シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2013年度

103924 

△宗教と平和 (戦争・正義・平和-宗教多元社会の中で-)
War,Justice,and Peace:In the Religious Pluralism
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義形式

  小原 克博

<概要/Course Content Summary>

 この授業は,現代世界における紛争,戦争,テロなどの問題を比較宗教学的な視点から考察し,異なる信仰や価値観を持つ者同士が,地域社会や国際社会において,いかに共存・共生していくかを考えるために必要な知識や認識を得ることを目的としています。 
 20世紀には二つの世界大戦をはじめ様々な戦争や紛争が起こり,また,21世紀はじめには9・11同時多発テロ事件が起こりました。それらの背景や影響を,特に宗教思想との関係に注目して考えていきます。ポスト冷戦時代の地域紛争に関しては,ユダヤ教・キリスト教・イスラームの相互関係が不可避的に問われてきました。そうした一神教に特徴的に見られるロジックを分析すると同時に,一見,宗教対立と見えるものが,いかに政治的に偽装されたものかであるかにも,注意を払っていきたいと考えています。  
 戦争に対する考え方を歴史的に俯瞰するために,キリスト教史において現れた,戦争をめぐる三つの類型,すなわち,絶対平和主義(pacifism),正戦(just war)論,聖戦(holy war)論を取り上げます。ただし,それがキリスト教世界内部の論理として自己完結しないように,他の宗教,特にイスラームの戦争理解や正義理解,および,日本における戦争・平和理解を参照軸として用います。 
 
 日本の論壇では,一神教を独善性の象徴と見なし,多神教的思考にこそ世界平和の鍵があるという安直な主張がいまだに繰り返されています。こうした平板な文明論を批判的に克服していくために,多元的な文明理解のあり方を考えていきます。 また,近代日本が戦争への道を歩み始めたとき,そこには宗教および宗教政策が深く関与していました。グローバルな文脈の中で,日本の近現代史における問題点も掘り下げていきます。

<到達目標/Goals,Aims>

学生が,現代世界における紛争,戦争,テロなどの問題を比較宗教学的な視点から考察し,異なる信仰や価値観を持つ者同士が,地域社会や国際社会において,いかに共存・共生していくかを考えるために必要な知識や認識を得ることを目的とします。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 導入――なぜ人は戦うのか?  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 20~21世紀における戦争の変遷――ヒロシマ,アウシュビッツの傷跡  (授業時間外の学習/ Assignments) 事前に授業資料をダウンロードし目を通した上で授業にのぞんでください。授業終了後,復習し,疑問点は次回授業で質問するようにしてください。以下同様。  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 政治と宗教の関係――世俗主義と原理主義の衝突  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 「正義」「暴力」「平和」の概念的整理  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 絶対平和主義(1)――その歴史的展開  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 絶対平和主義(2)――非暴力を実践した人々  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 正戦論(1)――その歴史的経緯  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 正戦論(2)――キリスト教とイスラームの視点から  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) (内容/ Contents) 聖戦論(1)――神々の戦い,十字軍,ジハード  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 10  (内容/ Contents) 聖戦論(2)――近代日本の場合  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 11  (内容/ Contents) 一神教と多神教――日本および国際社会における課題  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 12  (内容/ Contents) 一神教と国際安全保障  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 13  (内容/ Contents) 政教分離───宗教の自由をめぐる国際的な論争  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 14  (内容/ Contents) 総合的議論  (授業時間外の学習/ Assignments)  
(実施回/ Week) 15  (内容/ Contents) 総括  (授業時間外の学習/ Assignments)  

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席)  30%  10分以上の遅刻は出席としませんのでご注意ください。交通遅延等,不可避の事情があった場合には証明書を出していただければ考慮いたします。 
期末試験  70%  授業で扱った内容の内,基本的な項目を出題します。 

 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数

成績評価(%)

評点
平均値

備考

A B C D F
90 16.7 12.2 10.0 7.8 52.2 1.1 1.3 *

<参考文献/Reference Book>

小原克博・中田考・手島勲矢  『原理主義から世界の動きが見える-キリスト教・イスラーム・ユダヤ教の真実と虚像-』(PHP研究所、2006)ISBN:4569655777 
 

小原克博  『宗教のポリティクス-日本社会と一神教世界の邂逅-』(晃洋書房、2010)ISBN:4771021651 授業の中で適宜,紹介します。 
 

<参照URL/URL>

小原克博 On-Line 
授業用資料は,このサイトの「Education」→「講義概要・シラバス」→「宗教と平和」にアップします。 

<備考/Remarks>

E-mail: kkohara@mail.doshisha.ac.jp 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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