シラバス
※学期中に内容が変更になることがあります。

2012年度

3B8252 

△臨床まちづくり学研究
Study on Clinical Approach to Community Building
2単位/Unit  秋学期/Fall  今出川/Imadegawa  講義形式

  山口 洋典

<概要/Course Content Summary>

広辞苑第五版にはじめて登場した「まちづくり」ということばだが,学術的には確定的な定義を置くことは困難である。なぜならば,まちづくりとは実践家が絶え間なく変化する現場を応答し続ける営みを指すものであり,実践を通して見出す知見によって,あるまちに存在する形式知や暗黙知を上書き保存し続けていくローカルな挑戦であるためだ。そこで本講義では,「そのまち」に関わる(働く,住む,学ぶ,遊ぶ)意味や価値を創出している担い手に着目し,それらの担い手によって導かれる集合体の動態について,グループ・ダイナミックスの観点から接近する。 
とりわけ本講義では現場の「語り」に着目する。その「語り」は,強いリーダーシップの中で見られる「明快な主張」あるいは「演説」ではなく,むしろ「つぶやき」や「ぼやき」の類のものである。そのため後半には,講義室で「座って学ぶ」だけでなく,大学を飛び出し<まち>に「臨んで学ぶ」こととする。ゆえに,より効果的な学びを導くため,長らく鳥取県智頭町にて「ゼロ分のイチ村おこし運動」の牽引役となってきた寺谷篤志さんの協力を得て,聞き取りの活動を盛り込むこととする。机と現場を往復することで,「臨床」の難しさを前提にした醍醐味が体感されることを望んでいる。

2010年「應典院コモンズフェスタ・行動展示<エクソダス>」より(花村周寛企画)

<到達目標/Goals,Aims>

事例検討をとおして臨床のローカリティを愚直に追求し,理論的な考察を経て,現場とともにまちづくりに関するインターローカルな知を協働で編集していくために,理論と実践の両面から,自らの現場の実践を豊かに語ることができるようになる。

<授業計画/Schedule>

(実施回/
Week)
(内容/
Contents)
(授業時間外の学習/
Assignments)
(実施回/ Week) 第1回  (内容/ Contents) 臨床まちづくり学を研ぎ究めるために:いざ「臨床の知」へ  (授業時間外の学習/ Assignments) グループワークに伴う情報収集 
(実施回/ Week) 第2回  (内容/ Contents) まちづくりへの学問的接近:「調査地被害」  (授業時間外の学習/ Assignments) 論文検索(ciniiを利用) 
(実施回/ Week) 第3回  (内容/ Contents) まちづくりのための学問:グループ・ダイナミックスとは  (授業時間外の学習/ Assignments) テキスト(第2章)精読 
(実施回/ Week) 第4回  (内容/ Contents) グループ・ダイナミックス(集団力学)の理論を学ぶ(1) :社会学的身体論  (授業時間外の学習/ Assignments) 指定論文通読 
(実施回/ Week) 第5回  (内容/ Contents) グループ・ダイナミックス(集団力学)の理論を学ぶ(2) :活動理論  (授業時間外の学習/ Assignments) 指定論文通読 
(実施回/ Week) 第6回  (内容/ Contents) センスメーキングとディシジョン・メーキングの接合(1):四面会議システムとは(智頭町での事例)  (授業時間外の学習/ Assignments) 事例の収集 
(実施回/ Week) 第7回  (内容/ Contents) ディシジョン・メーキングの視点(2):四面会議システムの体験(身近な事例)  (授業時間外の学習/ Assignments) ミニレポートの執筆 
(実施回/ Week) 第8回  (内容/ Contents) 中間まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) 他の受講生のミニレポートへのコメント 
(実施回/ Week) 第9回  (内容/ Contents) 「ゼロ分イチ〜無限の飛躍へ」(1):フィールドエントリー  (授業時間外の学習/ Assignments) 宮本常一「調査地被害」の精読 
(実施回/ Week) 第10回  (内容/ Contents) 「ゼロ分イチ〜無限の飛躍へ」(2):聞き取る  (授業時間外の学習/ Assignments) グループのテーマごとに別途指示する 
(実施回/ Week) 第11回  (内容/ Contents) 「ゼロ分イチ〜無限の飛躍へ」(3):聞き取りをまとめる  (授業時間外の学習/ Assignments) グループのテーマごとに別途指示する 
(実施回/ Week) 第12回  (内容/ Contents) 「ゼロ分イチ〜無限の飛躍へ」(4):向き合う・寄り添う  (授業時間外の学習/ Assignments) グループのテーマごとに別途指示する 
(実施回/ Week) 第13回  (内容/ Contents) 「ゼロ分イチ〜無限の飛躍へ」(5):次の一手を示す  (授業時間外の学習/ Assignments) グループのテーマごとに別途指示する 
(実施回/ Week) 第14回  (内容/ Contents) 「ゼロ分イチ〜無限の飛躍へ」(6):プレゼンテーション  (授業時間外の学習/ Assignments) 別途指示するプレゼンテーション要領への対応 
(実施回/ Week) 第15回  (内容/ Contents) まとめ  (授業時間外の学習/ Assignments) この間のレジュメ,講義ノートの精読 

受講生の理解の状況等を鑑み,上記の計画を変更することがある。

<成績評価基準/Evaluation Criteria>

平常点(出席,クラス参加,発表,グループ作業の成果等)  30%  出席状況と講義内容に関する議論への参画,電子メールの反応等より総合的に判定する 
期末レポート試験・論文  70%  分量,論理展開の明快さ,問題への対応,知識の理解度,現場への貢献の姿勢を総合的に判断する 

<成績評価結果/Results of assessment>   成績評価の見方について/Notes for assessment

    

登録者数  1名
  成績評価結果は公表されていません。

<テキスト/Textbook>

上町台地コミュニティ・デザイン研究会(編)  『地域を活かすつながりのデザイン-大阪・上町台地の現場から-』 (創元社、2009) ISBN:978-4-422-25055-7  以下,備考欄に示すとおり「コミュニティデザイン論研究」との関連付けを行う上でも,全般に目を通すこと。 

 

<参考文献/Reference Book>

杉万俊夫編  『コミュニティのグループ・ダイナミックス』(京都大学学術出版会、2006年)2010年度までの「臨床まちづくり学」においてテキスト指定をしていた書籍である。 
 

今村 晴彦, 園田 紫乃, 金子 郁容  『コミュニティのちから-“遠慮がちな”ソーシャル・キャピタルの発見-』(慶應義塾大学出版会、2010)とりわけ第4章における「ロール」と「ルール」と「ツール」は,本講義の後半部分における鍵概念となる。 
 

佐藤 郁哉   『フィールドワークの技法-問いを育てる,仮説をきたえる [-』(新曜社、2002)ISBN:978-4788507883 フィールドワークならびに実践的研究の基本的姿勢は本書等により理解を深めていただきたい。 
 

その他,関連する学術雑誌の論文(特に『実験社会心理学研究』や『質的心理学研究』)などを適宜紹介する。

<備考/Remarks>

<履修上の注意> 
本講義の内容をより実践的に理解をするため「コミュニティデザイン論研究」の連続受講を強く薦める。 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで
 
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