の発表と講師の解説及びディスカッションによって講究する。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  40%  授業時の討論への積極的参加を評価する 
期末レポート試験・論文  30%  コミュニティ・デザインを主体的にどのように構築していくかという視点がレポート作成の基本的視点となる。 
クラスで発表など  30%  ゲストスピーカ-の講義から,その主題を適切に把握し,それを踏まえたコミュニティ・デザインの論点を提示する必要がある。 

<参考文献/Reference Book>

同志社大総合政策科学研究科+大阪ガスCEL  『『コミュニティ・デザイン論研究 2014年度講義録』』(大阪ガスCEL、2016)
 

各講師が担当するテーマについて,関連する文献の提示等を行う。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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