シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2013年度

DB0303 

○心理学 (組織心理)
Psychology
2単位/Unit  春学期/Spring  烏丸/Karasuma  その他 講義形式と演習形式の組み合わせ

  藤本 哲史

<概要/Course Content Summary>

組織心理学は,経営組織という社会的環境の中で,個人がどのような思いで働き,どのように行動し,どのような態度を形成するかを探る学問である。どのような組織心理学の研究にも共通することは,いずれの研究も組織という社会的文脈の中で形成される個人の心理や行動をとらえようとしている点である。つまり,働く個人の心理や行動は,その個人が所属し,仕事を遂行する組織という環境のあり方(例えば,構造,文化,規範など)を考慮せずには明らかに出来ないという視点に立っている。組織環境あっての個人というこの視点は,環境の要因を操作することにより個人の行動を変容させることができるという論理にもつながるが,同時に,個人は必ずしも環境に対して完全に受動的なわけではなく,自らの意思により行動し,また行動を統制する存在でもある。このことから,組織の社会的文脈の中で「人」と「環境」がどのように相互に作用しあいながら行動を引き起こすかを検討することは重要である。 
 
授業では,組織心理学の主要テーマである,モチベーション,満足感,コミットメント,ストレス,ワーク・ファミリー・コンフリクトを取り上げ,講義形式と演習形式を組み合わせて授業を進めるが,特に受講生の経験や問題意識を取り上げながら討論を進めたい。授業運営は,受講者の人数や関心,およびレベルに即して弾力的に行う予定である。授業は2限連続(180分)で行うが,各回の前半90分は主として講義を行い,後半の90分は演習形式で英語および日本語文献の検討を行う予定である。講義で扱う内容の多くは組織心理学の基礎的なものであるため,すでに組織心理学に一定の知識のある受講生にとってはやや単調な復習の場になると思われる。しかし,毎回の授業の後半に行う演習部分では文献の具体的な内容に関する討論を行うため,すでに基礎知識のある学生にとっても応用型の学習の場になると思われる。なお,本科目では日本語文献と英語文献の両方を扱うため,授業までにリーディング・アサインメントを読むために十分な時間を割くことが必須となる。この点を十分注意して受講することリーディングに関してはその要点をまとめ,自らの経験等と照らし合わせながら問題意識を整理し,授業でのディスカッションに向けて準備することを期待する。

<到達目標/Goals,Aims>

学生が組織心理学の主な基本概念を理解し,人のこころの動きの捉え方について理解を深めること。英語および日本語で組織心理の文献を読み,論点を整理し,文献間の視点の比較や対比ができるようになること。文献を批判的に読み,自分の意見を整理し,授業内の討論に積極的に参加できるようになること。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) オリエンテーション:授業の進め方,および参考文献に関する説明  (授業時間外の学習/ Assignments) 従業員の心理に関する自分の興味関心のポイントを整理し,授業内で紹介できるように準備すること 
予め参考文献リストに目を通し関心のあるテーマを確認しておくこと 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) 人間行動を理解する基本的枠組み,組織論における人間モデル  (授業時間外の学習/ Assignments) 自分の興味関心に従って,組織心理とはどのような学問か,インターネット等を利用して調べてみること 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) ワーク・モチベーション:内容理論と過程理論  (授業時間外の学習/ Assignments) 文献担当者は発表の準備をし(レジュメや参考資料等),討論の進行をどのようにリードするか考えること 
また各受講生は文献を読み,内容を整理し意見をまとめ,討論に備えること 
また授業後は,討論内容をふり返り,論点を整理すること 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) ワーク・モチベーション:文献の検討  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) 内発的モチベーションと外発的モチベーション  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) モチベーション:文献の検討  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) 職務満足:概念と構成要素,規定因,および理論モデルの検討  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 職務満足:文献の検討  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 組織コミットメント:帰属意識,態度的および行動的コミットメント,コミットメントの心理的メカニズムと結果  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 組織コミットメント:文献の検討  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) ワーク・ストレスとバーンアウト:ストレッサーとストレイン,組織ストレスをめぐる諸アプローチ  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) ワーク・ストレスとバーンアウト:文献の検討  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) ワーク・ファミリー・コンフリクト:仕事と家庭間の役割葛藤,原因と結果,両立支援策  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) ワーク・ファミリー・コンフリクト:文献の検討  (授業時間外の学習/ Assignments)    同上 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) 全体のまとめ:組織心理学の課題  (授業時間外の学習/ Assignments) 本学期全体の内容をふり返り,レポートのテーマを構想を持ち寄ることができるようにすること 

授業計画の内容に沿って,適宜社会学および社会心理学における関連概念の説明を加える。これにより受講生のより幅広い理解が可能になると思われる。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス討論への参加)  30%  出席状況と講義および授業内ディスカッションへの参加姿勢により評価する 
担当文献(英語および日本語)の発表準備およびプレゼンテーション  30%  的確に英語論文の内容が把握できているか,適切に内容が要約されているか,効果的なプレゼンテーションがなされたか 
期末レポート  40%  講義内容と受講生の興味関心を反映したレポートを課す 

<参考文献/Reference Book>

  【以下の著書より複数の章を選択的に扱う】 
天笠 崇 著『成果主義とメンタルヘルス』新日本出版社,2007年. 
 
アーリー・ラッセル・ホックシールド 著(坂口緑・中野聡子・両角道代 訳)『タイム・バインド―働く母親のワークライフバランス』明石書店,2012年. 
 
ダニエル・ピンク 著(大前研一 訳)『モチベーション3.0』講談社,2010年. 
 
Clark,Richard E. "Fostering the Work Motivation of Individuals and Teams."Performance Improvement, Vol.42,No.3,pp.21-29. (2003). 
 
Pinder,Craig C. 2008. Work Motivation in Organizational Behavior (2nd Edition). New York, NY: Psychology Press. (Section on “Job Satisfaction” Pp.269-282,and Section on “Work Commitment” Pp.291-308)  
 
 

 

 

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