シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2013年度

PD0003-001 

□企業の社会的・国際的役割-1
Business Ethics and Responsibilities in the Global Economy-1
2単位/Unit  春学期/Spring  今出川/Imadegawa  講義形式

  村山 裕三

<概要/Course Content Summary>

近年,オリンパス問題などに代表される企業不祥事が相次ぎ,また,赤福,吉兆などによる一連の食品偽装問題も世間をにぎわせた。これらの倫理観を欠いた企業行動が社会との軋轢を生み出し,社会問題化する事態が相次いでいる。これは現在の日本の企業が抱えるひとつの大きな問題であり,問題の根底には,戦後の日本企業が,企業活動の経済的な側面だけをみて事業展開を図ってきた歴史と現実が存在する。 
本授業はこのような反省を踏まえて,現在の日本企業に求められる社会的,国際的な責任,役割を考察する。特に,今後の日本企業を担ってゆく経営者には,しっかりとした「企業観」や「世界観」が必要になると思われるが,本授業では,企業の社会的・国際的役割の検討を通じて,受講者が独自の「企業像」を構築する手助けを行なう。 
具体的な構成は,まず,始めに,そもそも企業はどのような存在として,社会の中に位置づけられてきたかを,米国の19世紀の企業像と日本の高度成長期の企業像をベンチマークにして考察する。その後,日本の企業がおかれた環境を理解するために,日本の戦後史の中での企業の位置づけの変化に検討を加える。さらには,企業が活動する基盤としての「日本の国のかたち」,すなわち,海洋国家論,通商国家論なども考察する。このような大きな枠からの考察の後,企業の社会的な役割について,三菱自動車事件などのケース,最近注目を集めている「安全・安心」問題などを題材に学習する。国際的な役割については,輸出管理,平和構築事業などに絡んだ問題を,ケースを踏まえつつ考察する。そして,最後に,それまでの講義や議論,実例を踏まえて,「企業とは何か」を再考しつつ,自身が考える「企業の社会的・国際的役割」について,期末レポートにまとめる作業を行なう。

<到達目標/Goals,Aims>

倫理観を持って,企業活動,企業経営に従事できるようになる人材育成を目指す。また,自社の資源を活用した社会貢献,国際貢献の方策を考察できる能力を養う。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 1   (内容/ Contents) イントロダクション 
本講義の概要を説明する。授業の概要,目的,趣旨を説明し,企業を単なる利益を生み出す主体のみで考えるのではなく,より広い社会的,国際的な責任や役割を要する主体として捉える視点が必要なことを説明する。その他,採点方法や資料の入手方法などについても説明する。 
      
(授業時間外の学習/ Assignments) リーディングアサインメントの 
詳細は,授業開始時に説明する 
(実施回/ Week) 2   (内容/ Contents) 企業とは何か? 
利益追求,社会的貢献,自己実現の三つの視点から企業を考察する。このために,ソーシャル・ダーウイニズムなどの米国の保守派経済学者の考え方と,日本における社会体制としての企業主義を対比させながら議論を進める。これにより,「企業とは何か?」を考えるとっかかりを提供する。 
      
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 3   (内容/ Contents) 日本企業を取り巻く環境(1)歴史的考察 
日本企業の「企業像」を考えるためには,企業を取り巻く国内,国際環境を考慮しなくてはならない。ここでは,戦後日本の歴史の中で,企業がどのような役割を果たすことが期待されたかを,日本政治や産業政策の文脈の中で検討する。戦前,戦中の経済体制が継続した部分を考察するとともに,50−60年代の安全保障の時代から,高度成長期の時代へと移るにつれ,企業の位置づけがどのように変化したかを検討する。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 4   (内容/ Contents) 日本企業を取り巻く環境(2)地理的考察 
日本企業の「企業像」を考えるためには,日本自体がどのようなタイプの国家であるかを考慮に入れなくてはならない。日本は,「海洋国家」あるいは,「通商国家」であるという位置づけがされてきたが,その意味するところを考察する。特に,その国のかたちのなかで,日本の企業はどのような役割を果たすことが期待されるのかを検討する。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 5   (内容/ Contents) 企業の社会的責任(1)概念,歴史,現状 
近年,注目を浴びてきた「企業の社会的責任(CSR)」に総論の立場から検討を加える。経済的責任,法的責任,倫理的責任,裁量的責任の四つのレベルからのアプローチを行い,日本のCSRの歴史を6段階に分けて解説する。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 6   (内容/ Contents) 企業の社会的責任(2)企業不祥事とリコール問題 
三菱自動車のリコール隠し事件をケースにして,企業の法的,倫理的責任についての考察を加える。受講生による発表と議論を中心にして授業を進める。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 7   (内容/ Contents) 企業の社会的責任(3)トヨタのリコール事件 
2010年に生じた米国におけるトヨタのリコール問題をケースとして取り上げ,現在の日本企業が直面する社会に対する新たな責任とその対策を考察する。 
      
