シラバス・講義概要

2009年度

22164 ○高齢者福祉論 4単位 春学期 今出川

山田 裕子

<概要>

将来,社会福祉実践あるいは政策立案を目指す学生諸君が,高齢者とその家族を援助する際に必要な加齢(エイジング)およびそれをめぐる状況と多様な社会福祉サービスに関する基礎的な知識を得る。個々の高齢者が出会う問題を,家族及び社会との関わりにおいて,多角的にとらえる。社会の高齢化が高齢者にとって,また家族や他の世代の人々にとって何を意味するのかを探る。現行の高齢者福祉サービスが高齢者や家族の福祉ニーズをどこまで満たしているか(いないのか),についても認識を深める。

本講ではまず,人口の高齢化や少子化は家族形態や機能,社会の生産過程の変化とどのように連動しているかを見極め,そこから現代の高齢者が直面している問題を理解し,その解決方法を探る。高齢者やエイジングに関しては様々な偏見や誤解が根強く存在し,若者にも浸透している。エイジングと高齢社会についての研究結果を学び,再検討する。個人のエイジング過程の多様性を認め,理解を深めることが,現代の高齢者が直面する問題の解決への道筋を豊かなものにすることを学ぶ。その一助として,各学生がそれぞれ夏休み中に高齢者一人にライフヒストリーをインタビューすることを課す。

次に,高齢社会の,あるいは高齢者の問題といわれるものは個人および世代としての高齢者と,家族,地域,国家など高齢者を取り巻く社会環境や体制との相克の所産であることに注意を向けつつ,それらの問題を検討する。日本の高齢者福祉や社会保障がどのように進展してきたかを概観し,現代の日本の高齢者福祉と医療・保健・介護保険制度を学ぶと共に,諸外国の取り組みと比較することにより,高齢者をはじめ各世代の人間性が尊ばれる高齢者福祉のあり方を追及する。

 

<授業計画>

1,2 オリエンテーション:アンケート/超高齢社会から学ぶ:日本一高齢化の進んだ町
3,4 人口動態の変化と人々の生活/社会の近代化とエイジズム
5,6 日本の高齢者の現状(1)経済・所得・労働/日本の高齢者の現状(2)高齢者と家族
7,8 日本の高齢者の現状(3)健康・疾病・障害/日本の高齢者の現状(4)リハビリ・介護予防
9,10 日本の高齢者保健医療の一事例(岩手県沢内村と予防の理念)/日本の高齢者の現状(5)認知症
11,12 日本の高齢者の現状(5)認知症高齢者のグループホームとそのケア/ライフヒストリー課題とその意味
13,14 ライフヒストリー課題と方法/加齢についての理論と研究―その歴史とこれから
15,16 日本の高齢者福祉・保健・医療政策の歴史(その1)/本の高齢者福祉・保健・医療政策の歴史(その2)
17,18 日本の高齢者福祉・保健・医療政策の歴史(その3)/ライフヒストリーから学ぶその1―グループ討論
19,20 ライフヒストリーから学ぶその2―グループ討論/ライフヒストリーから学ぶその3―グループ発表
21,22 介護保険制度(1)/介護保険制度(2)とマイケアプラン
23〜25 ホームヘルプサービス/新しい認知症ケア(Validation)/パーソンセンタードケア
26 高齢者の人権擁護と成年後見制度
27,28 ジェンダーの観点からみる高齢者/まとめ

 

<成績評価基準>

平常点10%毎回出席をとる。
中間レポート試験40%ライフヒストリー課題レポート。
期末筆記試験40% 
その他10%コメントにおける理解と思考内容と進歩。
特記事項 出席を重視する。授業中の積極的な態度,授業への貢献度を重視する。加齢は長く生きると,誰しも経験するものである。自分の(あるいは身近な人の)加齢過程の経験を絶対視してしまう傾向があることに注意し,多様な老いの姿から学ぶことを心がけること。

 

<テキスト>

小倉 襄二・浅野 仁共編著 『老後保障を学ぶ人のために』 (世界思想社、2006)

 

<参考文献>

加藤 博史他著 『高齢者福祉総論』 (晃洋書房、2003)

三浦 文夫編 『図説高齢者白書2007』 (全国社会福祉協議会、2007)

内閣府 『平成20年版高齢社会白書』 (財務省印刷局、2008)

菊地 武雄 『自分達で生命を守った村』 (岩波新書、1968)

 

 

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