シラバス・講義概要

2009年度

29383-051 ○歴史の歴史−51(歴史のパラダイム) 2単位 春学期 今出川
          History of Histories(Paradigm of History)

29383-052 △歴史の歴史−52(歴史のパラダイム) 2単位 秋学期 今出川
          History of Histories(Paradigm of History)

中井 義明 服部 伸

<概要>

歴史の見方,考え方は社会や時代によって変化してきています。これが正しい歴史の見方だというのはありません。ある意味で歴史はそれを語り,書き表し,教えてきた人々が社会と向かい合い自らを理由づけてきた知的活動の産物だと言えましょう。その意味では客観的な歴史は存在しません。でも私たち人類は昔から今日に至るまで重要と思われる出来事を記録に残し,何故起きたのか,どのような意味があったのかを探ってきました。それが「歴史の父」ヘロドトスの言うhistorizein(探求する)ということなのです。もちろん,ランケに始まる近代歴史学は客観的な歴史学を確立するために史料批判という研究法を提唱してきました。しかし今日歴史は国家の歴史に限られず,人々の感性や個人の内面にまでその対象を広げてきています。もはや政治史だけが歴史ではないのです。

この授業では中国の司馬遷やギリシアのヘロドトスから近代のランケやニーブールを経て現代のアリエスやコルバンなどの歴史の見方・考え方の変化を歴史家と歴史家を取り巻く社会の変化を関係させながら話を進めていきたいと考えています。

テキストは使いません。授業での話を聞いて考えてください。

授業は前半を中井が,後半を服部が担当します。

 

<授業計画>

1 歴史は一つではない。歴史について自由に話し合ってみましょう。
2 ヘロドトスとトゥキュディデス:「歴史の父」たちは戦争をどのように語ったのか。
3 クセノフォン・ポリュビオス:理想世界が崩壊していく中で歴史家はどのように現実を直視したのか。
4 リヴィウス・カエサル・タキトゥス・司馬遷:権力とそこに生きる人々の歴史とは何か。
5 ラクタンティウス・エウセビオス・アウグスティヌス:キリスト教はいかに自らを正当化してきたのか。
6 トゥールのグレゴリウス,フライジングのオットー:世界史の時代。
7 ボランディスト・ヴァッラ:歴史にとっての史料批判・史料は捏造される。
8 啓蒙主義とニーブール・ランケ:普遍の歴史と批判。近代歴史学の始まりとその限界。
9 ブルクハルト:全体史のかたち(1)文化史学。
10 マルクス:全体史のかたち(2)唯物論史学。
11 ブロック・ブローデル・アリエス:フランスの社会史。
12 フィッシャー・ヴェーラー・ポイカート:ドイツの社会史。
13 歴史学はなくなるのか?
14 それぞれの歴史を語り合おう

1回目から7回目までは中井が,8回目から14回目までは服部が担当します。

 

<成績評価基準>

平常点30点出席。
ディスカッション20点討論への参加姿勢と発言内容。
小レポート20点授業中に2回出されるレポートの内容。
期末筆記試験30点歴史の考え方に対する諸君の知識と論理。

 

<成績評価結果>  成績評価の見方について

29383-052    歴史の歴史-52

登録者数  3名
  成績評価結果は公表されていません。

 

<テキスト>

教科書は使用しません。

 

<参考文献>

参考文献は授業中に指示します。

 

 

お問合せは同志社大学 各学部・研究科事務室まで

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