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 8   (内容/ Contents) 企業の社会的責任(4)国際貢献:ジオ・サーチのケース 
東京大田区の中小企業であるジオ・サーチのケースを用い,中小企業にとってのCSRの意味合い,CSRと国際貢献,平和構築事業の関係などについて考察する。ビデオ鑑賞の後,受講生による議論を中心に授業を進める。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「安全・安心」とCSR(1) 概念と政策動向 
テロの多発,犯罪の増加,感染症の発生,自然災害の多発などにより,「安全・安心」に対する関心が高まりつつある。また,第3期科学技術基本計画にも「安全が誇りとなる国」という目標が掲げられたように,この分野に対する社会的な要請も高まりつつある。ここでは,「安全・安心」問題の重要性と政策動向の説明を行なう。 
      
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 「安全・安心」とCSR(2)企業とセキュリティの考え方 
企業として,防犯,テロ対策などのセキュリティ問題にどのように取り組むことが望まれるかを検討,議論する。具体的なケースをあげて,議論をしつつ考察を加える。 
      
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 「安全・安心」とCSR(3)地下鉄サリン事件,パンデミック,地震対策とリスクマネジメント 
地下鉄サリン事件の際の聖路加病院の対応をケースにして,テロ発生時の企業の対応のあり方,「安全・安心」とリスクマネジメントの関係などを議論する。また,パンデミック対策のためのBCP作成や地震対策などに絡むリスクマネジメントについても議論を進める。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 12   (内容/ Contents) 「安全・安心」とCSR(4)東日本大震災を考える 
東日本大震災の経験を題材にして,想定外の大災害と原発事故について考察する。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 13   (内容/ Contents) 両用技術と安全保障貿易管理 
軍縮問題は政治が取り組むべき問題と考えられがちであるが,これには企業活動が大きく関わっている。例えば,核,生物・化学兵器,ミサイルなどの拡散を防ぐためには,企業は効果的な輸出管理を実行することが求められるようになってきている。ここでは,企業が,軍縮に対してどのような役割を果たすことができるかを総論的に考察した後,企業として具体的にどのように取り組むべきかを考察する。 
         
 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 14   (内容/ Contents) 両用技術の発想,「経済+α」戦略と今後の国際競争力 
講義で取り上げたCSRに関する議論を,今後の日本企業の国際競争力と合わせて「経済+α」戦略と位置づけ,日本が得意する両用技術などを活用した国際競争力獲得戦略を考察する。 
       
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 
(実施回/ Week) 15   (内容/ Contents) 総括:企業とは何か?(再び) 
これまでの授業と議論を踏まえて,企業の社会的・国際的役割を踏まえた,今後の企業のあり方を総括する。上記の課題についての議論を行う。 
(授業時間外の学習/ Assignments) 参考文献の精読 

最新の有用なケースが開講時までに入手できた場合などは,授業内容を変更する場合がある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

レポート  40%  ターム・ペーパーを課す。 
クラスへの貢献度  15%  クラスにおける発言の量と質により判断する。 
提出物  45%  討論用のメモの提出を求める。 

議論とレポートにおける独自性,独創性を最も高く評価する。また,問題への関心の深さと,それを具体的な議論や解決策に結び付ける能力も評価する。

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数  3名
  成績評価結果は公表されていません。

<参考文献/Reference Book>

ブルース・シュナイアー  『セキュリティはなぜやぶられたのか』(日経BP社、2007)
 

松本 厚治  『企業主義の興隆』(新評論、1998)品切・図書室にて閲覧可 
 

伊丹 敬之他  『日本の企業システム 1.企業とは何か』(有斐閣、1993)
 

森本 三男  『企業社会責任の経営学的研究』(白桃書房、1994)
 

トヨタリコール問題取材班編集  『不具合連鎖-「プリウス」リコールからの警鐘-』(日経BP社、2010)
 

福島原発事故独立検証委員会  『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2012年)
 

その他の文献は,授業時に指示する。

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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