シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2013年度

DB0362 

△公共政策Ⅱ (科学技術イノベーション政策論)
Public Policy II
2単位/Unit  秋学期/Fall  烏丸/Karasuma  講義形式

  有本 建男

<概要/Course Content Summary>

世界は現在,数百年のオーダーで大きな転換期にある。中国・インド・ブラジル・韓国・南アフリカなど新興国の経済・科学技術活動の急激な拡大や,世界経済の調整システムのG-7(先進国)からG-20(先進国と新興国)への移行はその象徴であろう。一方で,産業革命以後の技術革新と生産力の増強,人類の活動範囲の拡大は,人類に大きな富と利便性を生み出してきたが,戦争・テロの拡大,地球温暖化,資源・エネルギー・水の枯渇,感染症,貧富の差など,近代化の“陰”の部分としては今や人類の生存に大きな脅威となっている。 
1989年の東西冷戦の終了と1992年のインターネットの民間開放は,グローバリゼーションを加速し,20世紀と21世紀の間のわずか20年の間に,世界システムの大転換を引き起こしている。 
21世紀に,富の拡大と“陰”の克服のバランスをとりながら持続的発展を,世界規模であるいはアジア,国,地域レベルで実現するために,新しい視座,方法として,アメリカ競争力評議会のパルミサーノ報告(2004年)以来,世界的に「科学技術イノベーション」に注目が集まっている。 
経済活動だけでなく科学技術活動の世界の重心が,西から東へ,南へと急速に移動している。BRICSなどの新興国の台頭は,科学技術の分野にも,研究開発戦略の策定,マネジメント手法,大学の経営戦略,人材の育成確保の方法,評価の方法まで大きな影響を与えている。こうした中で,先進国,新興国,途上国を問わず世界中の国々が,科学技術イノベーションの公共政策を強力に進めて始めている。 
これは,教育・科学・技術・生産そして最終的な社会的経済的価値の創出に至るまでの,イノベーションの各段階の連鎖システム全体の革新をめざすものである。そして,ルネサンス以来ヨーロッパ・アメリカ主導で築き上げられてきた,研究開発の実施と支援の制度体制,情報の流通,成果の評価と蓄積・提供,産学官の連携システムなど近代的な科学技術システム全般に大きな変革を迫っている。 
イノベーションのプロセスは確率過程である。価値創出までの確率と速度を上げ,研究の成果を社会実装し,イノベーションを効率的効果的に実現するためには,物理学,化学,生物学といった伝統的分野を越え,企業,大学,研究所などの組織を越え,さらに国境を越えて,人,もの,カネ,情報の循環,ネットワーク化が必須となる。いわゆるオープンイノベーションである。世界的な頭脳循環(brain circulation)やマネジメント,デザイン・システム思考の重要性が強調されるのもその一つである。最近では空間的な広がり,“場”の重要性が指摘されており,産学連携のあり方から,アジア研究圏まで様々な空間でのプラットフォームの形成が重視されている。 
日本政府は,経済危機の克服と直面する多くの社会的問題の解決のため,また,2011年3月11日に起こった東日本大震災・津波・福島原発事故を受けて,2011年8月に,15年つづいた政策を大きく転換し,新しい科学技術イノベーション政策を打ち出した。 
その柱は二つある。一は,東日本大震災を受けて,被災地の復興への科学技術の寄与と,グリーン・イノベーションとライフ・イノベーションの推進である。二は,従来のIT,バイオ,ナノテクといった重点分野の推進から,経済的,公共的な課題解決型の研究開発への転換である。これは,科学技術の公共政策・システム全体の再設計といえる。政府の最高政策決定機関である総合科学技術会議の改組から,研究開発のテーマの設定,実施,助成システム,評価方法,産学連携,人材育成,税制・規制の改革,成果の社会実装,社会影響評価の仕組み,政策決定への市民参加などに及ぶ。 
本科目では,以上のように,欧米を中心に歴史的に築かれてきた,科学技術イノベーションのシステムが,急速に進むグローバリゼーションの下で,政策レベルから実施レベルの各層において,大きく変わろうとしている状況を概観するとともに,企業,大学,行政,市民の各セクターの取り組みについて,政策,制度・体制,人材,企業・大学・学会,世界・地域・国・地方,分野(エネルギー・環境,ナノテク・材料,バイオ,情報など),規範・倫理などテーマ毎に,国際比較や歴史的な視点を踏まえて講義し議論し,理解と洞察を深めたい。 
複雑で不透明な世界の大転換期の中で,企業や大学,公的機関の経営戦略,技術開発,マーケティングに携わる者,21世紀の社会と科学技術の相互作用に関心をもつ者を対象に,多角的な知識と俯瞰的な視座,歴史認識と洞察力を身につけることを目指したい。

<到達目標/Goals,Aims>

科学技術の分野におけるグローバルなイノベーションを理解できるようになること。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 「はじめに-問題の設定」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 「科学技術イノベーション政策とは何か」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) 「科学技術イノベーションの機能と構造」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) 「科学技術イノベーションの政策と制度の各国比較」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 「科学技術イノベーションの政策と制度の世界史」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) 「日本の近代化と科学技術イノベーション」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第7回 
 
(内容/ Contents) 「世界大競争下の大学の役割と責務」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 「世界大競争下の企業のイノベーション戦略と産学連携」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 「科学技術イノベーションの分析評価の方法と日本の力」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 「研究開発戦略の作成とファンディングの方法」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 「科学技術イノベーション人材の育成と確保」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 「科学技術の倫理と行動規範」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 「21世紀の科学技術イノベーションの方向と責務」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 「21世紀社会と科学技術イノベーション」  (授業時間外の学習/ Assignments) 指示した文献,資料を事前に読んでおくこと 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 「まとめと議論」  (授業時間外の学習/ Assignments) 講義全体の反省 

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,グループ作業の成果等)  50%  出席し,クラス討論への寄与 
期末レポート試験・論文  50%  時宜に即した課題(たとえば,政府の新しい科学技術政策,政策と体制転換の国際動向,大学の評価などを想定)を与えて,小論文を作成 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数  0名
  成績評価結果は公表されていません。

<テキスト/Textbook>

講義の中で指示する。

<参考文献/Reference Book>

講義の中で指示する。

 

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